競馬予想の精度を上げたいと考えたとき、多くのファンが注目するのが「調教」の情報です。特に、競馬新聞や専門サイトで頻繁に目にする「競馬 併せ馬」という言葉について、その正確な意味や重要性を深く理解しているでしょうか。併せ馬の読み方はもちろん、併せ馬の相手の調べ方や、その結果がレースにどのような効果をもたらすのか、気になっている方も多いはずです。また、馬の運動能力を示す完歩や、返し馬とは何か、さらには併走と並走の違い、併入が競馬で何を意味するのかといった専門用語に戸惑うこともあるでしょう。この記事では、併せ馬の英語表現や、俗に言う併せ馬での遊びの意味、そして競走馬が夏に行う放牧の重要性から、調整が狂う競馬頓挫とは何かまで、あらゆる角度から徹底解説します。さらに、競馬における息の入りという重要なコンディション指標や、競馬で息が入らない状態、騎手が意図的に息を入れる意味についても掘り下げ、あなたの競馬ライフをより豊かにするための知識を提供します。
この記事でわかること
- 併せ馬の基本的な意味と調教における目的
- 競馬新聞やネットを使った併せ馬の具体的な情報の調べ方
- 調教タイムから馬のコンディションを見抜くためのチェックポイント
- 併せ馬に関連する専門用語(返し馬、完歩、頓挫など)の知識
競馬の併せ馬とは?基本を徹底解説
- 併せ馬の読み方と英語での表現とは
- 併せ馬の効果と目的、遊びとの違い
- 併せ馬の相手の調べ方とレースへの影響
- 併走と並走の違い、併入が競馬で示す意味
- レース前に見るべき返し馬とは何か

併せ馬の読み方と英語での表現とは
競馬の調教を理解する上で欠かせない「併せ馬」ですが、まずはその基本的な読み方から確認しておきましょう。これは「あわせうま」と読みます。文字通り、2頭以上の馬を併(あわ)せて走らせる調教方法を指す言葉です。
この併せ馬は、日本独特の調教方法というわけではなく、世界中の競馬で行われています。英語では「work in company」と表現されるのが一般的です。直訳すると「仲間と走る」となり、その意味合いがよく分かります。単独で走る調教は「work alone」や「breeze」と呼ばれ、これらと明確に区別されています。
豆知識:なぜ「併せる」のか?
馬は本来、群れで行動する習性があり、同時に競争心も持つ動物です。併せ馬は、こうした馬の持つ本能的な性質を利用した、非常に合理的な調教方法と言えます。仲間と一緒に走ることで安心感を与えつつ、隣の馬をライバルとして認識させることで、競走馬としての闘争心を効果的に引き出すのです。
このように、併せ馬は単に馬を一緒に走らせているだけでなく、その背後には馬の習性を考慮した深い意図が隠されています。読み方と基本的な意味を理解するだけでも、調教情報を見る目が少し変わってくるはずです。

併せ馬の効果と目的、遊びとの違い
併せ馬を行う目的は多岐にわたりますが、最大の効果は「競走馬の闘争心や勝負根性を引き出す」ことにあります。単走ではどうしても淡々と走ってしまいがちな馬でも、隣にライバルがいると「負けたくない」という気持ちが芽生え、より実戦に近い精神状態で走ることができます。
主な併せ馬の効果と目的
併せ馬には、精神面だけでなく、フィジカル面や技術面でも多くのメリットがあります。
- 精神面の強化:前述の通り、闘争心を掻き立て、レース本番での集中力を高めます。特に、普段はおとなしい性格の馬や、レースで集中力を欠く癖のある馬に効果的です。
- 実戦感覚の養成:他の馬と併走することに慣れさせ、レース中に他馬に囲まれても臆することなく走れるようにします。また、騎手との折り合いをつける訓練にもなります。
- 心肺機能の向上:単走よりも負荷の高いトレーニングになるため、心肺機能を効率的に高めることができます。より速い時計(タイム)を出すための仕上げの調教として行われることが多いです。
- 馬の能力測定:調教師や騎手が、その馬の現在のコンディションや能力、成長度合いを測るための重要な指標となります。
馬によっては、調教で一生懸命走らない、いわゆる「ズルい」気性の子もいます。そういった馬に対して、格上の強い馬を併せ馬の相手に当てることで、「もっと走らないとダメなんだ」と教えることも重要な目的の一つです。
「遊び」や「気を抜く」状態との違い
調教コメントで時折見かける「遊びながら」という表現は、一見するとネガティブな印象を受けるかもしれません。しかし、これは必ずしも悪い意味ではありません。
これは、馬がまだ全力ではなく、余裕を残した状態で楽に併走相手に追いついたり、追い抜いたりした状態を指します。つまり、それだけその馬の能力やコンディションが高いことを示唆するポジティブなコメントであることが多いのです。
一方で、「気を抜く」「ソラを使う」といった表現は注意が必要です。これは馬が集中力を欠いてしまい、走るのをやめようとしたり、周囲をキョロキョロしたりする状態を指します。このような癖がある馬にとっては、併せ馬で集中力を維持させる訓練が不可欠となります。

併せ馬の相手の調べ方とレースへの影響
併せ馬の情報を予想に活かす上で、単に「併せ馬をした」という事実だけでは不十分です。人間がスポーツで練習試合をする際に、対戦相手のレベルによって得られる経験や評価が変わるのと同じように、競馬の調教も「誰と併せ馬を行ったか」という点が極めて重要になります。つまり、その併せ馬の本当の価値は、相手との力関係を分析して初めて見えてくるのです。
ここでは、併せ馬の相手を具体的にどう調べ、その情報をどのようにレース予想へ繋げていくのか、より踏み込んだ分析方法と評価のポイントを徹底的に解説します。
どこで情報を調べるか? ~最適なツールとその活用法~
併せ馬の相手に関する情報は、今や様々な媒体で手軽に確認することができます。ただ、それぞれの情報源にはメリットとデメリットがあるため、ご自身のスタイルに合わせて使い分けるのが良いでしょう。特に、近年ではウェブサイトやアプリの充実により、情報の深掘りが容易になっています。
| 情報源 | メリット | デメリット・注意点 |
|---|---|---|
| 競馬新聞・スポーツ新聞 | 調教欄に情報が凝縮されており一覧性が高い。専門紙ならトラックマンの鋭い寸評も読める。 | 紙面の制約上、情報量が限定的。相手馬の過去の戦績などをすぐに深掘りしにくい。 |
| JRA公式サイト | 公式情報であり信頼性が最も高い。無料で利用できる。 | 掲載されるのは一部の重賞レースに限られ、全レースの調教情報は網羅していない。 |
| ネット競馬サイト・アプリ (netkeiba.com, JRA-VANなど) | データ量が圧倒的で、過去の調教履歴も追える。相手馬名がリンクになっており、ワンタップで相手の戦績をすぐに確認できる。最もおすすめ。 | 全ての機能を利用するには有料会員登録が必要な場合が多い。情報が多すぎてどこを見ればいいか迷う可能性も。 |
| 調教映像サービス (JRAレーシングビュアー, グリーンチャンネルWebなど) | 実際の動きを映像で確認できる唯一の手段。時計だけでは分からない手応えやフォームの質が分かる。 | 有料サービスがほとんど。映像を見て良し悪しを判断するには、ある程度の経験と観察眼が求められる。 |
私の場合、まずは「netkeiba.com」などのアプリで調教タイムと併せ馬の相手、そしてその相手のクラス(格)をデータで確認します。その上で、特に気になる馬がいれば「JRAレーシングビュアー」で実際の調教映像を見て、動きの質や騎手との折り合いを最終チェックするという使い方をしています。データと映像の両方からアプローチするのが理想的ですね。
評価の重要ポイント①:相手の「格」と「脚色」で価値を見抜く
前述の通り、併せ馬の評価で最も大切なのは、併せた相手のクラス(格付け)です。しかし、それだけでは評価は十分ではありません。そこに「脚色(あしいろ)」と呼ばれる調教の強度を組み合わせることで、分析の精度は飛躍的に高まります。脚色とは、馬がどれくらいの力で走っていたかを示す指標です。
主な脚色の種類
- 馬なり:騎手が手綱を持ったまま、馬の行く気に任せて走らせる最も軽い調教。余力十分の状態。
- 強め:馬なりと一杯の中間。騎手が軽く手綱を動かし、少し気合をつけた状態。
- 一杯:騎手が手綱を押し、ステッキも使って馬の能力を最大限引き出そうとする最も強い調教。
これらの「相手の格」と「脚色」、そして「先着・同入・遅れ」の結果を組み合わせることで、調教内容の真の価値が浮かび上がってきます。以下の評価マトリクスを参考にしてみてください。
| 評価 | 自分の脚色 | 相手の格 | 相手の脚色 | 結果 | 解説 |
|---|---|---|---|---|---|
| 【S】最高評価 | 馬なり | 格上 | 一杯 or 強め | 先着 | 絶好調の証。能力が完全に本格化した可能性。 |
| 【A】高い評価 | 強め | 格上 | 一杯 | 同入 | 強豪相手に互角の動き。能力の高さを示している。 |
| 【B】順調 | 一杯 | 格上 | 一杯 | 遅れ | 相手が強敵なら悲観不要。むしろ食らいついたことを評価。 |
| 【C】標準 | 馬なり | 格下 | 強め | 先着 | 勝って当然の相手。順調ではあるが、大きな上積みは疑問。 |
| 【D】割引材料 | 一杯 | 格下 | 馬なり | 同入 | 本来なら突き放すべき相手に手こずっており、調子に疑問符。 |
| 【E】危険なサイン | 一杯 | 格下 | 馬なり or 強め | 遅れ | 絶不調の可能性大。能力を発揮できる状態にないかも。 |
例えば、評価【S】の「馬なりで格上の馬に一杯で追う相手に先着する」というのは、まさに圧巻の内容です。これは、自分の馬がまだ余力を残しているのに、相手は全力で走っても敵わないことを意味しており、G1レースなどでも勝ち負けを期待させる最高の調教内容と言えるでしょう。
評価の重要ポイント②:調教師の「意図」を読む
もう一つ、評価を深めるために重要な視点が、「なぜ陣営はこの馬を併せ馬の相手に選んだのか?」という調教師の意図を読むことです。併せ馬は、ただやみくもに強い馬と走らせているわけではなく、その馬の個性や課題に合わせた明確な目的を持って行われています。
併せ馬に隠された主な目的
- 気合注入タイプ:普段はおとなしく、レースで闘争心を見せない馬に対し、活気のある馬や前向きな馬を併せることで「火」をつけます。休み明けで実戦から遠ざかっている馬にもよく用いられる手法です。
- リラックス・教育タイプ:逆に、気性が荒くイレ込みやすい馬や、まだ走りに集中できない若駒に対し、ドッシリと落ち着いたベテラン馬を併走させることで、精神的な落ち着きや正しい走り方を教え込みます。
- 最終チェックタイプ:実力が拮抗している馬同士を併せることで、仕上がり具合を最終確認したり、レースでの力関係を測ったりします。G1レース前などには、同じ厩舎のオープン馬同士でハイレベルな併せ馬が行われることもあります。
このように、調教コメントや馬の過去の気性などを考慮し、「今回の併せ馬は気合を入れるためだな」などと意図を推測することで、その調教の目的が達成されているか(=馬が望ましい方向に変化しているか)を判断することができます。
注意点:「遅れ=悪」と決めつけない
併せ馬で「遅れ」と聞くと、どうしてもネガティブな印象を受けがちです。しかし、陣営が意図的に遅れさせているケースもあるため、早合点は禁物です。
例えば、まだ仕上げ途上の馬が、目標のレースに向けてビッシリ仕上げられた馬に最後まで食らいついていくと、かえってオーバーワークになってしまうことがあります。そのため、あえて途中で相手に先に行かせることで、馬に過度な負荷をかけないように調整することがあるのです。また、騎手が手綱を抑える練習(折り合いの練習)を主眼に置いている場合も、結果として併走相手に遅れることがあります。これらのケースでは、「遅れたが、最後までしっかりと集中して走れていた」といったポジティブなコメントが出ることが多いので、結果とコメントをセットで確認することが重要です。

併走と並走の違い、併入が競馬で示す意味
競馬用語には似たような言葉が多く、混同しやすいものがあります。「併走」「並走」「併入」もその一例です。ここでは、それぞれの言葉の正確な意味と使われ方の違いを解説します。
併走(へいそう)と並走(へいそう)
結論から言うと、競馬の文脈において「併走」と「並走」は、ほぼ同じ意味で使われます。どちらも「2頭以上の馬が並んで走ること」を指し、多くの場合、前述の「併せ馬」と同義語として扱われます。
厳密な言葉の使い分けはされていませんが、ニュアンスとして以下のような傾向があります。
- 併走:調教の文脈で「併せ馬」として使われることが多い。「併走調教」など。
- 並走:レースの道中で馬が並んで走っている状態を指すことが多い。「2頭が並走して最終コーナーを回る」など。
しかし、これはあくまで傾向であり、逆の使われ方をすることも頻繁にあるため、「馬が並んで走っている状態」と理解しておけば問題ありません。
併入(へいにゅう)が示す意味
「併入」は、調教とレースで少し意味合いが異なりますが、本質は同じです。
調教における「併入」
併せ馬を行った際に、2頭(以上)の馬がほぼ同時にゴール板を通過することを指します。競馬新聞の調教欄では「同入」と表記されることも多く、これは全く同じ意味です。騎手が意図的にゴールを合わせることもあり、必ずしも能力が互角というわけではありませんが、併せた相手に劣らない動きを見せたという点で、ポジティブな評価材料となります。
レースにおける「併入」
レースのゴール時に、複数の馬がほとんど差なく入線し、写真判定が必要になった状態を指します。こちらも「同着(どうちゃく)」と同じような意味合いで使われますが、「併入」は写真判定中の状態を指すニュアンスが強いです。
このように、言葉の使われる場面によって少しずつニュアンスが変わりますが、基本的な意味を理解しておけば、情報を正確に読み取ることができます。

レース前に見るべき返し馬とは何か
「返し馬(かえしうま)」とは、全馬が馬場に入場した後、レースのゲート裏からスタート地点まで軽く走らせるウォーミングアップを指します。もし、パドックでの周回が馬の「静的」な状態観察、つまり身体のつくりや気配をチェックする時間だとすれば、この返し馬は「動的」な状態観察、すなわち実際に走る姿からコンディションを見抜くための最後の、そして極めて重要な機会です。本番と同じ馬場で、本番と同じ騎手を背に走る唯一の時間だからこそ、そこにはデータだけでは読み取れない多くの情報が詰まっています。
ここでは、単なるウォーミングアップで終わらせない、予想の精度を格段に上げるための返し馬のチェックポイントを、具体的な「良い例」「悪い例」を交えながら徹底的に掘り下げて解説します。
チェックポイント①:精神状態 ~気合は適正範囲内か~
返し馬で最も分かりやすく、そして重要なのが馬の精神状態、いわゆる「気合の乗り」です。レースに向けて闘志が燃えていることは必須ですが、それが過度になってもいけません。理想は、内に秘めた闘志と冷静さが同居している状態です。
【プラス評価】な返し馬の精神状態
- 耳が前を向いている:騎手の指示や前方の状況にしっかりと集中している証拠です。耳をキョロキョロさせすぎているのは、集中力を欠いている可能性があります。
- 適度な前進気勢:騎手が軽く促すだけで、スッとスムーズに走り出せる状態が理想です。馬自身が走りたがっている、ポジティブな気持ちの表れと言えます。
- 静かな闘志:一見おとなしく見えても、騎手とのコンタクトが取れ、全身から力がみなぎっているような馬もいます。このような「静かな闘志」を秘めたタイプは、レースで爆発的な力を発揮することがあります。
【マイナス評価】な返し馬の精神状態
- 過度の発汗:特に首周りや股間が汗で白くなっている状態は、過剰に興奮している「イレ込み」のサインです。レース前に無駄なエネルギーを消耗してしまい、スタミナ切れの原因となります。
- 騎手への反抗:頭を激しく上下させたり、口を大きく開けて騎手の指示に抵抗したりする「口を割る」仕草は、完全に冷静さを失っている証拠です。
- 覇気のなさ:逆に、元気がなくトボトボと歩いていたり、騎手が促しても反応が鈍かったりする馬は、体調が優れないか、気持ちが乗っていない可能性があります。尻尾をパシパシと振るのも、何らかの不満を表していることが多いです。
チェックポイント②:身体状態 ~フォームは力強く滑らかか~
精神状態と密接に関わるのが、身体の動き、つまりフォームです。好調な馬は、全身が連動したしなやかで力強い走りを見せます。その動きからは、馬の現在のフィジカルコンディションを読み取ることができます。
【プラス評価】な返し馬のフォーム
- リズミカルな首の使い方:馬は首を使って全身のバランスを取ります。首をリズミカルに低く使えている馬は、推進力を効率よくスピードに変えられている証拠です。
- 大きく、しなやかな完歩:前述の通り、完歩(ストライド)が大きく、かつバネを感じさせるようなしなやかな動きができている馬は絶好調と判断できます。後肢がしっかりと体の下まで踏み込めているかも重要なポイントです。
- ブレのない体幹:スピードに乗った際に、体の軸がブレずにまっすぐ走れている馬は、体幹がしっかりしており、能力を最大限発揮できる状態にあります。
【マイナス評価】な返し馬のフォーム
- 硬い動き:首の使い方が硬かったり、手先だけで走っているような前後の連動性を欠く動きは、筋肉の疲れやどこかに痛みがあるサインかもしれません。
- 小さな完歩:完歩が狭く、ちょこちょことしたピッチ走法になっている場合、本来のダイナミックな走りができていないことを示唆します。特に、普段は大きな走りが持ち味の馬がこのような走り方をしていたら要注意です。
チェックポイント③:レース条件と照らし合わせて評価する
返し馬の評価は、画一的に行うのではなく、その日に行われるレースの条件と照らし合わせて判断することで、より実践的なものになります。
レース条件別のチェックポイント
- 距離:菊花賞や天皇賞(春)のような長距離レースで、返し馬から我慢できずに飛ばしている馬は、本番でのスタミナ切れのリスクが高まります。逆に短距離戦では、ある程度の行きっぷりの良さを見せている方が好感が持てます。
- 馬場状態:雨で馬場が悪化している日(重馬場・不良馬場)には、馬場の水を力強く蹴り上げるようなパワーのある走り(キックバック)ができているかが重要になります。逆に、見た目に非力な走りをしている馬は、馬場に脚をとられてしまう可能性が考えられます。
- コース形態:中山競馬場のような小回りコースで行われるレースでは、返し馬のコーナーリングで外に膨らむことなく、スムーズに曲がれているかがチェックポイントになります。
競馬予想で最も重要なことの一つは、「変化」に気づくことです。特に、「パドックでの印象」と「返し馬での印象」の変化には細心の注意を払いましょう。
例えば、パドックでは少しおとなし過ぎるように見えた馬が、騎手が乗って返し馬に向かうと一気にスイッチが入り、素晴らしい動きを見せるケースがあります。これは「良い変化」であり、馬券的な妙味も出てきます。
逆に、パドックでは絶好の気配に見えたのに、返し馬で激しくイレ込んでしまった場合は「悪い変化」であり、評価を下方修正すべきです。このように、複数の情報を組み合わせ、総合的に判断する癖をつけることが的中への近道となります。
競馬の併せ馬を深く知るための関連知識
- 馬の運動における完歩と息の入りの重要性
- 競馬で息が入らない状態と息を入れる意味
- 競走馬が夏に放牧される理由と効果
- 調整の遅れを意味する競馬頓挫とは
- 総まとめ:競馬の併せ馬を予想に活かす

馬の運動における完歩と息の入りの重要性
馬のコンディションを評価する上で、「完歩(かんぽ)」と「息の入り(いきのいり)」は非常に重要な指標です。これらは調教や返し馬を観察することで、その馬の能力や調子の良し悪しを判断する手がかりとなります。
完歩(かんぽ)とは?
完歩とは、簡単に言えば「馬のストライド(歩幅)」のことです。四本の脚が一巡する間の歩幅を指し、この完歩が大きい馬は、一歩で進む距離が長いため、少ないエネルギーで効率良くスピードを出すことができます。
調教や返し馬を見る際には、以下の点に注目しましょう。
- 完歩の大きさ:ゆったりと大きなフットワークで走れているか。窮屈な走りになっていないか。
- リズムと力強さ:完歩が単に大きいだけでなく、リズミカルで地面をしっかりと捉える力強さがあるか。
特に、馬場状態が良いにもかかわらず完歩が小さく、ちょこちょことした走りになっている場合は、どこか脚元に不安を抱えているか、調子が上がっていない可能性が考えられます。
息の入り(いきのいり)の重要性
「息の入り」は、馬の心肺機能の高さを示すバロメーターです。これは主に、調教を終えて引き上げてくる際の馬の呼吸の様子で判断されます。
息の入りの評価
- 息の入りが良い:激しい調教を行った後でも、すぐに呼吸が整い、息の乱れが少ない状態。これは心肺機能が高く、スタミナが豊富である証拠です。レース終盤でもバテにくいと考えられます。
- 息の入りが悪い:調教後、いつまでも肩で息をしていたり、呼吸が荒い状態。心肺機能がまだ万全でないか、スタミナ面に課題がある可能性を示唆します。
この情報は、厩舎コメントやトラックマンのレポートなどで「追い切り後の息の戻りが早かった」といった形で表現されることが多いです。長距離レースを予想する際や、連戦で疲れが懸念される馬を評価する際には、特に重要なチェックポイントとなります。

競馬で息が入らない状態と息を入れる意味
レースの勝敗を大きく左右する要素の一つに「呼吸」、つまり「息」があります。ここでは、馬が「息が入らない」状態と、騎手が意図的に「息を入れる」ことの意味について掘り下げていきます。
「競馬で息が入らない」とは?
この表現は、馬がレース中に呼吸が苦しくなり、スタミナを消耗しきってしまった状態を指します。いわゆる「ガス欠」や「バテた」状態と同じ意味です。この状態に陥ると、馬は走る気力を失い、急激に失速してしまいます。
息が入らなくなる主な原因としては、以下のようなものが挙げられます。
- オーバーペース:レース序盤に速すぎるペースで走ってしまい、スタミナを無駄遣いする。
- 気性の問題:騎手の制御が効かず、馬が興奮して無駄な力を使ってしまう(イレ込み)。
- 心肺機能の不足:そもそも馬の心肺能力が、そのレースの距離やペースに対応できていない。
- 道中の不利:他の馬に何度もぶつけられるなど、スムーズに呼吸ができない状況が続く。
調教での「息が入らない」は要注意
調教の段階で「息が入らない」というコメントが出た場合は、特に注意が必要です。これは心肺機能がまだレースレベルに仕上がっていないことを意味し、本番でのスタミナ切れのリスクが高いことを示唆しています。特に休み明けの馬などに見られる場合は、一度レースを使ってみないと本来の走りには戻らないかもしれません。
騎手の技術「息を入れる」意味
一方で、「息を入れる」とは、レースの道中で騎手が意図的にペースを少し落とし、馬の呼吸を整えさせる行為を指します。これは、レース全体のスタミナ配分を考えた、非常に高度な騎乗技術の一つです。
例えば、スタート直後に激しい先行争いがあった後など、道中で他の馬からのプレッシャーが緩むタイミングを見計らって、ほんの一瞬ペースをコントロールします。このわずかな時間で馬に息をつかせることで、最後の直線で再び脚を使うためのスタミナを温存させるのです。
特に、逃げ馬や先行馬にとっては、この「息を入れる」タイミングが勝敗の鍵を握ることが多くあります。レース展開を予想する際には、「この馬はうまく息を入れられる展開になるだろうか?」と考えてみるのも、一つの面白い視点です。

競走馬が夏に放牧される理由と効果
春のクラシックシーズンや天皇賞・春などが終わると、多くの競走馬は一時的にレースから離れ、「夏放牧(なつほうぼく)」に出されます。これは競走馬にとって、秋のシーズンに向けて非常に重要な期間となります。
夏に放牧する主な理由
競走馬が夏に放牧される理由は、主に2つあります。
- 心身のリフレッシュ
春シーズンの激しいレースで蓄積した、精神的・肉体的な疲労を回復させることが最大の目的です。人間でいうところの「夏休み」にあたり、涼しい北海道などの育成牧場で青草を食べ、リラックスした環境で過ごすことで、心身ともにリフレッシュさせます。 - 馬体の成長促進
特に、まだ成長途上にある3歳馬などにとって、夏は馬体が大きく成長する重要な時期です。厳しいトレーニングから一時的に解放されることで、馬体は成長モードに入り、筋肉量が増えたり、骨格がしっかりしたりと、一回りも二回りも大きくなることがあります。
夏放牧の効果と「夏の上がり馬」
この夏放牧を効果的に過ごした馬は、秋シーズンに驚くような成長を見せることがあります。このような馬は、俗に「夏の上がり馬(なつのあがりうま)」と呼ばれ、秋のG1戦線で主役級の活躍を見せることも少なくありません。
夏放牧明けの馬を見るポイント
- 馬体重の変化:休み明け初戦の馬体重が、春シーズンよりも10kg以上増えている場合、それは良い成長分である可能性が高いです。ただし、太め残りの場合もあるため、パドックでの馬体の張りや締まり具合と合わせて判断する必要があります。
- 調教内容の変化:休み明けでも、帰厩後から意欲的に併せ馬をこなし、良いタイムを出している馬は、充実した夏を過ごせた証拠です。
休み明けの注意点
一方で、放牧明け初戦は「休み明け」特有の難しさもあります。久しぶりの実戦でレース勘が鈍っていたり、息がまだできていなかったりすることもあります。そのため、夏放牧で成長した馬が、その能力を本格的に発揮するのは、叩き2戦目、3戦目からというケースも多いことを覚えておきましょう。

調整の遅れを意味する競馬頓挫とは
競馬の世界で使われる「頓挫(とんざ)」という言葉は、競走馬の調整過程において非常に重要な意味を持ちます。この言葉を理解することで、出走馬のコンディションをより深く把握することができます。
競馬における「頓挫」の正確な意味
「頓挫」とは、本来「物事が途中で行き詰まること、くじけること」を意味する言葉です。競馬においては、「目標としていたレースに向けての調整計画が、何らかのアクシデントによって中断・変更を余儀なくされること」を指します。
つまり、「順調さを欠いた」状態であり、馬券を検討する上で見過ごせない情報となります。
頓挫の主な原因
調整が頓挫する原因は様々ですが、主に以下のようなものが挙げられます。
- 故障(ケガ):最も多い原因です。骨折や屈腱炎(くっけんえん)、脚元の捻挫など、トレーニング中に発生するアクシデント。軽度なものでも、一度トレーニングを休む必要があるため、調整計画に遅れが生じます。
- 体調不良:風邪(感冒)や発熱、疝痛(せんつう、腹痛のこと)など、人間と同じように馬も体調を崩すことがあります。
- 蹄(ひづめ)のトラブル:裂蹄(れってい)など、馬の蹄に問題が発生すると、痛みで強い調教ができなくなります。
- 気性的な問題:環境の変化などでカイバ食いが落ちてしまい、馬体重が減ってしまうなど。
頓挫明けのレースで注意すべきこと
頓挫があった馬がレースに出走してくる場合、以下の点に注意が必要です。
- 本来の能力を発揮できない可能性:調整が万全ではないため、本来持っているパフォーマンスを100%発揮できないことがあります。
- 再発のリスク:特に故障による頓挫の場合、レースの激しい負荷によって同じ箇所を再び痛めてしまうリスクも考えられます。
もちろん、軽度の頓挫で、その後の立て直しが順調であれば問題ないケースもあります。そのため、頓挫の原因、休んだ期間、そしてレースに向けた最終追い切りの内容などを総合的に判断することが重要になります。

総まとめ:競馬の併せ馬を予想に活かす
この記事では、競馬の「併せ馬」を中心に、その効果や調べ方、そして関連する様々な競馬用語について解説してきました。最後に、今回の内容を箇条書きでまとめます。これらのポイントを覚えておくだけでも、あなたの競馬予想は一段と深みを増すはずです。
- 併せ馬は「あわせうま」と読み、2頭以上で走る調教のこと
- 英語では「work in company」と表現される
- 最大の目的は馬の闘争心を引き出し実戦感覚を養うこと
- 調教で「遊ぶ」は余裕がある証拠で多くは好意的な表現
- 併せ馬の相手は競馬新聞やネットのデータベースで調べる
- 評価の鍵は単なる着順ではなく相手の「格」を見ること
- 格上の馬に食らいつけば負けても内容は濃いと評価できる
- 格下の馬に遅れるのは調子落ちのサインかもしれない
- 「併走」と「並走」は競馬ではほぼ同じ意味で使われる
- 調教での「併入」は併せた相手と同時にゴールすること
- 「返し馬」はレース直前のウォーミングアップで最後の状態確認の場
- 「完歩」は馬のストライドのことで大きい方が効率が良い
- 「息の入り」は心肺機能の指標で調教後の息の戻りで判断する
- レースで「息が入らない」のはスタミナ切れの状態
- 騎手が「息を入れる」のはペースを調整しスタミナを温存する技術
- 「夏放牧」は心身のリフレッシュと馬体の成長を促す重要な期間
- 「頓挫」とは故障などで調整計画が中断されること
