菊花賞の逃げ切り勝ち!歴代の名馬と過去データ完全解説

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クラシック三冠の最終戦、「最も強い馬が勝つ」と称される菊花賞。その過酷な菊花賞の距離3000mという舞台で、後続を完封する菊花賞の逃げ切り勝ちは、競馬ファンの記憶に深く刻まれる特別な勝利です。この記事では、菊花賞の逃げ切りが歴代でいかに稀有な記録であるかを掘り下げつつ、菊花賞の過去20年および過去10年にわたる詳細な菊花賞結果を分析します。菊花賞の歴代を彩った伝説の菊花賞馬たちの偉業や、破られることのない菊花賞のレコード、そして菊花賞のレコードの歴代の変遷にも光を当てます。さらに、大波乱の末に生まれた菊花賞の過去最高配当払い戻しの実態、菊花賞の過去10年の血統傾向、そして記憶に新しい菊花賞2022の激闘まで、菊花賞の過去の結果に関するあらゆるデータを網羅的に解説していきます。

  • 菊花賞の逃げ切り勝ちがいかに難しいかが分かる
  • 過去20年のレース結果や血統の傾向が把握できる
  • 歴代レコードや最高配当など記録的なデータが分かる
  • 2022年の菊花賞を含む近年のレース内容が理解できる

目次

なぜ菊花賞の逃げ切り勝ちは伝説なのか

  • 過酷な菊花賞の距離がレースを左右する
  • 菊花賞の歴代と記憶に残る菊花賞馬
  • 菊花賞の逃げ切りは歴代で何回あったか
  • 菊花賞の結果から過去20年の傾向を探る
  • 最新の菊花賞結果で見る過去10年の動向

過酷な菊花賞の距離がレースを左右する

菊花賞が「最も強い馬が勝つ」と言われる最大の理由は、芝3000mという他に類を見ない長距離にあります。これはJRAのG1レースの中でも、天皇賞(春)の3200mに次ぐ長さであり、3歳馬にとってはまさに未知の領域です。

多くの馬は、これまでのキャリアで2400m(日本ダービー)までしか経験していません。そこからさらに600mも距離が延長されるため、単なるスピードだけでは到底乗り切ることはできません。求められるのは、持って生まれたステイヤーとしての資質と、レース全体を通してスタミナを温存する優れたレースセンスです。

京都競馬場のコース特性

菊花賞の舞台となる京都競馬場・外回りコースは、その過酷さに拍車をかけます。コースを約1周半する間に、名物の「淀の坂」を2度も上り下りしなくてはなりません。特に2周目の3コーナー手前に待ち構える坂は、スタミナが消耗し始めたタイミングでの試練となり、多くの馬がここで脚色をなくしていきます。このタフなコース設定が、スタミナと底力の差を明確にするのです。

このように、距離とコースの両面から極限のスタミナが問われるため、菊花賞を勝つ馬は真の長距離能力を備えた馬であることの証明となります。だからこそ、このレースの勝利は非常に価値が高いとされているのです。

菊花賞の歴代と記憶に残る菊花賞馬

菊花賞の歴史は、数々の名馬によって彩られてきました。その中でも特に輝きを放つのが、皐月賞、日本ダービー、そして菊花賞の全てを制した「三冠馬」たちです。

1941年のセントライトに始まり、シンザン、ミスターシービー、シンボリルドルフ(無敗)、ナリタブライアン、ディープインパクト(無敗)、オルフェーヴル、そして2020年のコントレイル(無敗)まで、これまで8頭の三冠馬が誕生しています。彼らは世代の頂点に立つだけでなく、日本競馬史にその名を刻むレジェンドとして語り継がれています。

もちろん、三冠馬以外にも記憶に残る菊花賞馬は数多く存在します。例えば、1992年のライスシャワーは、ミホノブルボンの三冠を阻止する劇的な勝利で「黒の刺客」と呼ばれました。また、2006年のソングオブウインドは、18頭中8番人気という低評価を覆して勝利し、波乱を演出しています。

菊花賞は、単に強いだけでなく、その時代の競馬シーンを象徴するようなスターホースを数多く輩出してきました。それぞれの馬が持つ物語を知ることで、レースの楽しみ方が一層深まりますね。

これらの菊花賞馬たちは、3000mという試練を乗り越えた世代最強のステイヤーとして、その後の競馬界でも大きな活躍を見せています。

菊花賞の逃げ切りは歴代で何回あったか

前述の通り、3000mという長丁場で争われる菊花賞において、「逃げ切り勝ち」は至難の業とされています。レース序盤から先頭に立ってペースを作る逃げ馬は、全馬から目標にされる厳しい立場に置かれます。さらに、スタミナを温存するための「息を入れる」ポイントを見つけるのが難しく、後続からのプレッシャーの中でペースを維持し続ける精神力と持久力が求められるからです。

この困難なミッションを完遂し、歴史に名を刻んだ馬はごくわずかです。近代競馬において、菊花賞の逃げ切り勝ちの代名詞として語り継がれている2頭の偉業を、レース展開やラップタイムと共に詳しく見ていきましょう。

1998年:セイウンスカイ 〜 駆け引きで歴史を創った名手の手綱

横山典弘騎手とのコンビでターフを沸かせたセイウンスカイは、皐月賞を鮮やかに逃げ切った実績を持っていました。しかし、距離が伸びた日本ダービーでは4着に敗れており、3000mの菊花賞で逃げ切れるのか、そのスタミナには疑問符が付けられていたのも事実です。当日の人気も、ダービー馬スペシャルウィーク、京都新聞杯を制したキングヘイローに次ぐ4番人気でした。

レースがスタートすると、セイウンスカイは宣言通りハナを主張します。最初の1000mを60秒3という平均的なペースで通過すると、横山騎手はここから驚くべき手綱さばきを見せます。2000mまでの1000mを64秒7までペースダウンさせ、馬のスタミナを巧みに温存させたのです。そして、後続が追い上げてくる最後の直線で再びスパート。一度温存した脚を爆発させる「二段駆け」とも評される見事なペース配分で、猛追するスペシャルウィークをクビ差で振り切りました。この勝利は、力だけでなく知略で長距離レースを制することができると証明した、まさに伝説のレースです。

2021年:タイトルホルダー 〜 圧巻のスタミナで歴史を継いだ若武者

セイウンスカイの伝説から23年の時を経て、その鞍上だった横山典弘騎手の息子、横山武史騎手がタイトルホルダーと共に歴史的な勝利を飾ります。父が成し遂げた偉業を息子が再現するという、競馬のロマンが凝縮された一戦でした。

タイトルホルダーは、皐月賞2着、ダービー6着と春のクラシックではあと一歩及ばないレースが続いていました。しかし、夏を越して心身ともに成長を遂げ、前哨戦のセントライト記念を勝利して菊花賞に臨みます。レースではスタートから迷いなく先頭に立つと、セイウンスカイとは対照的に、終始淀みないペースを刻み続ける持続力勝負に持ち込みます。最初の1000mを60秒0で入ると、中盤も大きくペースを落とすことなく後続に脚を使わせ、最後の直線ではさらに突き放す圧巻の走りを見せました。結果は後続に5馬身差をつける圧勝。その圧倒的なスタミナと、人馬一体となった堂々たる走りは、新時代のステイヤー誕生を強烈に印象付けました。

【比較分析】2頭の逃げのスタイルの違い

2頭のラップタイムを比較すると、その戦術の違いが明確に分かります。

馬名(開催年)最初の1000m中盤の1000m最後の1000m勝ちタイム戦術スタイル
セイウンスカイ (1998)60.3秒64.7秒59.8秒3:04.8緩急自在の駆け引き型
タイトルホルダー (2021)60.0秒62.1秒62.5秒3:04.6ハイペースの持続力型

セイウンスカイが中盤で明確にペースを落として脚を溜めているのに対し、タイトルホルダーは終始速いラップを刻み続けて後続を振り切っています。これは、馬の特性と騎手の判断が見事に融合した、2つの異なる「逃げの芸術」と言えるでしょう。

新しい潮流:2022年アスクビクターモア

厳密な意味での「逃げ切り」ではありませんが、2022年の勝ち馬アスクビクターモアのレースも、菊花賞の勝ち方として特筆すべきものです。レースではセイウンハーデスが逃げる展開を、アスクビクターモアは2番手の絶好位で追走。そして、勝負どころの3コーナー過ぎから自ら動いて早めに先頭に立ち、そのまま押し切りました。これは現代競馬における「実質的な逃げ」とも言える積極策であり、後続の目標となりながらも最後まで凌ぎ切る強い意志とスタミナが求められます。この勝利は、菊花賞を勝つためには受け身ではなく、自らレースを作っていく能動的な姿勢も重要であることを示しました。

記録をさらに遡ると、1959年にハククラマも逃げ切り勝ちを収めたとされています。当時の競馬は現在と馬場状態やレース展開の質が異なるため単純比較はできませんが、時代を問わず菊花賞の逃げ切りがいかに特別な記録であるかが分かりますね。

これらの歴史が物語るように、菊花賞での逃げ切りは、馬自身の持つ傑出したスタミナと、騎手のミリ単位のペース配分、そして後続のプレッシャーに屈しない精神力が全て揃って初めて成し遂げられる、まさに偉業中の偉業なのです。

菊花賞の結果から過去20年の傾向を探る

過去20年(2005年~2024年)の菊花賞の結果を振り返ると、いくつかの興味深い傾向が見えてきます。

まず、1番人気馬の信頼度ですが、20年間で7勝、2着4回、3着1回と、勝率は35%、連対率は55%となっています。これは他のG1レースと比較しても平均的な数値であり、絶対的な信頼を置けるわけではないことが分かります。特に、3000mという未知の距離が、実績上位馬にとっても大きな壁となっているようです。

一方で、勝ち馬の多くは神戸新聞杯やセントライト記念といった前哨戦の好走組から出ています。特に神戸新聞杯組は菊花賞との関連性が非常に高く、過去20年で12頭の勝ち馬を輩出しています。このため、前哨戦の内容は非常に重要な判断材料と言えるでしょう。

穴馬の激走にも注意

過去20年で、7番人気以下の馬が馬券に絡んだ(3着以内に入った)ケースは10回以上あり、二桁人気の馬が激走することも珍しくありません。特に、道悪(重馬場・不良馬場)になった年は波乱の傾向が強まるため、馬場状態のチェックは必須です。

このように、菊花賞は実績馬が順当に勝つこともあれば、スタミナ自慢の人気薄が台頭することもある、一筋縄ではいかないレースと言えます。

最新の菊花賞結果で見る過去10年の動向

ここでは、より近年の傾向を掴むため、過去10年(2015年~2024年)の菊花賞結果を一覧でご紹介します。

開催年優勝馬騎手調教師タイム人気
2024年アーバンシック横山武史武井亮3:04.11番人気
2023年ドゥレッツァC.ルメール尾関知人3:03.11番人気
2022年アスクビクターモア田辺裕信田村康仁3:02.42番人気
2021年タイトルホルダー横山武史栗田徹3:04.64番人気
2020年コントレイル福永祐一矢作芳人3:05.51番人気
2019年ワールドプレミア武豊友道康夫3:06.03番人気
2018年フィエールマンC.ルメール手塚貴久3:06.17番人気
2017年キセキM.デムーロ角居勝彦3:18.91番人気
2016年サトノダイヤモンドC.ルメール池江泰寿3:03.31番人気
2015年キタサンブラック北村宏司清水久詞3:03.95番人気

2017年のタイムが極端に遅いのは、記録的な大雨による「不良馬場」で行われたためです。この年は、スタミナだけでなく、道悪適性も非常に重要な要素となりました。

この10年を見ると、C.ルメール騎手が3勝、横山武史騎手が2勝と、特定のジョッキーの活躍が目立ちます。また、1番人気馬が5勝と、比較的上位人気の馬が安定した成績を残していることが分かります。とはいえ、7番人気や5番人気といった伏兵が勝利をさらうケースもあり、油断はできません。


データで探る菊花賞の逃げ切り勝ちの条件

  • 菊花賞レコードと歴代の名勝負を振り返る
  • 菊花賞2022のレース展開を分析
  • 菊花賞の過去10年の血統データ傾向
  • 菊花賞の払い戻しと過去最高配当はいくら?
  • 総括:菊花賞の逃げ切り勝ちの難しさ

菊花賞レコードと歴代の名勝負を振り返る

菊花賞のレースレコードは、2014年にトーホウジャッカルが記録した「3:01.0」です。これは、従来のレコードを1.7秒も更新する、まさに驚異的なタイムでした。

この年の菊花賞は、1番人気のダービー馬ワンアンドオンリーを筆頭に有力馬が揃う中、トーホウジャッカルは3番人気という評価でした。レースは序盤から速いペースで進み、スタミナ消耗戦の様相を呈します。そんな中、トーホウジャッカルは中団でじっくりと脚を溜め、最後の直線で力強く抜け出して勝利を掴みました。

レコードが生まれた背景

この驚異的なレコードが生まれた背景には、いくつかの要因があります。

  • 高速馬場: 当日の京都競馬場は絶好の馬場コンディションで、時計の出やすい状態でした。
  • ハイペースな展開: レース全体が速い流れで進んだため、勝ち時計も速くなりました。
  • 馬の能力: そして何より、トーホウジャッカル自身の持つ高い能力と長距離適性が、この記録を可能にした最大の要因です。

この記録は、10年以上が経過した現在でも破られておらず、菊花賞の歴史における金字塔として輝き続けています。今後、このレコードを更新する馬が現れるのか、注目が集まります。

菊花賞2022のレース展開を分析

2022年の菊花賞は、アスクビクターモアがレースレコードに0.6秒差まで迫る「3:02.4」という好タイムで勝利しました。このレースは、厳密な意味での「逃げ切り」ではありませんでしたが、それに近い非常に積極的なレース運びが光りました。

レースを引っ張ったのは、アフリカンゴールドの半弟でもあるセイウンハーデスでした。アスクビクターモアはスタートから2番手の絶好位を確保し、セイウンハーデスを徹底的にマークします。そして、勝負どころの3コーナー過ぎから早くも先頭に立つと、そのまま後続の追撃を振り切ってゴールしました。

この勝利のポイントは、田辺裕信騎手の強気な騎乗にあります。ライバルたちが動き出す前に自ら仕掛けてレースの主導権を握り、アスクビクターモアの武器である持続力のある末脚を最大限に引き出しました。結果的に、春のクラシックで善戦しながらもあと一歩届かなかった悔しさを晴らす、見事なG1初制覇となりました。

2着には夏の上がり馬ボルドグフーシュが、3着にはジャスティンパレスが入り、春の実績馬が順当に力を示した決着でしたね。

このレースは、長丁場の菊花賞においては、スタミナだけでなく、勝負どころで動いていける積極性や機動力も重要であることを改めて教えてくれる一戦でした。

菊花賞の過去10年の血統データ傾向

前述の通り、3000mという極限のスタミナが問われる菊花賞においては、血統に刻まれた長距離適性が勝敗を分ける極めて重要な要素となります。スピードだけでは乗り切れないこの舞台では、父から受け継いだ能力はもちろん、母系から注入されるスタミナや底力が最後の直線での伸びに大きく影響します。ここでは、過去10年(2015年〜2024年)の勝ち馬の血統データを基に、菊花賞を支配する血の潮流を詳細に分析します。

過去10年 菊花賞馬 血統一覧

まず、近年の傾向を掴むために、過去10年の優勝馬とその血統構成(父・母父)をご覧ください。この一覧を見るだけでも、特定の血統が驚異的な成績を収めていることが一目瞭然です。

開催年優勝馬母父 (BMS)
2024年アーバンシックスワーヴリチャードハービンジャー
2023年ドゥレッツァドゥラメンテハーツクライ
2022年アスクビクターモアディープインパクトレインボウクエスト
2021年タイトルホルダードゥラメンテモティヴェーター
2020年コントレイルディープインパクトUnbridled’s Song
2019年ワールドプレミアディープインパクトAcatenango
2018年フィエールマンディープインパクトデインヒル
2017年キセキルーラーシップディープインパクト
2016年サトノダイヤモンドディープインパクトOrpen
2015年キタサンブラックブラックタイドサクラバクシンオー

絶対王者:サンデーサイレンス(SS)系の支配

上記の一覧が示す通り、日本の競馬界を席巻するサンデーサイレンス系が菊花賞においても絶大な影響力を持っています。特にその最高傑作であるディープインパクトの産駒は、2016年から4連覇を含む5勝を挙げるなど、圧倒的な存在感を放っていました。

ディープインパクト産駒は、しなやかな走りと瞬発力を武器に中距離で活躍するイメージが強いかもしれません。しかし、優れた心肺機能とレースセンスを兼ね備えているため、3000mの長丁場でもスタミナを温存し、最後の直線で持ち味の切れ味を発揮できるのです。アスクビクターモアやサトノダイヤモンドなど、多くの菊花賞馬がその能力を証明しました。

2017年の勝ち馬キセキは父がキングカメハメハ系のルーラーシップですが、母父がディープインパクトでした。父系だけでなく、母系に入ってもその影響力の大きさがうかがえますね。

新時代の潮流:キングカメハメハ系の台頭

ディープインパクト亡き後の競馬界で注目されているのが、キングカメハメハ系の血脈です。特にその後継種牡馬であるドゥラメンテの産駒は、2021年のタイトルホルダー、2023年のドゥレッツァと、既に2頭の菊花賞馬を輩出しています。

キングカメハメハ系の特徴は、パワーとスタミナのバランスに優れている点です。ドゥラメンテ産駒もその特性を受け継ぎ、消耗戦に強いタフさを見せます。父キングカメハメハ、母父サンデーサイレンスという日本の主流血統を凝縮した配合は、現代競馬のスピードとスタミナの両方に対応できる強みを持っています。

勝敗を分ける鍵:母父(ブルードメアサイアー)の役割

菊花賞を制するためには、父の能力だけでなく、母父(BMS)から受け継がれるスタミナや底力が極めて重要になります。父が持つスピード能力を、母父が長距離仕様に補強するイメージです。

注目すべき母父の血統
  • 欧州型スタミナ血統: 特にノーザンダンサー系(デインヒルなど)やロベルト系は、ヨーロッパのタフな馬場で培われたスタミナと底力を豊富に含んでいます。フィエールマン(母父デインヒル)やアスクビクターモア(母父レインボウクエスト)のように、これらの血を母系に持つ馬は長距離戦で非常に頼りになります。
  • 意外な配合の妙: 2015年の勝ち馬キタサンブラックの母父は、1200mのG1を制した生粋のスプリンターであるサクラバクシンオーでした。血統の常識からは考えにくい配合でしたが、父ブラックタイド(ディープインパクトの全兄)のスタミナと、母系の活力が見事に融合し、歴史的名ステイヤーが誕生しました。

血統予想の注意点

ここまで解説してきたように、菊花賞では血統が非常に重要なファクターであることは間違いありません。しかし、血統はあくまで「傾向」であり、絶対的なものではないという点には注意が必要です。前述のキタサンブラックの例のように、血統的な評価が低くても、馬自身の心肺機能や気性、そしてレース展開ひとつで結果は大きく変わります。血統データは有力な判断材料の一つとして活用しつつ、個々の馬の能力や状態も見極める多角的な視点が大切です。

このように、菊花賞の血統を読み解くことは、レースの奥深さを知る上で非常に興味深い作業です。父系にサンデーサイレンス系やキングカメハメハ系を持ち、母系から欧州のスタミナ血統を取り込んでいる馬が、現代の菊花賞を制する一つの黄金パターンと言えるでしょう。

菊花賞の払い戻しと過去最高配当はいくら?

「最も強い馬が勝つ」と言われる菊花賞ですが、その一方で3000mという未知の距離が波乱を呼び、時に高配当が飛び出す「荒れるG1」としての一面も持っています。実力馬がスタミナの壁に泣き、伏兵と見られていたステイヤーが台頭する。そんな予測不能な展開が、高額な払い戻しを生み出してきました。

ここでは、菊花賞の歴史の中でも特に大きな波乱として記憶されるレースを振り返り、高配当が生まれる要因を分析します。

ケーススタディ:2017年 〜 不良馬場が生んだ55万馬券

近年で最も大きな払い戻しとなったのが、2017年の第78回菊花賞です。この年は、超大型の台風21号が接近する中で開催され、JRAのレース史上でも稀に見るほどの極悪馬場で行われました。

降り続く豪雨により、コースは水が浮き、まるで「田んぼ」のような状態。スピードや瞬発力ではなく、純粋なパワーとスタミナ、そして道悪適性が問われる過酷なサバイバルレースとなりました。レースは1番人気のキセキが底力を見せて勝利したものの、ヒモが大きく荒れる結果となります。

2017年 菊花賞 結果(3着まで)
着順馬名人気騎手単勝オッズ備考
1着キセキ1番人気M.デムーロ5.1倍父はパワー型のルーラーシップ
2着クリンチャー10番人気藤岡佑介48.2倍父はスタミナ豊富なエイシンフラッシュ
3着ポポカテペトル13番人気和田竜二85.7倍母父にドイツ血統を持つスタミナ型

この結果、3連単の払い戻しは559,700円という、G1レースとしては異例の高配当を記録しました。2着のクリンチャー、3着のポポカテペトルは、血統的にパワーや欧州のスタミナを豊富に含んでおり、まさにこの特殊な馬場が味方した激走でした。

過去20年の10万円超え高配当レース一覧

2017年ほど極端ではないにせよ、菊花賞では3連単10万円以上の高配当(万馬券)は決して珍しくありません。過去20年(2005年〜2024年)を振り返っても、複数回記録されています。

開催年勝ち馬(人気)3連単配当波乱の主な要因
2018年フィエールマン (7番人気)100,590円本命不在の混戦
2017年キセキ (1番人気)559,700円記録的な不良馬場
2009年スリーロールス (9番人気)137,360円本命馬の凡走・展開利
2006年ソングオブウインド (8番人気)172,010円夏の上がり馬の台頭

こうして見ると、数年に一度は大きな波乱が起きていることが分かりますね。特に、春のクラシック路線とは異なる適性が求められることが、予想を難しくしているようです。

菊花賞で高配当が生まれる3つの要因

では、なぜ菊花賞ではこれほどの高配当が生まれるのでしょうか。その要因は、主に3つに大別できます。

要因1:馬場状態の悪化(道悪)

前述の2017年が典型例です。雨によって馬場が渋ると、スピードタイプの馬は自慢の末脚を封じられます。代わりに、欧州血統などを持つパワー型の人気薄馬が台頭し、波乱の立役者となるケースが多くなります。

要因2:絶対的な本命馬の不在

皐月賞馬やダービー馬が不出走であったり、前哨戦の結果が各馬一長一短で混戦模様だったりする年は、人気が割れて高配当が出やすくなります。2018年は、春の実績馬ブラストワンピースが1番人気に推されたものの、絶対的な存在ではなく、結果的にキャリアの浅い7番人気フィエールマンが勝利し、10万円を超える配当となりました。

要因3:特殊なレース展開(展開利)

3000mという長丁場では、レースのペース配分が結果を大きく左右します。全体のペースが極端に遅くなって前残りの展開になったり、逆にハイペースでスタミナ自慢の追い込み馬に展開が向いたりすることで、人気馬が能力を発揮しきれずに凡走し、伏兵が上位に食い込むことがあります。

このように、菊花賞はデータ通りに決まらない難しさと、だからこその魅力に満ちたレースです。馬の実力だけでなく、馬場、展開、そして運までもが複雑に絡み合うからこそ、時に競馬ファンの想像を超えるドラマと高配当が生まれるのです。

総括:菊花賞の逃げ切り勝ちの難しさ

この記事では、菊花賞の逃げ切り勝ちというテーマを軸に、レースの歴史や過去のデータを多角的に解説してきました。最後に、本記事の要点をまとめます。

  • 菊花賞は3000mという過酷な距離で行われる
  • コースには2度の上り坂があり極限のスタミナが求められる
  • 逃げ切り勝ちはスタミナの消耗が激しく極めて困難
  • 近代競馬での逃げ切り勝ちはセイウンスカイとタイトルホルダーが代表格
  • 絶妙なペース配分と騎手の好騎乗が成功の鍵となる
  • 過去20年で1番人気馬の勝率は35%と絶対的ではない
  • 前哨戦の神戸新聞杯組が好成績を収める傾向がある
  • 道悪馬場になると波乱が起きやすく高配当に繋がりやすい
  • レースレコードは2014年トーホウジャッカルの3:01.0
  • 2022年はアスクビクターモアが積極策でレコードに迫る好走を見せた
  • 血統はディープインパクト産駒をはじめとするサンデーサイレンス系が圧倒的
  • 母父に欧州のスタミナ血統を持つ馬も活躍している
  • 近年で最も高配当だったのは2017年の3連単約56万円
  • 菊花賞は実力だけでなくスタミナと運も必要なレース
  • だからこそ逃げ切り勝ちは伝説として語り継がれる
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