こんにちは。Asymmetric Edge、運営者の「K」です。
夏の北海道開催も終盤に差し掛かり、いよいよ秋のG1スプリンターズステークスを見据えた重要な一戦がやってきますね。毎年8月下旬に札幌競馬場で行われるこのレース、馬券を買う前につい「キーンランドカップは荒れるのだろうか」と検索してしまう方も多いのではないでしょうか。
夏の重賞は波乱含みと言われますが、このレースに関しては特にその傾向が顕著に出ていると感じます。過去10年の配当や枠順の傾向、特有の洋芝適性、さらには斤量に恵まれる3歳馬や夏の牝馬の活躍など、様々な要素が複雑に絡み合って予想を難しくさせているんですよね。
私自身、何度もオッズに振り回されて痛い目を見てきました。だからこそ、今年は感覚や思い込みを捨てて、しっかりとしたデータからこのレースの真実に向き合ってみたいと思います。この記事では、なぜ波乱が起きやすいのかというメカニズムを解き明かしながら、激走の予感を秘めた伏兵の見つけ方についてじっくりと考えていきます。
- 過去の配当データから分かる波乱の確率とオッズの偏り
- 札幌競馬場特有の馬場状態がレース展開に与える影響
- データが示す絶対的に不利な枠順と有利な枠順の違い
- 血統や斤量から浮上する狙うべき伏兵馬の具体的な特徴
キーンランドカップはなぜ荒れるのか
「このレースは一筋縄ではいかない」と多くの競馬ファンが口を揃えますが、それにはデータに裏打ちされた明確な理由があるんですよ。感覚的な「荒れそう」ではなく、物理的・環境的な要因が重なることで、本命馬が沈み、思わぬ伏兵が台頭する土壌が出来上がっているんです。
ここでは、過去のデータや札幌競馬場のコース特性などから、波乱を引き起こすメカニズムを一つずつ紐解いていきたいと思います。

過去10年の配当から見る大荒れの真実
まずは、一番気になる「お金」の話、つまり配当データから見ていきましょう。キーンランドカップがどれくらい荒れているのか、過去10年間の3連単や馬連の配当を振り返ると、かなり衝撃的な事実が浮かび上がってきます。
データを整理してみると、過去10年でガチガチの本命決着だったと言えるのは、2016年(3連単10,550円)と2019年(3連単4,480円)のわずか2回だけ。残りの8回は、中荒れから大荒れの波乱決着となっているんです。これって、かなり高い確率ですよね。
| 開催年 | 波乱度 | 馬連 | 3連複 | 3連単 |
|---|---|---|---|---|
| 2024年 | 大荒 | 3,960円 | 26,660円 | 109,420円 |
| 2023年 | 中荒 | 3,590円 | 6,150円 | 30,280円 |
| 2022年 | 中荒 | 4,290円 | 8,960円 | 56,190円 |
| 2021年 | 大荒 | 4,550円 | 65,350円 | 267,390円 |
| 2020年 | 中荒 | 2,390円 | 13,750円 | 95,670円 |
| 2019年 | 本命 | 760円 | 1,410円 | 4,480円 |
| 2018年 | 中荒 | 1,250円 | 9,740円 | 38,480円 |
| 2017年 | 大荒 | 4,570円 | 15,390円 | 114,130円 |
| 2016年 | 本命 | 920円 | 2,190円 | 10,550円 |
| 2015年 | 超荒 | 30,690円 | 33,630円 | 370,520円 |
過去10年の3連単の平均配当は、なんと約109,700円にも達しています。特に記憶に残っている方も多いかもしれませんが、2015年には8番人気のウキヨノカゼが勝ち、2着に9番人気が飛び込んできて37万円超えの特大馬券が出ましたし、2021年にも26万円台の大波乱がありました。
【ポイント】
上位人気馬だけで決まるケースは極めて稀です。常に伏兵馬の台頭を想定した馬券の組み立てが、このレースを攻略する上での絶対条件と言えそうですね。
「強い馬が普通に勝つだろう」という思い込みは、このレースでは本当に危険かもしれません。過去の配当が、私たちに「穴を狙え」と強くメッセージを送ってきているように感じます。

波乱の主役となる中穴ゾーンの特定
「荒れる」と一口に言っても、単勝万馬券のような超大穴が毎回突っ込んでくるわけではありません。では、一体どのあたりの人気帯の馬が波乱を演出しているのでしょうか?過去10年の人気別成績を紐解いてみると、とても興味深い「特注ゾーン」が浮かび上がってきます。
まず1番人気ですが、過去10年で3勝、複勝率50.0%と、一見すると悪くない数字に見えます。ナムラクレアやダノンスマッシュのように、後にG1で活躍するような本物の実力馬はしっかり勝ち切っているんですよね。
ただ、裏を返せば半分の5回は馬券圏外に飛んでいるということ。1番人気だからといって全幅の信頼を置けるレースではない、というのが正直な感想です。
そこで注目したいのが、6番人気から9番人気の中穴ゾーンです。実は過去10年で、このゾーンの馬が合わせて10頭も馬券内に飛び込んできているんです。
さらに驚きなのが、この中穴ゾーンの馬が「2頭同時に」3着以内に入った年が過去10回中3回もあるということ。10番人気以下の超大穴が来るのは2017年のエポワス(12番人気)くらいで稀なんですが、この6〜9番人気の層は本当に要注意ですよ。
【補足】
キーンランドカップの波乱パターンは、「誰も知らないような完全な無印馬」が来るのではなく、「実績はあるのに近走の着順や斤量で人気を落としている馬」が激走するケースが大半です。オッズ的に美味しくなっているだけの実力馬を見抜く力が試されます。
つまり、想定単勝オッズで言うと15倍〜30倍あたりの馬たちでしょうか。このあたりに、配当を跳ね上げてくれる使者が潜んでいる可能性が非常に高いというわけですね。

札幌芝1200mの洋芝と馬場劣化の影響
人気馬が飛び、中穴馬が台頭する。その最大の原因は、舞台となる札幌競馬場のコース特性と、開催時期による馬場の痛みにあります。
札幌競馬場の芝は、本州の野芝とは違い、クッション性の高い「洋芝」100%で作られています(出典:JRA日本中央競馬会『札幌競馬場 コース紹介』)。馬の脚元には優しいのですが、時計がかかりやすく、スピード以上にパワーとスタミナがゴリゴリに要求されるんです。普段、走りやすい軽い芝でスピードを武器にしている馬が、ここでパタッと止まってしまうのはそのためかなと思います。
そしてもう一つ重要なのが、キーンランドカップが「夏の札幌開催の後半」に行われるという点です。毎週のようにレースが行われ、馬場はすでにかなりボロボロの状態になっています。JRAも対策として、この週あたりからAコースからBコースへと内柵を外側に移動させることが多いんですが、焼け石に水な部分もあるんですよね。
【注意】
仮にBコースに替わって内側の芝が保護されたとしても、馬場全体の傷みは進行しています。特にコースの最内は掘れ返っており、走るだけで体力をゴリゴリ削られる「死のゾーン」になりがちです。馬券を買う際は、当日の芝の傷み具合をパドックや午前中のレースでしっかり確認することをおすすめします。
雨でも降ろうものなら、もう田んぼのような重い馬場になります。こうなると、純粋なスプリント能力だけでは乗り切れず、適性による大きなバイアスがかかってしまうんです。これが波乱の根源的な理由と言って間違いないでしょう。

外枠有利と内枠不利が示す残酷な現実
馬場が荒れているとどうなるか。それは「枠順の有利不利」という形で残酷なまでに数字に表れてきます。過去10年の枠順別成績を見ると、思わず声が出てしまうほどの偏りがあるんです。
ズバリ言ってしまうと、内枠(1〜3枠)は絶望的、外枠(特に6〜7枠)が圧倒的に有利です。
データを見ると、1枠は過去10年で3着がたったの1回だけ(複勝率5.9%)。2枠も勝率6.3%と大苦戦しています。重賞に格上げされて以降、札幌で行われたキーンランドカップで1枠から勝ち馬は出ていないんですよ。人気馬が内枠に入ってしまったばかりに、荒れたインコースを走らされて直線で失速…というシーン、何度も見てきましたよね。
| 枠番 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 |
|---|---|---|---|
| 1枠 | 0.0% | 0.0% | 5.9% |
| 2枠 | 6.3% | 6.3% | 12.5% |
| 3枠 | 0.0% | 10.5% | 10.5% |
| 6枠 | 15.0% | 20.0% | 25.0% |
| 7枠 | 20.0% | 25.0% | 30.0% |
対照的に、素晴らしい成績を残しているのが7枠です。勝率20.0%、複勝率30.0%と、内枠とは雲泥の差。過去に特大配当の主役となった8番人気のウキヨノカゼも7枠でした。次いで6枠も好成績で、4枠から7枠あたりの中〜外枠が、このレースの「ウィニングゾーン」と呼べそうです。
理屈はシンプルで、馬場が荒れたインコースを避け、比較的芝の状態が良い外側をスムーズに走れるからですね。最後の直線で推進力を削がれない外枠の馬が、内枠でバテた人気馬を差し切る。この物理的なバイアスこそが、荒れる原因の中核を成していると私は考えています。札幌芝コースにおけるこのような極端なトラックバイアスについては、札幌競馬場の馬場傾向と枠順バイアスを徹底分析した記事でも詳しく解説していますので、あわせて参考にしてみてください。

短い直線で差し馬が逆転するメカニズム
もう一つ、コース形態が生み出すマジックについてお話しさせてください。札幌競馬場の芝コースは、直線が約266メートルと全競馬場の中でも非常に短く、起伏もほぼ平坦です。
普通に考えたら「直線が短い=逃げ・先行馬が圧倒的に有利」ですよね。これは競馬の基本セオリーです。でも、キーンランドカップにおいては、なんとこのセオリーが完全にひっくり返るんです。
過去10年の脚質別成績を見ると、過半数の6勝を挙げているのは「差し馬」です。勝率は11.3%、複勝率は24.5%に達しています。逃げ馬も馬券にはよく絡む(複勝率50%)のですが、勝ち切るには至らないケースが多いんですよね。
なぜ短い直線なのに差しが決まるのか?私なりにレースの力学を分析してみると、そこには「極端な前傾ラップ」と「騎手心理の罠」が隠されていました。
【補足:前傾ラップとは?】
1200m戦において、前半の600m(3ハロン)のタイムが、後半の600m(上がり3ハロン)のタイムよりも速くなるペースのことです。スプリント戦では珍しくありませんが、キーンランドカップではこのタイム差が異常なほど開く傾向にあります。
直線が短いと分かっているからこそ、ジョッキーたちは「早く前に行かなきゃ届かない!」と焦ります。その結果、スタート直後から激しいポジション争いが起き、前半3ハロンは33秒台というハイペースになることがざらです。
野芝の走りやすい馬場ならそのまま押し切れるかもしれませんが、ここは開催後半のボロボロに荒れた「重い洋芝」です。体力をゴリゴリ削られる泥んこのような馬場で、前半からオーバーペースで飛ばしていったらどうなるか…いくら短い直線でも、最後は完全に脚が上がってしまい、パタリと止まってしまうんです。後半の上がり3ハロンに35秒以上かかる、いわば「我慢比べの失速戦」に陥ります。
ここで台頭してくるのが差し馬です。ただし、注意していただきたいのは、最後方から直線のスピードだけでゴボウ抜きにするような「直線一気」のタイプではありません。直線が短い以上、それでは物理的に届かないからです。
【ポイント】
狙うべきは、ハイペースで前が総崩れになる展開を見越して道中は中団でじっと脚を溜め、3コーナーから4コーナーにかけて外を回りながら自力で進出していける「機動力のある差し馬」です。
前を走る馬たちがバテて「スローモーション」のようになっている横を、コーナーから勢いをつけてきた差し馬が一気に突き抜ける。これがキーンランドカップ特有の逆転メカニズムです。
「差し馬=展開待ちの他力本願」と思われがちですが、このレースに限っては違います。過酷なサバイバル戦を冷静に見極め、自らのタイミングで動けるタフな差し馬こそが、配当をハネ上げる主役になるんですよ。
荒れるキーンランドカップで狙うべき穴馬の特徴
ここまで、レースが荒れる理由をコースや展開といった物理的な面から見てきました。では、その過酷な条件を味方につけ、高配当を運んできてくれる「穴馬」には、一体どんな特徴があるのでしょうか。
ここからは、血統、性別、年齢といった競走馬自身のプロフィールから、積極的に狙っていくべき馬の条件を具体的にピックアップしていきます。

夏の牝馬が持つ斤量のアドバンテージ
「夏は牝馬」という競馬界の有名な格言がありますが、キーンランドカップはまさにその格言がドンピシャで当てはまるレースです。
過去10年の性別成績を比べてみると、牡馬・セン馬が勝率3.2%・複勝率13.8%と苦戦しているのに対し、牝馬は勝率11.9%・複勝率28.8%と圧倒的な数字を叩き出しています。過去10年で7勝もしているんですよ。勝率で見るとほぼトリプルスコアです。
なぜここまで牝馬が強いのか。一つは、過酷な暑さに対する耐性が牡馬よりも牝馬の方が強いと言われていること。そしてもう一つ、絶対に見逃せないのが別定戦における斤量差です。
キーンランドカップの基本斤量は、4歳以上の牡馬が57kgなのに対し、牝馬は2kg軽い55kgで出走できます(賞金による増量がない場合)。時計のかかるタフな洋芝において、この「2kgの軽さ」は最後のひと伸びに直結するんです。重い荷物を背負って泥んこ道を走るのを想像してもらえれば、その差の大きさは分かりますよね。
【ポイント】
穴馬を探すときの第一歩は、まず牝馬の中からコース適性の高そうな馬をピックアップすることです。これだけで、好走確率をグッと引き上げることができると思いますよ。

欧州の重厚なスタミナ血統への注目
次に、穴馬を見つけ出すための最強の武器、「血統面」からのアプローチです。
スプリント戦(1200m)と聞くと、普通はアメリカ型のゴリゴリのスピード血統や、サンデーサイレンス系のような一瞬のキレ味(瞬発力)を持つ馬を思い浮かべがちですよね。事実、本州の野芝で行われるスプリント戦なら、そのセオリーで全く問題ありません。
でも、すでに荒れ果てた洋芝で行われるキーンランドカップでは、その常識は通用しません。軽い芝をトップスピードで駆け抜けるような「単調なスピード」や「軽さ」だけでは、足元をすくわれてしまうんです。
ここで特注として強くおすすめしたいのが、欧州の重厚なスタミナ血統を持つ馬です。
中でも代表格と言えるのが、「サドラーズウェルズ(Sadler’s Wells)」の血を引く馬たちですね。サドラーズウェルズ系は、ヨーロッパの深くて重い芝で培われた、底なしのスタミナとパワーを伝えることで知られています。
【補足:なぜ短距離戦でスタミナ血統なのか?】
1200mの短い距離なのにスタミナ血統?と不思議に思うかもしれません。ですが、荒れた洋芝はクッションが効きすぎていて、一歩踏み込むごとに馬の脚から恐ろしいスピードで体力を奪っていきます。つまり、このレースは純粋なスピード勝負ではなく、最後まで脚を止めずに踏ん張り切る「過酷な消耗戦」になるんです。
日本の主流血統が持つ「しなやかさ」は、荒れた重い馬場では逆にノメって(滑って)しまい、うまく推進力に繋がりません。一方でサドラーズウェルズ系のような欧州血統は、泥や重い芝を「力強く掻き込んで進む」体幹の強さを持っています。だからこそ、周りがバテ合いになった最後の直線で、一頭だけ別の生き物のようにグングンと伸びてくるんですよ。
もう少し具体的に血統表を深掘りしてみましょう。サドラーズウェルズそのものだけでなく、その直仔であるガリレオ(Galileo)や、近年日本でも産駒が活躍しているフランケル(Frankel)といった欧州のタフなG1を勝ち抜いてきた血統には要注目です。
また、同じノーザンダンサー系の中でも「ダンジグ(Danzig)」の血を引く馬、特にデインヒルなどの欧州を経由してきたダンジグ系も、強靭なトモ(後駆)のボリュームと踏み込みを持っていて、洋芝適性が非常に高い傾向にあります。
【ポイント】
馬柱を見る時は、父馬だけでなく「母の父(BMS)」や「母系の奥底」までチェックしてみてください。メインはスピード血統でも、母系にサドラーズウェルズなどの欧州スタミナ血統を隠し持っている馬は、人気がなくても絶対に警戒すべきです。
本州の軽い芝では「スピード不足」や「キレ負け」として評価を落としていた馬が、この特殊な馬場に替わった途端に水を得た魚のように突如として覚醒する。世間のオッズがその「隠れた適性」に気づいていないタイミングで狙い撃つ。こういう血統のロマンを読み解くことこそが、高配当を仕留める一番の近道になるんだと思います。

斤量恩恵を受ける3歳馬の脅威
「夏は牝馬」という格言と同じくらい、このキーンランドカップで波乱を語る上で絶対に忘れてはいけないのが「3歳馬」の存在です。特に、古馬(4歳以上)の歴戦の猛者たちと初めてぶつかるこの時期の3歳馬は、配当を大きく跳ね上げる使者として非常に不気味な存在なんですよ。
その最大の武器となるのが、JRAのルールによって定められている「斤量の恩恵」です。
別定戦で行われる8月のスプリント重賞において、古馬の牡馬が基本57kgを背負うのに対し、3歳牝馬はそこからなんと4kgも軽い53kgで出走することができます(出典:JRA日本中央競馬会『負担重量』)。
この「4kg差」を、ただの数字と侮ってはいけません。舞台は開催後半で荒れ果て、走るだけで体力を奪い取られる札幌の重い洋芝です。泥んこのように重い馬場で重い荷物を背負わされる古馬と、身軽な状態で走る3歳馬。ゴール前の過酷な追い比べになった時、この斤量差がまるで魔法のように、最後のひと伸びを力強く後押ししてくれるんです。
【ポイント】
馬券を買うファンの心理として、「まだ重賞での実績がない」「歴戦の古馬相手ではさすがに厳しいだろう」と判断し、昇級戦となる3歳馬の評価を不当に下げてしまいがちです。ここに、オッズの強烈な歪み(ギャップ)が生まれ、穴馬の温床となります。
さらに、夏の3歳馬というのは、私たちが想像している以上のスピードで成長曲線を描いています。春のクラシックシーズンを終え、ひと夏を越そうとするこの時期は、競走馬としての骨格や筋肉が急激に完成へと近づくタイミングなんですよね。過去の実績(馬柱)だけを鵜呑みにしていると、その急成長ぶりを見落としてしまいます。
実際に直近の2025年のレースでは、この3歳世代の脅威がまざまざと見せつけられました。
勝ったのは3歳牡馬のパンジャタワー。彼は牡馬なので恩恵の少ない57kgを背負っていましたが、持ち前の実力と成長力で古馬をねじ伏せました。そして見逃せないのが、3着に食い込んだ3歳牝馬のカルプスペルシュです。彼女はまさに「53kg」という軽量を最大限に活かし、重賞の壁をあっさりと越えて人気以上の激走を見せてくれたんですよね。
【補足】
もし、すでに函館や札幌の自己条件戦(1勝クラスや2勝クラス)で洋芝への高い適性を証明している「上がり馬」の3歳牝馬がいたら、実績不足に見えても必ず買い目に入れておきましょう。古馬との能力差をひっくり返すだけの、斤量という強力なブースターを持っていますよ。

過去の実績から探る洋芝適性の重要性
血統や斤量が重要だというお話をしましたが、最終的に馬券の明暗を分けるのは、やっぱり「実際に洋芝をこなせるかどうか」の実績です。どんなに良血馬でも、本州の野芝でG1を勝っているような名馬でも、洋芝特有の重さに脚をとられて惨敗するシーンを私たちは何度も見てきましたよね。
だからこそ、過去のレース実績から「本物の洋芝適性」を見極めることが、穴馬探しの精度の要になります。
具体的に馬柱のどこを見るかというと、単に「北海道のレースで勝ったことがある」という上辺だけの成績ではありません。レースの中身、特に「どんな時計(タイム)の馬場で好走してきたか」という質に注目します。
【補足:クッション値と勝ち時計の関係】
同じ北海道の洋芝でも、開催時期や天気によって馬場の硬さは全然違います。JRAが発表している「クッション値」が低く、含水率が高い重い馬場では、1200mの勝ち時計が「1分8秒台後半〜1分9秒台」まで落ち込みます。キーンランドカップはまさにこの「時計のかかる馬場」になりやすいのが特徴です。
例えば、6〜7月の函館スプリントSなどで大敗している馬がいるとします。実は開幕して間もない函館の芝は比較的時計が出やすく、そこでの大敗は単にスピード負けしただけのケースがよくあるんです。
もしその馬が、過去に時計の遅いタフな洋芝で無類の強さを発揮していたタイプであれば、開催後半の荒れ馬場で行われるキーンランドカップでは、一転してドンピシャでハマる大チャンスになります。
そしてもう一つ、オッズの盲点になりやすいのが「ダート1200mでの実績」です。
【ポイント】
洋芝を滑らずに走るためには、芝の上を綺麗に滑空するような走り方ではなく、地面をガリガリと「力強く掻き込む」フットワークが求められます。実はこれ、ダート戦で要求されるパワーと非常に親和性が高いんです。
例えば、前走の青函ステークスなどを勝って洋芝1200mの成績がパーフェクトなのに、「過去にダートばかり走っていたから、芝の重賞では通用しないだろう」とファンからフロック視(まぐれ扱い)され、過小評価されている馬がよくいます。
しかし、良馬場のダート1200mでテンのスピードを見せていたような馬の「芝替わり」や「洋芝参戦」は、持ち前のパワーがそのまま活きるため、ヒモ穴としてこっそり馬券に忍ばせておくとものすごく美味しい思いができるんです。
昇級戦の馬でも、直線に急坂がない平坦コースで底を見せていないタイプは要注意ですね。過去の成績やレース内容、フットワークの質などからこういった適性を見抜く具体的なアプローチについては、洋芝適性の見極め方と北海道シリーズ攻略法をまとめた記事でも深く掘り下げて触れていますので、ぜひチェックしてみてください。

過剰人気馬の選別と買い目から外す勇気
高配当を仕留めるためには、穴馬を見つけることと同じくらい「飛ぶ人気馬」を見極めることが重要です。キーンランドカップにおいて、その最大の判断基準となるのが「枠順」です。
前半でもお伝えしましたが、このレースにおいて「1枠〜3枠の内枠」はまさに鬼門です。単勝1番人気の勝率が30%あるからといって、内枠に入った人気馬を無条件で信用するのは非常にリスキーだと言わざるを得ません。
【注意】
馬場が荒れ果てた開催後半の札幌で、最内を立ち回ることは致命的な体力のロスに繋がります。オッズが1倍台の圧倒的な人気馬であっても、内枠に入った瞬間に評価を少し下げるべきです。
馬券を買う側としては、人気馬を切るのはとても勇気がいる行動ですよね。「もし来たらどうしよう…」と不安になります。でも、過去のデータがはっきりと「内枠は不利」と示している以上、思い切って買い目から外す、あるいは対抗やヒモまでの評価に留める勇気を持つことが、高配当への第一歩になると私は信じています。

荒れるキーンランドカップを攻略する戦略
ここまで、「キーンランドカップはなぜ荒れるのか」というテーマに沿って、様々なデータや傾向を見てきました。最後に、これらを総合して私なりの攻略戦略をまとめてみたいと思います。
このレースは、決して運任せのギャンブルで荒れているわけではありません。「馬場の劣化」「洋芝特有の重さ」「直線が短いことによるペースの乱れ」といった物理的なバイアスが重なり、競走馬の適性や能力と世間のオッズ(人気)との間に大きなギャップが生まれるからこそ、荒れるべくして荒れるのです。
実践的な馬券構築のプランとしては、以下のようになります。
- 内枠(1〜3枠)に入った過剰人気馬は思い切って軽視する。
- 過去に実績がありながら近走で評価を落としている「6〜9番人気の中穴馬」を徹底的にマークする。
- 馬場の良い外目をスムーズに走れる「6〜7枠の差し馬」を軸の候補とする。
- 斤量のアドバンテージがある「牝馬」や「3歳馬」、そしてタフな馬場に強い「サドラーズウェルズ系」の血統を持つ馬の評価を一段階上げる。
これらを念頭に置きながら、出走表と枠順、そして当日の馬場状態をじっくりと見比べてみてください。きっと、世間の評価に隠れた「真の穴馬」が見えてくるはずですよ。
最後になりますが、競馬に絶対はありません。この記事で紹介したデータはあくまで過去の傾向に基づく目安であり、結果を保証するものではありません。馬券の購入はご自身の無理のない範囲で、最終的な判断は自己責任で楽しんでいただければと思います。
今年のキーンランドカップで、皆さんが素晴らしい穴馬を見つけ出し、納得のいく的中を手にできることを陰ながら応援しています。Asymmetric Edgeの「K」でした!
