競馬で勝てない仕組みとは?構造的な理由と勝率を上げる思考法

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「なぜ、どうやっても競馬で勝てないんだろう…」と感じていませんか。本記事では、多くの人が疑問に思う競馬で勝てない仕組みについて、その構造的な問題点を深く掘り下げて解説します。そもそも競馬はなぜ当たらないのか?という根本的な問いから、控除率という名の「参加税」や、オッズは本当に「正しい確率」を反映しているか?といったシステムの課題を明らかにします。さらに、プロスペクト理論で解明する「負ける人の心理」にも触れ、なぜ多くの人が非合理的な判断をしてしまうのかを紐解きます。実際のところ、競馬で勝っている人 割合はごく僅かです。しかし、絶望する必要はありません。この記事では、期待値という「唯一のコンパス」を手に、「勘」や「予想」を捨てる勇気を持つことの重要性をお伝えします。そして、AIは市場の「歪み」をどう見つけるかという新しい視点を提供し、あなたが戦うべきは「他のプレイヤー」ではないという事実を示します。この記事を読み終える頃には、「勝てない仕組み」の中にこそエッジは存在する、という逆転の発想を手に入れているはずです。

  • 競馬で負ける構造的な仕組みがわかる
  • 多くの人が陥る心理的な罠を理解できる
  • 論理的なアプローチの基礎となる「期待値」を学べる
  • AIが注目する市場の歪みとは何かを知れる
目次

競馬で勝てない仕組み:構造的な問題点

  • そもそも競馬はなぜ当たらないのか?
  • 控除率という名の「参加税」
  • オッズは本当に「正しい確率」を反映しているか?
  • プロスペクト理論で解明する「負ける人の心理」
  • 競馬で勝っている人 割合はごく僅か

そもそも競馬はなぜ当たらないのか?

多くの方が「競馬は当たらない」と感じるのには、明確な理由が存在します。これは単なる運の問題だけでなく、ゲームのルールそのものに起因する部分が大きいのです。競馬は、参加者全員で資金を出し合い、そこから主催者(JRAなど)が手数料を差し引き、残ったお金を的中者で分け合う「パリミュチュエル方式」という仕組みで成り立っています。言ってしまえば、馬券を購入した瞬間に、あなたの資金は手数料の分だけマイナスからのスタートになるのです。

このため、長期的に見れば参加者全体の合計収支は、必ずマイナスになるように設計されています。もちろん、中には大穴を当てて一時的に大きく勝つ人もいますが、それはあくまで短期的な幸運に過ぎません。多くの人が「当たらない」と感じるのは、この構造上避けられない事実に基づいていると言えるでしょう。

競馬が当たらないと感じる根本原因は、運だけでなくゲームのルールそのものにあります。馬券購入と同時に、手数料が差し引かれる仕組みを理解することが第一歩です。

控除率という名の「参加税」

競馬で勝つことを困難にしている最大の要因が、控除率の存在です。控除率とは、馬券の売上総額から、主催者であるJRAの運営費や国庫納付金などとして、あらかじめ天引きされる割合を指します。いわば、馬券購入時に支払っている「参加税」のようなものです。

この控除率は、馬券の種類によって異なります。例えば、単勝や複勝は比較的低く設定されていますが、三連単のような高配当が狙える馬券ほど高く設定される傾向にあります。つまり、的中が難しく、配当が高い馬券ほど、プレイヤーの取り分は構造的に少なくなるのです。

JRAの控除率(参考)

馬券の種類控除率払戻率
単勝・複勝20.0%80.0%
枠連・馬連・ワイド22.5%77.5%
馬単・三連複25.0%75.0%
三連単27.5%72.5%
WIN530.0%70.0%

(参照:JRA公式サイトの情報を基に作成)

この表からも分かる通り、仮に三連単を買い続けた場合、長期的な回収率は理論上72.5%に収束していきます。どれだけ予想が優れていても、この控除率の壁を越えて利益を出し続けることは、極めて難しい挑戦なのです。

オッズは本当に「正しい確率」を反映しているか?

競馬におけるオッズは、各馬の勝つ確率を直接的に示しているわけではありません。オッズとは、「どの馬券がどれだけ購入されたか」という、ファン全体の投票行動によって決まる人気投票の結果なのです。

もちろん、多くの人が強いと考える馬に投票が集まるため、人気馬のオッズは低くなり、結果として「人気の高い馬=勝つ確率が高い」という傾向は生まれます。しかし、ここには人間の心理的なバイアスが大きく影響します。

本命-大穴バイアス

競馬市場には、「本命-大穴バイアス(Favorite-Longshot Bias)」として知られる有名な歪みが存在します。これは、1番人気のような的中確率が高い本命馬の馬券が過小評価され(オッズが本来の確率よりも高くなる傾向)、逆に的中確率が極めて低い大穴馬の馬券が過大評価される(オッズが本来の確率よりも低くなる傾向)という現象です。

なぜなら、多くの人は「一発逆転」の夢を見て、実際よりも大穴馬券に価値を感じてしまうからです。このため、オッズは必ずしも客観的な確率を反映しておらず、市場参加者の感情によって歪められているのです。この「歪み」こそが、論理的なアプローチで攻略すべきポイントになります。

プロスペクト理論で解明する「負ける人の心理」

なぜ多くの人は、論理的に考えれば避けるべき選択を、競馬で繰り返してしまうのでしょうか。その答えのヒントは、行動経済学の根幹をなす「プロスペクト理論」にあります。これは、ノーベル経済学賞を受賞したダニエル・カーネマンらが提唱した理論で、人間がいかに「不合理」な意思決定を行うかを、見事に説明してくれます。

言ってしまえば、私たちが戦うべき相手は、他の誰でもなく「自分自身の脳のクセ」なのです。この理論を理解することは、感情的な判断から脱却し、合理的なプレイヤーへと生まれ変わるための第一歩となります。

損失を極端に嫌う「損失回避性」

プロスペクト理論が示す一つ目の特徴は、「損失回避性」です。これは、人間は「1万円を得る喜び」よりも「1万円を失う苦痛」の方を2倍以上も強く感じる、という心理的な傾向を指します。

この心理が、競馬における典型的な負けパターンを生み出します。例えば、一日の最終レースを迎え、収支がマイナスだったとしましょう。論理的に考えれば、自信のあるレースでなければ見送るべきです。しかし、「損をしたまま終わりたくない」という強烈な苦痛が、冷静な判断を曇らせます。その結果、「これまでの負けを一発で取り返したい」という衝動に駆られ、根拠の薄い大穴狙いの馬券に手を出してしまうのです。これは、合理的な判断ではなく、ただ苦痛から逃れたいだけの感情的な行動に他なりません。

確率を正しく認識できない「確率の歪み」

二つ目の特徴は、人間が物事の確率をありのままに認識できない、「確率の歪み」です。具体的には、以下のような傾向があります。

  • 低い確率の過大評価:本来ほとんど起こり得ないこと(例:0.1%の確率)を、それ以上に「もしかしたら」と期待してしまう。
  • 高い確率の過小評価:ほぼ確実に起こること(例:99.9%の確率)を、それほど確実ではないと感じてしまう。

これを競馬に当てはめると、多くの人がなぜ万馬券のような高配当に夢を見るのかが分かります。的中率が1%にも満たない大穴馬券でも、「当たれば大きい」という魅力から、その僅かな可能性を過大に評価し、過剰に購入してしまうのです。逆に、的中率が非常に高い堅い本命馬券は、「配当が安すぎる」という理由で、その価値を過小評価しがちになります。この心理的な歪みが、前述の「本命-大穴バイアス」を生み出す大きな要因となっているのです。

競馬ファンが陥る、その他の認知バイアス

プロスペクト理論以外にも、私たちの合理的な判断を邪魔する心理的な罠(認知バイアス)は数多く存在します。ここでは、特に競馬ファンが陥りやすい代表的なものを紹介します。

  1. 確証バイアス
    自分が「この馬が強い」と思い込むと、その考えを支持する情報(前走の勝ちっぷり、専門家の高評価など)ばかりに目が行き、その馬にとって不利な情報(苦手なコース、状態面の不安など)を無意識に無視してしまう心理。
  2. 近親性バイアス(Recency Bias)
    つい最近の出来事を、過去の出来事よりも重視してしまう傾向です。「あの騎手は今日2勝していて波に乗っているから」といった理由で、馬の実力とは関係なく、直近の結果に判断が引きずられてしまいます。
  3. ギャンブラーの誤謬
    「1番人気が5レース連続で負けているから、そろそろ次こそは来るはずだ」のように、それぞれが独立した事象であるにも関わらず、過去の結果が未来の確率に影響すると勘違いしてしまう思考の誤り。

このように、私たちの脳は、私たちが思う以上に「不合理」な判断を下すようにできています。競馬で負ける多くの行動は、個人の意志の弱さというより、こうした人間の脳に共通する、ごく自然な反応なのです。逆に言えば、この心理的な罠の存在を深く理解し、自分の感情と判断を切り離すことさえできれば、大多数の非合理的なプレイヤーに対して、計り知れないほどの優位性を築けることになります。

競馬で勝っている人 割合はごく僅か

これまでの解説でお分かりいただけたように、構造的な問題と心理的な罠が組み合わさることで、競馬で継続的に利益を出すことは非常に困難です。では、実際に競馬で勝っている人の割合は、どれくらいなのでしょうか。

公的な統計データは存在しませんが、一般的には年間収支でプラスになっている人は、参加者全体の5%〜10%程度であると言われています。これは、ほとんどの人が控除率の壁を越えられず、最終的に損失を出しているという現実を示しています。

9割以上の人が負けるという事実は、生半可な知識や感覚的な予想では、長期的に勝ち続けることが不可能であることの証明です。巷に溢れる「必勝法」や「簡単な儲け話」には、細心の注意を払う必要があります。

しかし、この事実は絶望だけを意味するわけではありません。むしろ、大多数のプレイヤーが非合理的な行動を取っているからこそ、論理に基づいた少数派のアプローチに勝機が生まれるのです。重要なのは、その他大勢と同じ土俵で戦わないこと。これが、勝ち組である5%に入るための最低条件と言えるでしょう。

競馬で勝てない仕組みを逆手に取る思考法

  • あなたが戦うべきは「他のプレイヤー」ではない
  • 「勘」や「予想」を捨てる勇気
  • 期待値という「唯一のコンパス」
  • AIは市場の「歪み」をどう見つけるか
  • 「勝てない仕組み」の中にこそエッジは存在する
  • 理解すべき競馬で勝てない仕組みの本質

あなたが戦うべきは「他のプレイヤー」ではない

競馬で勝つための思考法を身につける上で、まず転換すべきなのが「誰と戦うのか」という認識です。多くの人は、競馬を他のプレイヤーとのお金の奪い合い、つまりゼロサムゲームだと考えがちです。しかし、これは正確ではありません。

前述の通り、控除率が存在するため、競馬は参加者全員の合計収支がマイナスになる「マイナスサムゲーム」です。このため、他のプレイヤーに勝つことだけを考えても、控除率の壁によってじわじわと資金は減少していきます。

では、真の敵は誰なのでしょうか。それは、「主催者(JRA)が設定した控除率」「市場参加者の集合的な心理が生み出す、不正確なオッズ」です。あなたが戦うべきなのは、目の前のプレイヤーではなく、この非効率な市場システムそのものなのです。

この認識を持つことで、予想の仕方が大きく変わります。「どの馬が1着になるか」を当てることだけに固執するのではなく、「どの馬券が、その本来の的中確率に対して、最も有利なオッズ(価格)で売られているか」を探すという、より本質的なアプローチが可能になるでしょう。

「勘」や「予想」を捨てる勇気

競馬の醍醐味の一つとして、長年の経験からくる「勘」や、パドックでの気配を感じ取る「相馬眼」が挙げられます。これらを否定するつもりはありませんが、長期的に勝ち続けることを目的とするならば、これらの属人的で再現性のない要素は、一度脇に置く勇気が必要です。

なぜなら、人間の勘や感覚は、その日の体調や気分、あるいは直前のレース結果といったノイズに大きく影響されてしまうからです。「なんとなくこの馬が来そうだ」という感覚は、プロスペクト理論が示すように、認知バイアスに汚染されている可能性が非常に高いと言えます。

もちろん、全ての情報をデータ化することは不可能です。しかし、過去の膨大なデータに基づいた客観的な事実と、個人の主観的な感覚とでは、どちらが長期的に安定した結果をもたらすかは火を見るより明らかです。感情的な予想から脱却し、全ての判断をデータと確率に基づいて行うこと。これが、非合理的な市場で勝ち続けるための第一歩となります。

期待値という「唯一のコンパス」

勘や経験といった、再現性のない不確かな要素を捨て去った後、私たちが唯一頼るべきコンパスが存在します。それが、数学的かつ論理的なアプローチの根幹をなす「期待値(EV – Expected Value)」という考え方です。

期待値とは、ある試行を何度も何度も繰り返したときに、1回あたりに見込まれるリターンの平均値を指します。これを理解し、実践することが、感情的なギャンブルを、再現性のある合理的なゲームへと昇華させるための鍵となるのです。

期待値の基本的な考え方

競馬の例に入る前に、非常にシンプルなゲームで期待値の概念を掴んでみましょう。

【例:コイン投げゲーム】

ここに、表と裏が出る確率がそれぞれ50%の、歪みのないコインがあります。あなたは100円を賭けて、表が出たら220円の払い戻しを受けられる(120円の儲け)、裏が出たら賭け金は没収される(100円の損)というゲームに参加するとします。

このゲームの期待値は、以下のように計算できます。

(220円 × 50%) – (100円 × 50%) = 110円 – 50円 = 60円

計算の結果、期待値は「+60円」となりました。これは、このゲームを何度も繰り返せば、1回あたり平均して60円の利益が見込めることを意味します。たとえ、最初の数回が裏で負け続けたとしても、試行回数を重ねるほど、結果は必ずこの期待値に収束していきます。したがって、このゲームは「参加すべき有利なゲーム」だと判断できるのです。

競馬における期待値の計算と活用

前述の通り、この期待値の考え方を競馬の馬券購入に当てはめると、計算式はよりシンプルになります。

期待値 = オッズ × 勝率

この計算結果が「1」を上回るかどうか。これが、その馬券を買うべきかどうかの唯一の判断基準となります。

では、より具体的なレースを想定して、期待値に基づいた判断プロセスを見ていきましょう。

馬名客観的な勝率
(AIなどが算出)
現在のオッズ期待値の計算
(オッズ × 勝率)
判断
馬A(1番人気)40% (0.4)2.2倍2.2 × 0.4 = 0.88買うべきではない
馬B(2番人気)30% (0.3)3.5倍3.5 × 0.3 = 1.05買うべき
馬C(5番人気)10% (0.1)9.0倍9.0 × 0.1 = 0.90買うべきではない

このケースでは、最も勝つ確率が高いのは馬Aです。しかし、人気が集まりすぎてオッズが低くなった結果、期待値は1を下回っています。これは「実力以上に過大評価されている馬券」と言えます。一方で、馬Bは馬Aより勝率は低いものの、オッズとのバランスが良く、期待値が1を上回っています。これが「実力以上に過小評価されている、価値(バリュー)のある馬券」です。

したがって、私たちの合理的な判断は、たとえ的中率が低く見えても、期待値がプラスである馬Bの単勝馬券のみを購入することになります。目先のレースで馬Aが勝つこともあるでしょう。しかし、このような判断を何百、何千レースと繰り返すことで、長期的な収支はプラスへと向かっていくのです。

期待値に関するよくある誤解

期待値は非常に強力なツールですが、その性質を正しく理解しないと、かえって判断を誤る原因にもなりかねません。ここでは、初心者が陥りがちな誤解を2つ紹介します。

  1. 「期待値が高い」は「的中率が高い」という意味ではない
    前述の例のように、期待値が高い馬券が、必ずしも最も勝率が高い馬券とは限りません。むしろ、多くの人がその価値に気づいていない、少し人気のない馬券が高い期待値を持つことがよくあります。期待値戦略は、的中回数を追い求めるものではなく、一回ごとの投資の「有利さ」を追求する戦略です。
  2. 期待値は短期的な結果を保証しない
    期待値は、あくまで「無限に試行を繰り返した場合の平均値」です。期待値1.05の馬券を10回買ったからといって、必ず利益が出るとは限りません。運が悪ければ10連敗することもあるでしょう。重要なのは、短期的な結果に一喜一憂せず、期待値がプラスの行動を淡々と継続する規律と、連敗に耐えうる資金管理です。

勘や根拠のない予想を捨て、この期待値という「唯一のコンパス」を信じて行動し続けること。これこそが、高い控除率の壁を越え、9割の負け組から抜け出すための、唯一にして最強の戦略なのです。それは、単に馬を当てるゲームから、市場の歪みを見つけ出す知的なゲームへと、競馬そのものの見方を変えることに他なりません。

AIは市場の「歪み」をどう見つけるか

「期待値の重要性は理解できた。しかし、その計算に不可欠な『正確な勝率』を、人間がどうやって算出すればいいのか?」という、当然かつ本質的な疑問が残ります。ここで、私たちの論理的なアプローチを完成させる最後のピース、AI(人工知能)が登場します。

AIは、魔法の水晶玉ではありません。それは、人間の能力を遥かに超えるスケールで、膨大なデータを休むことなく学習し、統計的なパターンを見つけ出す、極めて優秀な分析ツールなのです。感情や先入観といった、人間特有の「バグ」から完全に解放された、客観的な判断を下すことができます。

AIが学習する「データ」の深層

AIの予測精度は、学習するデータの「量」と「質」に大きく左右されます。人間が一日で目を通せる情報量には限りがありますが、AIは過去数十年分に及ぶ、天文学的な量のデータを一瞬で処理し、その関係性を学習していくのです。

AIが分析するデータは、単なるレース結果の羅列ではありません。以下のような多角的な情報を、それぞれ関連付けながら学習します。

  • レース情報:過去の全レース結果はもちろん、1ハロンごとのラップタイム、レース展開(逃げ・先行・差し)、当日の馬体重の増減など。
  • 血統情報:父・母・母父といった血統背景だけでなく、「特定の父と特定の母父の組み合わせは、東京2400mの重馬場で高い成績を収める」といった、複雑な相関関係まで分析します。
  • コース情報:競馬場ごとの特性、直線距離、カーブの角度、トラックバイアス(内外の有利不利)など。
  • 騎手・調教師情報:単なる勝率だけでなく、「この騎手はこのコースが得意」「この調教師は休み明けの馬を仕上げるのが上手い」といった、人に関する傾向もデータ化します。

AIの思考法:「特徴量エンジニアリング」

AIの真価は、ただデータを集めるだけでは発揮されません。最も重要なプロセスの一つが「特徴量エンジニアリング」と呼ばれる作業です。

これは、既存のデータ同士を様々に組み合わせることで、より予測に役立つ、新しい「特徴量(判断材料)」を人工的に作り出す技術を指します。いわば、AIが賢くなるための「教育」のようなものです。

【特徴量エンジニアリングの例】

単純なデータだけでは見えてこない、より深い洞察を得ることができます。

  • 単純なデータ:「A騎手の勝率」「東京競馬場の成績」
  • 作り出された特徴量:A騎手が、東京競馬場の芝1600m、かつ稍重の馬場に乗った際の、過去5年間の成績

このように、条件を細分化して組み合わせることで、AIは「A騎手は全体的な勝率は普通だが、特定の条件下では名人級の腕前を発揮する」といった、専門家のアナリストが見つけ出すような、極めて精度の高いインサイトを発見できるようになります。人間では途方もない時間がかかるこの作業を、AIは自動で、かつ無数に行うことができるのです。

目的は「勝馬予測」ではなく「価値発見」

ここで、AIの目的について、決定的に重要なことをお伝えしなければなりません。優れたAIの目的は、単に「どの馬が1着になるか」を当てることではないのです。

これは、株式投資に似ています。優秀な投資家は、ただ「良い会社」を探すのではありません。彼らが探すのは、「世間の評価以上に、本質的な価値が高い『割安な会社』」です。

これと全く同じで、競馬AIの真の目的は、以下の2つを比較し、その「ギャップ」を見つけ出すことにあります。

  1. AIが算出した、客観的なデータに基づく「本来の勝率」
  2. ファン心理が反映された、市場の「現在のオッズ(人気)」

AIが「この馬の勝率は30%だ」と計算したとします。もし、現在のオッズが3.0倍(勝率33.3%相当の人気)であれば、これは「過小評価」されており、期待値がプラスに近い「価値(バリュー)のある馬券」とは言えません。しかし、もしオッズが4.0倍(勝率25%相当の人気)であれば、これは明らかに「過小評価」されており、期待値が1.2(4.0倍 × 30%)となる、積極的に買うべき「価値のある馬券」だと判断します。

このように、AIは人間の感情や人気に惑わされることなく、純粋な数学的アプローチで市場の「歪み」を発見します。それは、もはや「予想」や「ギャンブル」の領域ではありません。膨大なデータに基づき、市場の非効率性を突く、合理的なプレイヤーだけが行える、知的なゲームなのです。

「勝てない仕組み」の中にこそエッジは存在する

ここまで、競馬がいかに「勝てない仕組み」でできているかを解説してきました。高い控除率、不正確なオッズ、人間の心理的な罠。これだけ聞くと、競馬で勝つことは不可能だと感じるかもしれません。

しかし、発想を転換してみてください。もし競馬市場が完全に効率的で、オッズが常に正確な確率を反映しているとしたら、誰も長期的に利益を出すことはできません。控除率の分だけ、全員が平等に負けていくからです。

私たちが勝つチャンスがあるのは、皮肉なことに、この市場が「非効率」だからなのです。

多くのプレイヤーが感情的に馬券を買い、その結果としてオッズが歪む。この「歪み」こそが、論理的なプレイヤーにとっての利益の源泉、つまりエッジ(優位性)となります。

つまり、「競馬で勝てない仕組み」は、嘆くべき対象ではありません。それは、私たちがハックすべき、攻略対象そのものなのです。この不完全で、人間味あふれる非効率な市場構造を理解し、その歪みを利用することこそが、勝利への唯一の道筋です。

理解すべき競馬で勝てない仕組みの本質

  • 競馬で勝てないのは運だけでなく構造的な仕組みが原因
  • 馬券の売上からは常に控除率という手数料が引かれている
  • オッズは正確な確率ではなく人気投票の結果である
  • 多くの人はプロスペクト理論に起因する心理的な罠に陥る
  • 年間収支がプラスの人は参加者のごく一部しかいない
  • 戦うべき相手は他のプレイヤーではなく市場の非効率性
  • 長期的に勝つには個人の勘や感覚的な予想を捨てる必要がある
  • 全ての判断の基準となるのは期待値という考え方
  • 期待値が1を上回る馬券だけを買い続けることが重要
  • 正確な勝率の算出にはAIによるデータ分析が有効
  • AIは人間の感情を排して客観的な判断を下す
  • 市場が非効率であるからこそ利益を出す機会が生まれる
  • オッズの歪みこそが論理的なプレイヤーのエッジとなる
  • 勝てない仕組みを理解し利用することが勝利への道
  • 感情から論理へ思考を転換することが最初のステップ
目次