モーリス種牡馬 成功の理由と産駒の全貌

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モーリスが種牡馬として成功している理由はどこにあるのでしょうか。現役時代の圧倒的な強さから一転、種牡馬としての評価が注目される中、その成績は「やばい」とまで言われるほどのインパクトを与えています。モーリス産駒は、その特徴や気性、評判において「晩成」傾向が強いと言われながらも、2歳や3歳の早い時期から頭角を現す早熟タイプも登場し、議論を呼んでいます。特にモーリス産駒のg1成績や、距離延長への対応力は、多くの競馬ファンや関係者の関心事です。また、アーモンドアイとの夢の配合は、モーリスの血統的な可能性をさらに広げました。この記事では、モーリスの種牡馬としての成績や産駒の特徴、そして成功の背景にある血統の秘密に至るまで、詳細に分析・解説します。

この記事で分かること

  • モーリスが種牡馬として成功している血統的背景と理由
  • モーリス産駒の具体的な特徴(気性・馬体・成長曲線)
  • 産駒の適性(距離・コース)とG1での主な活躍馬
  • アーモンドアイとの配合など、将来性に関する注目のポイント
目次

モーリスが種牡馬として成功した背景

  • 成功の原点、モーリスの血統構成
  • モーリスの種牡馬 成績と現在の評価
  • 「モーリス 種牡馬 やばい」の真相
  • 注目されるモーリス産駒の特徴とは
  • 総論:モーリス産駒という存在
  • モーリス産駒の気性と集まる評判

成功の原点、モーリスの血統構成

モーリスの成功を解き明かす鍵は、その特異な血統構成にあります。彼の血は、異なる大陸の偉大な血脈が融合した、まさに「計算された配合」の産物です。

父はスクリーンヒーロー。その父は1990年代に一世を風靡した「怪物」グラスワンダーです。この父系は、闘争心とパワーの象徴であるロベルト系に属しており、モーリスに並外れた勝負根性とタフさをもたらしました。ロベルト系は一般的に晩成傾向が強く、厳しいレースでこそ真価を発揮する持久力を伝えることで知られています。

一方で、母系は日本の伝統的な名門牝系です。母メジロフランシスの父は、凱旋門賞馬カーネギー。さらにその父はヨーロッパの大種牡馬サドラーズウェルズであり、世界最高峰のスタミナと底力を注入しています。そして祖母は、中距離重賞で活躍したメジロモントレー。スタミナと健全性を誇る「メジロ牧場」の血が、モーリスの基盤を支えているのです。

この配合の核心は、生産者が意図した「異種交配」にあります。メジロ牝系の品格とスタミナに、ロベルト系の闘争心とパワーを加える。この試みが見事に結実し、マイルでのスピードと2000mでも勝ち切るスタミナを両立させた万能の競走馬モーリスが誕生しました。

種牡馬としてのモーリスは、この「パワーと闘争心(父系)」「スタミナと品格(母系)」という、両極端とも言える優れた要素を産駒に伝えています。これが、現代競馬で成功を収めている最大の理由と言えるでしょう。

モーリスの種牡馬 成績と現在の評価

モーリスは、種牡馬として「トップサイアー」の一角としての地位を完全に確立しています。産駒がデビューして以来、毎年安定して高いレベルの成績を残し続けている点が、彼の評価を不動のものにしています。

彼の具体的な成功は、まず国内のサイアーランキング(種牡馬ランキング)に明確に表れています。モーリスはデビュー初年度から常に総合ランキングのトップ10の常連であり続けています。同期にはキタサンブラックのような歴史的な成功を収めている強力なライバルが存在する中で、モーリスはG1馬をコンスタントに輩出し、重賞戦線を賑わす産駒を毎年送り出すことで、非常に安定した上位の地位を築いています。

さらに、産駒の「質」に目を向けると、彼の評価はより鮮明になります。産駒1頭あたりの稼働率や平均賞金額を示すAEI(アーニングインデックス)と呼ばれる指標があります。これは1.0が平均的な基準とされますが、モーリスはこの数値を毎年大きく上回る高い水準(例えば1.4~1.6前後)を維持し続けているのです。これは、彼が単に産駒数が多いからランキング上位にいるのではなく、デビューする産駒の多くが平均以上に走り、堅実に賞金を稼ぐ「アベレージヒッター」としての側面も強く持っていることを数字で証明しています。

モーリスの遺伝子の優秀性は、日本国内に留まりません。シャトル種牡馬として供用されたオーストラリアでも、その能力は輝きを放ちました。代表産駒であるヒトツ(Hitotsu)は、ヴィクトリアダービー、オーストラリアンギニー、オーストラリアンダービーという、同国を代表するクラシックディスタンスのG1を3連勝する歴史的快挙を達成しています。さらに、マズ(Mazu)もG1ドゥームベン10000を制した後、2025年にもG3ホールマークSを連覇するなど、息の長い活躍を見せています。日本の高速馬場とは異なる、よりタフさが求められる南半球の芝でこれだけの結果を出した事実は、モーリスが伝えるパワーとスタミナが世界中で通用する普遍的なものであることを強く示しました。

そして、現在の評価を決定づけている最大の要因が、彼の「血統的価値」です。前述の通り、現代の日本の生産界は、サンデーサイレンスの血が隅々まで行き渡っている状況にあります。このため、生産者たちは常に、サンデーサイレンスの血を持たない優秀な種牡馬、すなわち「アウトクロス」の配合相手を探し求めてきました。モーリスは、この需要に完璧に応える存在なのです。彼が持つロベルト系のパワーと闘争心は、サンデーサイレンス系の繁殖牝馬が持つスピードや瞬発力と組み合わさることで、互いの長所を伸ばし、弱点を補い合う理想的な配合(ニックス)を生み出します。これが、彼のもとに優秀な繁殖牝馬が集まり続ける理由です。

2025年シーズンも、G1戦線での勝利こそまだないものの、G2京都大賞典でアルビージャが2着に好走し、G2スワンステークスにもアサクサヴィーナスやアルトゥームといった有力馬を送り込むなど、重賞戦線での存在感は依然として強力です。デビュー当初は産駒の気性の難しさが注目されることもありましたが、現在では「一発大物を狙える爆発力」と「安定して重賞で戦える堅実さ」を両立させる、信頼できるトップサイアーとして、その評価は完全に定着したと言えるでしょう。

「モーリス 種牡馬 やばい」の真相

インターネット上で見かける「モーリス 種牡馬 やばい」という言葉には、実は2つの相反する意味が込められています。

一つは、もちろんポジティブな意味での「やばい」です。前述の通り、種牡馬としてG1馬を次々と輩出し、国内外で素晴らしい成績を収めていることへの驚きと称賛です。特にオーストラリアでのヒトツのG1・3連勝などは、まさに「やばい」と表現するにふさわしい衝撃的な実績でした。

もう一つは、ネガティブな意味での「やばい」です。これは主に、産駒の「気性難」を指しています。

ロベルト系の「両刃の剣」
父系から受け継いだ強い闘争心は、レースでの勝負根性となる一方で、時に騎手への反抗や制御不能なほどの「気性難」として現れることがあります。レースで折り合いを欠いたり、ゲート内で激しく入れ込んだりする産駒が目立つことから、「(扱いが)やばい」と評されることがあるのです。

このように、「やばい」という一言には、「G1馬を出す爆発力」「制御困難な気性」という、モーリス産駒の持つ両極端な特徴が集約されています。産駒の個体差が非常に大きいことも、この言葉が使われる要因の一つと言えるでしょう。

注目されるモーリス産駒の特徴とは

モーリス産駒には、父から受け継いだいくつかの明確な肉体的特徴が見られます。これらを理解することは、産駒の将来性を見極める上で非常に重要です。

パワフルで雄大な馬体

最大の特徴は、父の父グラスワンダーから続く系統の特色である、パワフルで筋肉質な馬体です。特に、力強い前躯(ぜんく:馬体の前半身)と奥行きのある胸部は、多くの産駒に共通しています。この頑強な骨格と豊富な筋肉量が、彼らの推進力の源泉となっています。

ただし、この馬体には注意点もあります。

馬体診断のポイント
若駒時代の筋肉は、専門家から「水っぽい」と表現されることがあります。これは、見た目の迫力ほど実質的な筋力が伴っていない状態を指します。彼らの肉体は時間をかけて徐々に完成していくため、若駒時の見た目だけで判断するのは早計です。

長く柔らかい「繋ぎ」

もう一つの特徴は、父スクリーンヒーローから受け継いだ、長く柔らかい「繋ぎ」(つなぎ:球節と蹄の間の部分)です。この柔軟な繋ぎがバネの役割を果たし、地面を力強く捉えるストライドの大きな走りを生み出します。これが、特に東京競馬場のような広いコースで見せる、持続力のある末脚に繋がっています。

これらの肉体的特徴は、モーリス産駒がパワーと持続力を要求される舞台でこそ輝くことを示唆しています。

総論:モーリス産駒という存在

モーリス産駒とは、総じて「父の遺伝的特徴を色濃く受け継いだ存在」と言えます。彼らは、父モーリスが競走馬として示した「パワー」「スタミナ」「闘争心」、そして「成長力」というキーワードを、そのままターフで体現しています。

多くの産駒は、父の雄大な馬格を受け継ぎ、一見すると早熟に(早くから完成されているように)見えるかもしれません。しかし、その本質は異なります。若き日のモーリス自身がそうであったように、その強大なパワーを支える肉体と精神が真に成熟するには時間を要します。

馬主や調教師、そしてファンにとって、モーリス産駒は「忍耐」と「期待」を同時に抱かせる存在です。2歳や3歳の春に結果が出なくとも、その内なるポテンシャルがいつ開花するか分からない。古馬になってからの劇的な変貌こそが、彼らの最大の魅力なのです。

POG(ペーパーオーナーゲーム)では「晩成」と分かっていても指名したくなる魅力がありますし、一口馬主では長期的な視点での投資対象として非常に人気があります。彼らは、馬を「育てる」喜びを再認識させてくれる存在ですね。

モーリス産駒の気性と集まる評判

モーリス産駒を語る上で避けて通れないのが、その「気性」です。前述の通り、父系であるロベルト系の影響を強く受けており、非常に強い競争心を内に秘めています。

この気性は、レースにおいて最後まで諦めない不屈の闘志として現れる一方で、扱いを誤れば制御が難しい「気性難」として表面化します。これが「両刃の剣」と言われる所以です。

集まる評判とその実態

現場の厩舎関係者や騎手からは、「乗り難しいが、秘めたパワーは一級品」といった評判が多く聞かれます。調教でいかに馬とコンタクトを取り、レースで集中力を切らさずに走らせるかが、活躍への最大の鍵となります。

ファンからの評判も同様で、「いつ走るか分からない危うさ」と「G1を勝ち切る爆発力」が同居する、魅力的な存在として認識されています。

気性の個体差と母系の影響
もちろん、全ての産駒が気性難というわけではありません。例えば、G1スプリンターズステークスを制したピクシーナイトは、短距離馬としては異例なほど落ち着きがあり、プロフェッショナルな気性の持ち主として知られていました。これは、母系の血統(母父キングヘイロー)が、父系の気性を上手く和らげた好例と言えます。産駒の個性を評価する際は、母方の血統も考慮に入れることが重要です。

モーリス産駒が導く種牡馬としての成功

  • モーリス産駒 晩成タイプと早熟タイプ
  • モーリス産駒 2歳と3歳の傾向分析
  • モーリス産駒 g1成績と距離延長適性
  • モーリスとアーモンドアイ 夢の配合
  • 総括:モーリス 種牡馬 成功の理由

モーリス産駒 晩成タイプと早熟タイプ

モーリス産駒の最大の特徴として広く知られているのが、「晩成(おくて)」傾向です。父モーリス自身が4歳になって本格化したように、その産駒たちもまた、時間をかけて心身ともに成熟していくケースが非常に多く見られます。

晩成タイプの代表格

この「成長力」を象徴するのが、G1馬となったジャックドール(2023年大阪杯)やジェラルディーナ(2022年エリザベス女王杯)です。彼らはいずれも、3歳クラシックシーズンではG1タイトルに手が届きませんでしたが、4歳以降になって肉体的にも精神的にも完成期を迎え、見事に頂点へと上り詰めました。

雄大な馬体の成長に精神的な成熟が追いつくまでには時間が必要で、4歳、5歳になった時の伸びしろこそがモーリス産駒の真骨頂と言えます。

早熟タイプの開拓者

しかし、この「モーリス産駒=晩成」という定説に一石を投じたのが、2024年の朝日杯フューチュリティステークス(G1)を制したアドマイヤズームです。

アドマイヤズームの衝撃
彼は、モーリス産駒として初めて中央競馬の2歳G1を制覇しました。これにより、モーリスは「晩成馬の父」であると同時に、「早熟なG1馬も出せる父」であることを証明したのです。

アドマイヤズームの登場は、モーリスの種牡馬としてのキャリアが新たなフェーズに入り、産駒の仕上がり早さにも多様性が出てきた可能性を示唆しています。彼が今後、3歳、4歳と成長してどのような軌跡を描くのかは、モーリス産駒の新たな可能性を占う上で大きな注目を集めています。

モーリス産駒 2歳と3歳の傾向分析

前述の通り、モーリス産駒は「晩成」というイメージが強いため、2歳戦や3歳春のクラシックシーズンにおける評価は、POG(ペーパーオーナーゲーム)などで難しい判断を迫られることが多くありました。

2歳戦での傾向

アドマイヤズームが登場するまでは、2歳戦での活躍は比較的限定的でした。体力やパワーはあっても、それをレースで発揮するための精神的な成熟度やレースセンスが追いつかないケースが多かったためです。しかし、アドマイヤズームの勝利により、「2歳戦からでも勝ち上がれる産駒はいる」という認識が広まり、早期デビュー組への評価も見直されつつあります。

3歳クラシックシーズン

3歳シーズンでは、春(皐月賞・桜花賞・オークス・ダービー)よりも、秋(菊花賞・秋華賞)以降に頭角を現す傾向が見られます。夏を越して馬体がさらに成長し、精神的にも落ち着きが出てくることで、本来の能力を発揮し始める馬が多いのが特徴です。

G1馬ピクシーナイトも3歳秋のスプリンターズステークスを制しており、3歳の秋はモーリス産駒にとって大きな飛躍の時期となり得ます。

モーリス産駒 g1成績と距離延長適性

モーリス産駒の成功を分析する上で、G1レースでの実績と、競走馬の能力を測る重要な指標である「距離適性」の分析は欠かせません。父モーリス自身がマイルと2000mという異なる距離カテゴリーで頂点に立ったように、その産駒たちもまた、父から受け継いだ万能性をターフの上で証明しています。

国内外の主なG1勝利産駒(芝)

モーリス産駒のG1勝利は、特定の距離や条件に偏っていないことが最大の特徴です。この事実は、モーリスが多様なタイプの繁殖牝馬の良さを引き出し、幅広いカテゴリーに対応できる優れた種牡馬であることを示しています。まずは、国内外の主なG1(Jpn1含む)勝利馬を見てみましょう。

馬名主なG1勝利レース距離性別勝利時の年齢
ジャックドール大阪杯 (2023)2000m5歳
ジェラルディーナエリザベス女王杯 (2022)2200m4歳
ピクシーナイトスプリンターズS (2021)1200m3歳
アドマイヤズーム朝日杯FS (2024)1600m2歳
ヒトツ (豪)ヴィクトリアダービー (2021) など計3勝2400m-2500m3歳
マズ (豪)ドゥームベン10000 (2022)1200mセン3歳

この一覧だけでも、1200mのスプリントG1(ピクシーナイト、マズ)から、1600mの2歳G1(アドマイヤズーム)、2000m~2200mの中距離G1(ジャックドール、ジェラルディーナ)、さらにはオーストラリアでの2500mクラシックG1(ヒトツ)まで、驚くほど広い守備範囲をカバーしていることが分かります。加えて、2歳から5歳まで、異なる成長曲線を描きながら大舞台に到達している点も注目に値します。

牡馬優勢? 性別による成績の傾向

一方で、G1という最高レベルの戦いに限定すると、ある傾向が見えてきます。それは、G1級の活躍馬が牡馬(またはセン馬)に偏っているという事実です。

前述の表を見ても、日本国内ではジャックドール、ピクシーナイト、アドマイヤズーム、海外ではヒトツ、マズと、主要なG1ウィナーの多くが牡馬(セン馬含む)です。もちろん、エリザベス女王杯を制したジェラルディーナという歴史的名牝の仔がおり、彼女の功績は非常に大きいものです。

しかし、全体的な傾向としては、牡馬の方が父モーリスの持つロベルト系由来のパワフルな馬体や強靭な筋肉を受け継ぎやすいのではないか、と分析されています。その圧倒的なパワーが、ライバルと激しく競り合うG1レースにおいて、最後の勝負を分ける決定的な武器となっている可能性が考えられます。ただし、これはあくまでG1レベルでの傾向であり、条件戦やオープンクラスでは、ディヴィーナやペリファーニア(2025年京成杯AH)など、多くの優秀な牝馬が活躍していることも忘れてはなりません。

芝とダートの「二刀流」適性

モーリスは主に芝の種牡馬として認識されていますが、その産駒はダート(砂のコース)でも一定の能力を示します。これは、血統背景にあるロベルト系の「パワー」が、力の要るダートの馬場にもマッチするためです。

ダートでの得意分野
産駒のダートでの活躍は、特に1400m以下の短距離に集中する傾向があります。カイザーノヴァ(2025年プロキオンS 2着)のように、ダートの猛者が集う重賞で好走する馬も出てきています。芝で頭打ちになった産駒が、ダート替わりで一変するケースも少なくありません。

ただし、ダート適性には注意点もあります。彼らの雄大な馬格とストライド(一歩の幅)の大きな走りは、小回りで器用さが求められるコース、例えば中山ダート1800mのようなコースでは性能を発揮しきれないことがあります。

ダートでの苦手条件
ダートであっても、芝と同様に「広いコース」の方が得意な傾向があります。東京競馬場のような直線の長いコースであれば、そのパワーと持続力を存分に活かすことができるでしょう。器用さよりも、パワーとスタミナが問われる舞台が狙い目となります。

得意なコースと距離延長の秘密

父モーリスはマイル路線で無敵を誇りましたが、産駒のデータ分析上、最もパフォーマンスが安定しているのはマイル(1600m)よりもやや長い、1800mから2000mの距離であるという興味深い結果が出ています。

この傾向が顕著に現れるのが、東京競馬場です。モーリス産駒は「東京巧者」ぶりが際立っており、特に芝1800mと芝2000mでは驚異的な成績を記録しています。この理由は、東京競馬場の最大の特徴である「長く、最後に急な上り坂が待ち受ける直線」にあります。

爆発的な瞬発力(キレ味)よりも、長く良い脚(持続力)とスタミナを武器とするモーリス産駒にとって、このコースレイアウトはまさに理想的です。豊富なスタミナとパワーを活かし、長い直線でじっくりとトップスピードに乗り、坂をものともせずにライバルをねじ伏せるレースを得意としています。

父モーリス自身が、キャリアの後半でマイルから2000mへの距離延長を見事にこなし、天皇賞(秋)や香港カップを制した事実は偶然ではありません。その本質的なスタミナ(母系から受け継いだサドラーズウェルズやメジロの血)は、産駒にも確実に遺伝しています。

モーリス産駒の狙い方
マイル戦でスピードの非凡さを見せながらも勝ちきれなかった馬が、1800mや2000mに距離を延長した際に、その真価を発揮する。これは、モーリス産駒の活躍馬に見られる「黄金パターン」の一つです。

逆に言えば、スタート直後からゴールまで俊敏な立ち回りと瞬発力が要求される、小回りで直線の短いコース(例:中山芝1600mや阪神芝1400mなど)は、そのポテンシャルを発揮しきれない場面も見られます。彼らの能力を最大限に引き出すのは、パワーとスタミナが問われるタフな舞台であると言えるでしょう。

モーリスとアーモンドアイ 夢の配合

近年の日本競馬界において、最も大きな注目と期待を集めた配合が「父モーリス × 母アーモンドアイ」であることは間違いないでしょう。これは単なる人気馬同士の組み合わせではなく、深い血統的意図と壮大なドラマを内包した、まさに「夢の配合」です。

父はG1を6勝したマイル・中距離王者のモーリス。母は史上最多となる芝G1・9勝を挙げた歴史的名牝アーモンドアイ。この二頭のG1勝利数を合わせると「15冠」にもなることから、その仔馬は「15冠ベイビー」という愛称で呼ばれ、誕生前から競馬界全体の期待を一身に背負うことになりました。

計算された血統的意図:奇跡の血「スペシャル」

しかし、この配合の真価は、表面的なG1の勝利数だけにあるのではありません。最大の注目点は、その血統表の奥深くに隠された、極めて計算された設計にあります。

モーリスの母(メジロフランシス)の父はカーネギーであり、その父はヨーロッパの大種牡馬サドラーズウェルズです。一方で、アーモンドアイの父ロードカナロア(キングカメハメハ系)は、その血統内にヌレイエフという名種牡馬の血を持っています。

「スペシャル」の$5 \times 3$インブリード
このサドラーズウェルズとヌレイエフは、20世紀を代表する歴史的な名繁殖牝馬「スペシャル(Special)」から生まれた、父違いの半兄弟にあたります。つまり、この配合は意図的に、この偉大な名牝スペシャルの$5 \times 3$(5代前と3代前に同じ祖先を持つ)という、非常に強烈な近親交配(インブリード)を発生させているのです。これは、かつて世界最強馬の一角とされたエルコンドルパサー(凱旋門賞2着)の配合でも用いられた手法であり、競走馬のスタミナや底力を極限まで引き出すことを狙った、緻密な血統デザインと言えます。

もちろん、インブリードはメリットばかりではありません。強い近親交配は、狙った能力を強化する可能性がある一方、体質の弱さや気性難といった、望ましくない特性を増幅させてしまうリスクも同時に抱えています。この配合は、まさにハイリスク・ハイリターンな試みであり、だからこそ多くの関心を集めたのです。

プロメサアルムンドの試練と未来

この夢の配合から2023年に誕生した第1仔は、牡馬で「プロメサアルムンド(スペイン語で「世界への約束」)」と名付けられました。その名に違わず、彼はデビュー戦で素晴らしいパフォーマンスを見せて圧勝。計り知れないポテンシャルの高さをファンに示しました。

ところが、輝かしい未来が見えた矢先、彼は右前膝の骨折という、競走生命を脅かしかねない重傷を負っていることが判明します。まさに天国と地獄を味わう、過酷な試練の始まりでした。

幸いにも、その後の経過は慎重に進められています。2025年10月の時点では、トレッドミル(馬用のランニングマシン)でのキャンター(駆け足)を開始するなど、復帰に向けた重要なステップを一つずつクリアしているとの情報が入りました。まだ具体的な復帰時期は未定なものの、関係者は彼の持つ素質を高く評価しており、まずは万全の状態に戻すことを最優先にリハビリが続けられています。彼がこの試練を乗り越え、再びターフに戻ってくる日を、競馬界全体が固唾を飲んで見守っています。

続く期待:第2仔、第3仔の誕生

「15冠」の物語は、プロメサアルムンドだけでは終わりません。アーモンドアイは2024年にも、父モーリスの牝馬(つまりプロメサアルムンドの全妹)を出産しています。兄とは異なる性別、そして同じ血統構成を持つ彼女がどのような競走馬に成長するのか、大きな注目が集まります。

さらに、2025年には父エピファネイアの牝馬となる第3仔も誕生しており、母アーモンドアイは繁殖牝馬としても、その伝説を未来へと繋いでいます。モーリスとの配合で示された壮大な血統的ロマンは、今後も様々な形で続いていくことでしょう。

総括:モーリス 種牡馬 成功の理由

モーリスが種牡馬としてこれほどの成功を収めている理由を、記事の総まとめとしてリストアップします。

  • 父モーリスが持つロベルト系のパワーと闘争心
  • 母系(メジロ牝系・サドラーズウェルズ)のスタミナと品格
  • これら相反する要素を高いレベルで産駒に遺伝させていること
  • サンデーサイレンスの血を持たない貴重なアウトクロス種牡馬である点
  • 日本のサンデーサイレンス系繁殖牝馬との相性が抜群であること
  • 産駒は晩成傾向が強く、古馬になってからの成長力が高い
  • ジャックドールやジェラルディーナがその成長力を証明した
  • 一方でアドマイヤズームが2歳G1を制し、早熟性も示した
  • 産駒の適性距離はマイルから2000m前後が中心
  • 特に東京競馬場など広いコースでの持続力勝負に強い
  • 距離延長にも難なく対応できるスタミナを持っている
  • ピクシーナイト(スプリント)やヒトツ(長距離)など多様なG1馬を輩出
  • オーストラリアでもG1馬を複数出すなど世界的な通用性も証明
  • 気性難というリスクはあるが、それが爆発力にも繋がっている
  • アーモンドアイとの配合など、今後も大きな期待が寄せられている
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