菊花賞は何メートル?距離から歴代名馬まで徹底解説

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「菊花賞って何メートル走るレースなんだろう?」競馬に興味を持ち始めると、そんな疑問が浮かぶかもしれません。日本の競馬の中でも特に長い歴史と格式を誇る菊花賞ですが、その核心にあるのは3000mという長大な距離です。

この記事では、「菊花賞は何メートル?」というシンプルな疑問を入り口に、菊花賞の読み方やいつ、どの場所で開催されるのかといった基本情報はもちろん、詳細なコース解説から気になる賞金、そして出走馬が決定するまでの流れまで、あらゆる情報を網羅的に解説します。さらに、過去の菊花賞結果を振り返りながら、歴代の菊花賞馬や、今なお破られていない驚異のレコードタイムにも迫ります。菊花賞馬は本当に強いのか?という競馬ファンの長年のテーマについても、具体的なデータと共に掘り下げていきます。この記事を読めば、菊花賞の全てがわかります。

  • 菊花賞の基本情報(距離・コース・開催時期)
  • 歴代の名馬とレースレコードの詳細
  • 菊花賞に出走するための条件やプロセス
  • レースの歴史的価値と優勝賞金
目次

菊花賞 何メートル?基本情報を完全網羅

  • 菊花賞の正しい読み方とは
  • 菊花賞はいつ開催されるのか
  • 菊花賞の開催場所とコースを解説
  • 菊花賞の出走馬決定までの流れ
  • 菊花賞の優勝賞金はいくら?

菊花賞の正しい読み方とは

菊花賞の正しい読み方は、「きっかしょう」です。競馬ファンや関係者の間では、この読み方が一般的に使われています。

時折「きくかしょう」と読まれることもありますが、これは慣例的な読み方であり、JRA(日本中央競馬会)の公式な呼称は「きっかしょう」となります。この名前は、開催時期が日本の五節句の一つである「重陽の節句(菊の節句)」に近いことに由来しており、菊は日本の皇室の紋章でもあることから、非常に格調高いレース名として知られています。

豆知識:レース名の由来

菊花賞は1938年に「京都農林省賞典四歳呼馬」として創設されました。イギリスのクラシックレースである「セントレジャーステークス」をモデルにしており、最もスタミナのある馬を決めるレースとして位置づけられています。現在の「菊花賞」という名称になったのは、戦後の1948年からです。

菊花賞はいつ開催されるのか

菊花賞は、毎年10月の最終日曜日に開催されるのが通例です。

このレースは、4月の「皐月賞(さつきしょう)」、5月または6月の「東京優駿(日本ダービー)」に続く、3歳馬クラシック三冠の最終戦として行われます。春に行われる2つのレースから数ヶ月の間隔が空くため、馬たちは夏を越して心身ともに大きく成長した姿でこの大舞台に挑みます。そのため、春の実績だけでは測れない新たなスターが誕生することも少なくありません。

春のクラシック戦線で活躍した馬が順当に駒を進めるのか、それとも夏を越して急成長した「上がり馬」が台頭するのか。ファンにとっては、各馬の成長度合いを見極めるのも菊花賞の大きな楽しみの一つですね。

菊花賞の開催場所とコースを解説

菊花賞が開催される場所は、原則として京都競馬場です。日本の競馬場の中でも特に長い歴史と格式を誇り、数々の名勝負の舞台となってきました。しかし、2021年と2022年は京都競馬場の長期改修工事に伴い、阪神競馬場で代替開催されています。コース形態が異なるため、求められる適性が微妙に変化することも、このレースを予想する上での奥深さの一つと言えます。

そして、このレースを象徴する最大の特徴は、なんといっても芝3000メートルという長大な距離にあります。これは3歳馬が走るG1レースとしては最長距離です。春のクラシック戦線などで経験する2400メートルですら過酷ですが、菊花賞ではそこからさらに600メートルも長く走らなければなりません。そのため、3歳馬にとってはほとんどが初めて経験する未知の領域であり、スタミナの限界を超えた真の底力が試される舞台となります。

レース展開で見る京都競馬場のコース攻略

菊花賞の舞台となる京都競馬場・芝3000メートル(外回り)コースは、単に距離が長いだけでなく、極めて戦略性が問われる複雑なレイアウトが特徴です。ここではレースの流れに沿って、その過酷さと攻略のポイントを見ていきましょう。

スタート~1周目スタンド前

まず、スタート地点が向正面の坂の途中からというのが最初のポイントになります。スタート直後から緩やかな上り坂を走るため、序盤のポジション争いが激しくなりすぎず、比較的落ち着いたペースでレースが始まる傾向にあります。そして、コースをぐるりと半周すると、大歓声が響くスタンド前に到達します。ここで若い3歳馬たちが興奮してペースを乱し、無駄なスタミナを消耗してしまうケースは少なくありません。いかに馬をリラックスさせ、力を温存させるかが騎手の腕の見せ所です。

「淀の坂」越えと騎手の駆け引き

京都競馬場の最大の難所が、3コーナーから4コーナーにかけて待ち構える「淀の坂」です。高低差4.3メートルのこの坂を、菊花賞では2回も上り下りしなくてはなりません。1回目の坂越えはまだ余力があるため静かに通過しますが、勝負どころとなるのは2周目の坂越えです。多くの馬が疲労のピークを迎え始めるこの地点で、スタミナに自信のある馬が早めに仕掛けたり、逆にスタミナを温存したい馬がじっと息を潜めたりと、騎手たちの激しい駆け引きが繰り広げられます。

最後の直線での攻防

6つものコーナーと2度の坂越えを乗り越え、いよいよ最後の直線に入ります。京都競馬場の直線は約404メートルと十分に長いですが、この時点での馬たちのスタミナは限界寸前です。ここからは、残された僅かな力を振り絞る精神力と、最後の最後でもう一度加速できる瞬発力が勝敗を分けます。スタミナ自慢の馬が粘り込むのか、鋭い末脚を持つ馬がまとめて差し切るのか、ゴール前まで目が離せない攻防が展開されるのです。

菊花賞コース攻略の要点

  • 完璧な折り合い:3000mを走り切るには、道中でいかにリラックスしてスタミナを温存できるか(折り合い)が最も重要です。
  • 巧みなコース取り:6回もコーナーを回るため、常に内側をロスなく立ち回る技術が求められます。
  • 坂への対応力:2度の坂越えでスタミナを消耗しないパワーと、下り坂で加速できる器用さが必要です。

枠順による有利・不利は存在するのか?

一般的に、長距離レースでは走る距離が短くなる内枠が有利とされています。これは菊花賞においても同様で、特に器用さに欠ける馬や、ポジション取りが苦手な馬にとっては、内枠からスムーズにレースを進められるメリットは大きいでしょう。

ただ、一方でデメリットも存在します。

内枠の注意点

内枠は他の馬に包まれてしまい、進路がなくなるリスクが常に伴います。特に勝負どころで前に馬が壁になり、動きたいタイミングで動けないという展開は、長距離レースでしばしば見られる光景です。そのため、たとえ外枠であっても、スタートからスムーズに先行して内側に入れれば、不利を最小限に抑えることは可能です。

結論として、枠順だけで有利・不利を判断するのは早計です。馬の性格や脚質、そして何よりも騎手がどのようなレースプランを描いているかを総合的に考える必要があります。これこそが菊花賞の予想を面白くする要素の一つですね。

このように、菊花賞を制するためには、スピード、スタミナ、精神力、そして騎手の巧みなエスコートという、馬と騎手の総合力が極限まで問われます。だからこそ、このレースの勝者は「最も強い馬」と称され、その栄誉は後世まで語り継がれるのです。

菊花賞の出走馬決定までの流れ

菊花賞に出走できるのは、厳しい条件をクリアした3歳の牡馬・牝馬のみです(せん馬は出走不可)。最大出走頭数は18頭と定められており、出走馬は主に2つの方法で決定されます。

1. トライアルレースでの優先出走権獲得

菊花賞の前哨戦として位置づけられている2つのトライアルレースで上位に入ると、優先的に出走する権利が与えられます。

レース名開催時期開催場所距離優先出走権
神戸新聞杯(G2)9月下旬中京競馬場 ※芝2200m3着以内の馬
セントライト記念(G2)9月中旬中山競馬場芝2200m3着以内の馬

※神戸新聞杯は本来阪神競馬場で行われますが、近年は改修工事の影響で中京競馬場で開催されています。

これらのレースで権利を得た馬が、まず出走馬として確定します。

2. 収得賞金順での選出

トライアルレースで優先出走権を得られなかった馬は、「収得賞金」の多い順に出走馬が決定されます。収得賞金とは、レースで得た賞金をもとにJRAの規定で計算される特殊な金額のことです。

皐月賞や日本ダービーといった春のクラシックG1レースで好走している馬は、この収得賞金が高いため、トライアルレースを使わずとも菊花賞に出走できるケースが多くあります。逆に言えば、これまでの実績が乏しい馬は、トライアルレースで3着以内に入ることが菊花賞への唯一の道となるのです。

菊花賞の優勝賞金はいくら?

菊花賞は、その格式の高さにふさわしく、非常に高額な賞金が設定されています。2024年時点での1着優勝賞金は、2億円です。

これは、日本の競馬レースの中でもトップクラスの金額であり、騎手や調教師、そして馬主にとって、まさに夢のタイトルと言えるでしょう。2着以下の賞金も高額で、レース全体の賞金総額は4億円を超えます。

JRA・G1レース 1着賞金ランキング(2024年)

順位レース名1着賞金
1位ジャパンカップ、有馬記念5億円
3位日本ダービー、天皇賞(春・秋)、宝塚記念3億円
7位菊花賞、皐月賞、ヴィクトリアマイルなど2億円

また、もし皐月賞、日本ダービー、そして菊花賞の全てを制して「クラシック三冠」を達成した場合には、馬主に対してJRAから3億円の褒賞金が別途贈られます。

菊花賞 何メートルを制した歴代の名馬たち

  • 菊花賞の過去と最近の結果
  • 菊花賞の歴代レコードタイム
  • 特に強いと評された菊花賞馬
  • 記憶に残る歴代の菊花賞馬
  • 菊花賞の距離と歴史まとめ

菊花賞の過去と最近の結果

80年以上の歴史を誇る菊花賞は、その時代ごとの競馬のトレンドやスターホースの登場を映し出す「鏡」のような存在です。ここでは、数々の名勝負が繰り広げられた近年のレース結果を、具体的なレース内容と共に振り返ってみましょう。特にここ10年の結果を見ると、競馬界の高速化や、レース戦術の多様化といった変化が見て取れます。

過去10年の菊花賞 優勝馬一覧

まずは、直近10年間の優勝馬、騎手、そしてレースの背景を知る上で重要な人気や馬場状態を一覧で確認します。

開催年優勝馬騎手調教師人気勝ちタイム馬場状態
2024年アーバンシック横山武史武井亮2番人気3:04.1
2023年ドゥレッツァC.ルメール尾関知人1番人気3:03.1
2022年アスクビクターモア田辺裕信田村康仁2番人気3:02.4
2021年タイトルホルダー横山武史栗田徹4番人気3:04.6
2020年コントレイル福永祐一矢作芳人1番人気3:05.5
2019年ワールドプレミア武豊友道康夫3番人気3:06.0
2018年フィエールマンC.ルメール手塚貴久7番人気3:06.1
2017年キセキM.デムーロ角居勝彦1番人気3:18.9不良
2016年サトノダイヤモンドC.ルメール池江泰寿1番人気3:03.3
2015年キタサンブラック北村宏司清水久詞5番人気3:03.9

※2021年、2022年は阪神競馬場での開催

記憶に新しい近年の名勝負

表で示したレースの中でも、特に競馬ファンの記憶に深く刻まれている近年の名勝負をいくつか紹介します。

2024年:世代トップクラスの実力馬が悲願の戴冠(アーバンシック)

皐月賞4着、日本ダービー5着と、春のクラシック戦線で常に上位争いを演じながらもあと一歩で栄冠に届かなかった実力馬アーバンシック。菊花賞では、その優れたスタミナ能力を遺憾なく発揮しました。道中は中団でじっくりと脚を溜め、勝負どころの3コーナー過ぎから進出を開始。最後の直線では、先に抜け出したライバルをゴール前で見事に差し切り、世代の頂点に立つにふさわしい能力を証明してみせました。

2023年:異例の経歴を持つ上がり馬の戴冠(ドゥレッツァ)

春のクラシックには出走せず、夏から秋にかけて条件戦を勝ち上がってきたドゥレッツァ。異例の経歴ながら1番人気に支持されたこの馬は、クリストフ・ルメール騎手の完璧なエスコートに応え、見事にG1初制覇を成し遂げました。まさに「夏の上がり馬」が頂点に立った、夢のある一戦として記憶されています。

2020年:歴史に残る無敗の三冠達成(コントレイル)

父ディープインパクト以来となる、無敗でのクラシック三冠達成という歴史的偉業が懸かった一戦でした。レースでは、ライバルであるアリストテレスの徹底マークに苦しみながらも、最後の直線では壮絶な叩き合いの末、クビ差で勝利。手に汗握る名勝負の末に誕生した史上3頭目の無敗三冠馬の姿は、多くのファンの胸を打ちました。

2017年:豪雨の中で生まれた奇跡の走り(キセキ)

この年は、台風の接近による豪雨で、馬場状態が極度に悪い「不良馬場」での開催となりました。多くの馬がぬかるむ馬場にスタミナを奪われる中、キセキは馬場の良い外側を走り続け、最後の直線で驚異的な末脚を発揮して勝利。勝ちタイムの3:18.9は極めて遅いものですが、歴史的な不良馬場を克服したその走りは、まさに「奇跡」と呼ぶにふさわしいものでした。

阪神競馬場での代替開催が与えた影響

2021年と2022年は、京都競馬場の改修工事により阪神競馬場で開催されました。阪神の芝3000mは、京都と比べて最後の直線に急坂があるなど、よりパワーが要求されるコースです。そのため、2022年のアスクビクターモアが記録した勝ちタイム(3:02.4)は、従来の菊花賞レコード(3:01.0)よりも遅いですが、これは阪神コースのレコードタイムであり、極めてレベルの高い高速決着だったと言えます。

こうして振り返ると、同じ菊花賞でも、天候や馬場状態、そしてその年の主役によって全く異なるドラマが生まれていることがわかりますね。過去の結果を知ることで、次の菊花賞がさらに楽しみになるはずです。

菊花賞の歴代レコードタイム

菊花賞のレースレコードは、トーホウジャッカルが2014年に記録した「3:01.0」です。

これは、3000mという長距離において驚異的なタイムであり、10年以上経った現在でも破られていません。この年の菊花賞は、レース前半から速いペースで流れ、非常にスタミナが問われる展開となりました。その中でトーホウジャッカルは、最後の直線で見事な末脚を発揮し、従来の記録を大幅に更新する圧巻の走りを見せました。

驚異のレコード樹立の背景

この記録が生まれた背景には、当日の高速馬場が大きく影響しています。レースが行われた日の京都競馬場は絶好のコンディションで、時計が出やすい状態でした。速いペースと高速馬場という2つの条件が揃ったことで、歴史的なレコードタイムが生まれたのです。

この記録は、菊花賞の過酷さだけでなく、馬の能力と外的要因がかみ合った時に、いかに素晴らしいパフォーマンスが生まれるかを示す好例と言えるでしょう。

特に強いと評された菊花賞馬

前述の通り、菊花賞は古くから「最も強い馬が勝つ」と言われます。3000メートルという長丁場では、単なるスピードや一瞬の切れ味だけでは栄冠に届きません。レース全体の流れを読んでペースを配分するスタミナ、道中で無駄な力を使わない精神的な落ち着き(折り合い)、そして最後の直線でライバルを競り落とす勝負根性。これらの総合力が問われるがゆえに、運や展開の紛れが起きにくく、真の実力馬がその名を刻んできました。

ここでは、その言葉を証明するように菊花賞を制し、後に競馬史を代表する存在となった歴史的名馬たちを紹介します。

ちなみに、なぜ菊花賞馬はその後のキャリアでも活躍できるのでしょうか?それは、この過酷なレースを勝ち抜くことで証明される「心肺機能の高さ」と「精神的なタフさ」が、距離やコースが異なる他のG1レースでも大きな武器になるからです。まさに、真の強者の証と言えますね。

時代を築いた伝説の三冠馬たち

競馬の長い歴史の中で、クラシック三冠(皐月賞・日本ダービー・菊花賞)を全て制した馬はわずか9頭しか存在しません。彼らは世代の頂点に立っただけでなく、菊花賞で見せた圧巻のパフォーマンスで、その強さを不動のものとしました。

シンボリルドルフ(1984年)

「皇帝」と称され、日本競馬史上初となる無敗でのクラシック三冠を達成した伝説の馬です。菊花賞では、道中落ち着いてレースを進め、最後の直線では持ったままで後続を突き放すという圧倒的な内容で勝利。そのレースぶりは、まさに絶対的な王者の風格を漂わせていました。

ナリタブライアン(1994年)

「シャドーロールの怪物」の異名を取った、平成初の三冠馬です。彼の菊花賞は、2着に7馬身もの差をつけるという衝撃的な圧勝劇でした。3000メートルという距離を全く苦にしない、桁違いのスタミナとパワーを見せつけ、見る者すべてに戦慄を覚えさせました。

ディープインパクト(2005年)

父シンボリルドルフ以来、21年ぶりとなる無敗の三冠を達成した近代競馬の結晶です。菊花賞では、最後の直線だけで先行する馬たちをまとめて抜き去る「飛ぶ」ような走りを披露。長距離でも彼の究極の瞬発力が全く衰えないことを証明し、日本中に感動を巻き起こしました。

オルフェーヴル(2011年)

破天荒な気性と、見る者を惹きつける爆発的な強さを兼ね備えた三冠馬です。菊花賞では、一度は先頭に立つものの、内に斜行して失速しかけるという危うい場面を見せながらも、そこから再び立て直して勝利。その勝ち方自体が、彼の規格外の能力を物語っていました。

三冠馬に共通する強さとは

彼らに共通するのは、各レースに求められるスピード(皐月賞)、運と総合力(ダービー)、そしてスタミナ(菊花賞)の全てを高いレベルで兼ね備えていた点です。菊花賞の勝利は、彼らが世代最強であることを決定づける最後のピースだったのです。

菊花賞をステップに飛躍した名馬たち

三冠馬ではなくとも、菊花賞での勝利をきっかけに、その後の競馬界を牽引する大スターへと成長した馬も数多く存在します。

メジロマックイーン(1990年)

日本競馬史上有数の名ステイヤー(長距離を得意とする馬)です。菊花賞でG1初制覇を飾ると、その後は天皇賞(春)を連覇するなど、長距離路線の絶対的王者として君臨。父子三代での天皇賞制覇という偉業も成し遂げました。

キタサンブラック(2015年)

菊花賞がG1初勝利だったこの馬は、古馬になってから本格化し、国民的アイドルホースへと上り詰めました。無尽蔵のスタミナと、レースを支配する卓越した先行力を武器に、天皇賞(春・秋)、ジャパンカップ、有馬記念などG1を6勝。菊花賞での勝利が、彼の輝かしいキャリアの原点となりました。

タイトルホルダー(2021年)

近年を代表する名ステイヤーの一頭です。菊花賞では、レース序盤から先頭に立って後続を引っ張り、そのまま最後まで押し切るという圧巻の逃げ切り勝ちを披露。この勝利で長距離適性の高さを証明し、翌年の天皇賞(春)や宝塚記念の制覇へと繋げました。

強さの証明、されど…

ただし、これだけの名馬を輩出する一方で、3000メートルという過酷なレースを走り抜いた反動は大きく、菊花賞を境に調子を落としてしまう馬がいるのも事実です。また、スタミナに特化しすぎた馬は、その後のスピードが求められる現代競馬の主流である中距離路線で苦戦するケースもあります。菊花賞を勝つことが、必ずしもその後の成功を約束するわけではない点も、このレースの奥深さと言えるでしょう。

記憶に残る歴代の菊花賞馬

前述したような「絶対的な強さ」で競馬史に名を刻んだ名馬がいる一方で、その勝ち方や背景にある物語によって、ファンの心に深く刻まれる菊花賞馬も数多く存在します。記録の上では最強でなくとも、私たちの記憶の中で永遠に輝き続ける馬たちです。ここでは、そんな唯一無二のドラマを生んだ、記憶に残る名馬たちを紹介します。

ファンはなぜ、特定の馬を忘れられないのでしょうか?それはきっと、その馬の走りに、私たちの人生や感情が重なるからだと思います。逆境を乗り越える姿、常識を覆す走り、そして栄光の裏にある儚さ。そうした物語に、私たちは心を揺さぶられるのですね。

ライスシャワー(1992年):「悲運の刺客」から「淀の英雄」へ

彼の菊花賞は、祝福よりも静寂に包まれたものでした。なぜなら、彼の勝利はミホノブルボンの「無敗での三冠達成」という、競馬界全体の夢を打ち砕くものだったからです。「関東からの刺客」「ヒール(悪役)」と呼ばれながらも、彼は見事に大役を果たしました。しかし、その後の彼は度重なる不振に苦しみます。誰もが「もう終わった」と思った2年後、同じ京都競馬場の天皇賞(春)で、彼は劇的な復活勝利を遂げます。この時、かつて彼にブーイングを浴びせた観客から送られたのは、競馬史に残る温かい「ライスシャワー・コール」でした。彼の競走生活は、悪役から英雄へと変わっていった、まさに一編の映画のような物語でした。

セイウンスカイ(1998年):「天才トリックスターの逃亡劇」

彼の菊花賞は、レース史に残る見事な「逃げ切り勝ち」として知られています。しかし、それは単なる逃げ切りではありませんでした。鞍上の横山典弘騎手は、道中で意図的にペースを落とし、後続のスタミナを削ぎながら完璧にレースを支配。最後の直線、誰もが「捕まえられる」と思った瞬間、彼はもう一度加速し、後続を突き放しました。まるでライバルたちを嘲笑うかのような、見る者の常識を覆すトリッキーな走りは、天才と呼ぶにふさわしいものでした。今なお、彼の菊花賞は「最も美しい逃げ切り勝ち」として多くのファンに語り継がれています。

スリーロールス(2009年):「夏が育てたシンデレラボーイ」

春のクラシック戦線では全くの無名だった彼が、菊花賞の主役となりました。夏を越して急激に力をつけ、トライアルレースを勝ち上がってきた、いわゆる「夏の上がり馬」です。しかし、本番での人気は決して高くありませんでした。レースでは、1番人気に支持された日本ダービー馬を徹底的にマークし、最後の直線で見事に競り落として勝利。無名の存在が、世代の頂点に立つという競馬の持つシンデレラストーリーを体現した一頭として、多くのファンに夢と希望を与えました。

ゴールドシップ(2012年):「規格外の個性派アイドル」

彼の魅力は、圧倒的な強さと、気分次第で全く走らないという予測不能な危うさでした。そんな彼の個性が最もよく現れたのが菊花賞です。レース中盤、多くの馬が内側の経済コースを通る中、彼は一頭だけポツンと、誰も通らないような外々を大きく回り始めました。誰もが「無謀だ」と思った瞬間、彼はそこから豪快に加速し、全てのライバルをごぼう抜きにして圧勝。常識外れのコース取りで勝利したこのレースは、彼の規格外の強さと個性を象徴する伝説のレースとして記憶されています。

栄光と隣り合わせの儚さ

前述の通り、これだけのドラマを生む菊花賞ですが、3000mという過酷な距離は、時に馬の競走生命に大きな影響を与えます。ここで紹介したスリーロールスのように、この一戦を最後にターフを去ることになった馬も少なくありません。ファンに鮮烈な記憶を残した馬の多くが、その輝きと引き換えに大きな代償を払っているかもしれない。栄光と隣り合わせにある、そうした儚さもまた、私たちが菊花賞というレースに惹きつけられる理由の一つなのかもしれません。

菊花賞の距離と歴史まとめ

繰り返しになりますが、菊花賞の根幹をなすのは3000mという距離です。

このレースは、1938年にイギリスの「セントレジャーステークス」を範として創設されました。スピードが重視される皐月賞、運も兼ね備えた最も世代で幸運な馬が勝つとされる日本ダービーに対し、菊花賞は純粋なスタミナと底力が試される最後の関門として位置づけられています。この三つの異なる能力を問うレースを全て制覇して初めて、「三冠馬」という最高の栄誉が与えられるのです。

80年以上の歴史の中で、距離や基本的な性格を変えることなく、菊花賞は常に「世代最強のステイヤー(長距離馬)」を決める舞台であり続けてきました。時代と共に競馬のスタイルが変化しても、このレースが持つ特別な価値は、これからも色褪せることはないでしょう。

菊花賞 何メートルという疑問の総まとめ

最後に、この記事で解説してきた菊花賞に関する知識をまとめます。

  • 菊花賞の距離は3000メートル
  • 読み方は「きっかしょう」が正式
  • 毎年10月の最終日曜日に開催される
  • 開催場所は原則として京都競馬場
  • 3歳クラシック三冠の最終戦という位置づけ
  • コースは2度の坂越えを含むタフなレイアウト
  • 出走するにはトライアルレースでの好走か収得賞金が必要
  • 1着の優勝賞金は2億円(2024年時点)
  • 三冠達成時には別途3億円の褒賞金がある
  • レースレコードはトーホウジャッカルの3:01.0
  • ディープインパクトなど多くの歴史的名馬を輩出
  • 「最も強い馬が勝つ」という格言で知られる
  • 過酷なレースゆえにその後の活躍が難しい馬もいる
  • 創設以来、長距離適性を問うという本質は不変
  • 日本の競馬において非常に格式の高いG1レースである
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