こんにちは。Asymmetric Edge、運営者の「K」です。
秋のマイル王決定戦、マイルチャンピオンシップが近づいてきましたね。G1レースの攻略というのは、いつだって競馬ファンの心を熱くさせるものです。ただ、「マイルチャンピオンシップ 攻略」といっても、何から手をつければいいか迷うかもしれません。過去のデータや傾向はどうなのか、今年の出走予定馬の状態は? 京都のコース特性や枠順、騎手の影響も気になりますし、有力馬の分析や最終的な予想の組み立てまで、考えることは山積みです。
私自身、毎年このレースは「どういう馬が勝つのか?」を考えるのがすごく楽しくて、いろいろとデータを掘り下げています。このレースは単なるスピード比べではなく、非常に奥深い要素が絡み合って勝敗が決まる、というのが私の印象です。特に舞台となる京都コースは、JRAの競馬場の中でも屈指のトリッキーさを持っていると感じています。
この記事では、2025年のマイルチャンピオンシップを攻略するために、私が集めた客観的なデータやレース傾向を分析し、有力馬の評価までを体系的にまとめてみました。難解なマイル王決定戦を解き明かすための一助になれば嬉しいです。
- マイルチャンピオンシップの基本情報とレースの「格」
- 勝敗を分ける京都1600m(外回り)コースの秘密
- 過去のデータ傾向から読む「勝利の法則」
- 2025年の有力馬と攻略の最終結論
マイルチャンピオンシップ攻略の基礎データ
まずは「攻略」の土台となる、レースの基本情報と、勝敗に直結する「コース」や「過去のデータ」といった基礎知識を整理していきましょう。ここをしっかり押さえることが、的確な予想への第一歩かなと思います。なぜこのレースが荒れやすいのか、あるいは堅く収まるのか、そのヒントは全て基礎データに隠されている、と私は思っています。

2025年レース概要と賞金
はじめに、2025年の開催概要を、基本的な情報として確認しておきます。
| レース日程 | 2025年11月23日(日) |
| 開催競馬場 | 京都競馬場 |
| コース | 芝 1600m (外回り) |
| レース条件 | 3歳以上オープン、定量 |
| 格付け | 国際GI |
| 1着賞金 | 1億8000万円 (2024年基準) |
注目したいのは、やはり1着賞金1億8000万円という額ですね。これは春の「安田記念」と同額で、JRAが施行するマイルG1としては最高額です。(出典:JRA日本中央競馬会 レース概要)
このことからも、JRAがこのレースを春の安田記念と並ぶ「真のマイル王決定戦」として明確に位置づけているのがわかります。春の王者が安田記念なら、秋の王者を決めるのがこのマイルチャンピオンシップ、というわけですね。
データ分析における「一貫性」の価値
データ分析の上で非常に重要なのが、このレースが1984年の創設以来、「一貫して11月の京都・芝1600m(外回り)」で行われ続けている点です(改修による阪神開催などは除く)。
開催時期が動いたり、コースが根本的に変わったりした他のG1レースとは異なり、マイルチャンピオンシップの過去データは「一貫した条件下」で長年にわたり蓄積されています。したがって、過去10年、あるいはそれ以上の傾向分析は、他のどのレースよりも信頼性が高い。これは攻略する上で大きなアドバンテージになると私は考えています。

京都外回りコースの特性
マイルチャンピオンシップ攻略における最重要ポイントは、間違いなくこの「京都・芝1600m(外回り)」という特殊なコースを理解することです。ここを理解せずして、攻略は始まりません。
一見すると「平坦な京都のワンターンマイル」と思いがちですが、その実態は全く異なります。
高低差と直線の長さ
まず、基本的な物理特性から見ていきましょう。
- 高低差: コース全体の高低差は4.3m。これはJRAの主要4場(東京、中山、京都、阪神)の中でも大きい部類に入り、見た目以上に非常にタフなコースであることを示しています。「平坦の京都」というのは、実は大きな誤解なんですね。
- 最後の直線: 403.7m。これは東京競馬場(525.9m)や阪神競馬場(473.6m)よりは短いですが、中山競馬場(310m)よりは遥かに長く、「やや長め」と定義されます。
最大のキモ:3コーナーの下り坂
そして、このコース最大の“キモ”が、3コーナーに設けられた「丘」の頂上と、そこから4コーナーにかけて一気に下るレイアウトです。
これが、マイルチャンピオンシップのレース質を決定づけています。
「持続力(スタミナ)勝負」を生む下り坂のメカニズム
普通のレースなら、騎手は3〜4コーナーで馬を抑えて息を入れ、最後の直線での「瞬発力」勝負に備えます。いわゆる「タメる」作業ですね。
しかし、京都1600m(外)は、騎手が息を入れたい(=ペースを緩めたい)まさにそのタイミングで、馬が「下り坂」によって自然と加速してしまいます。馬は下り坂だと、自分の意志とは関係なくスピードが出てしまうんですね。
結果として、ラスト800mや600mといったレースのかなり早い段階から、持続的に速いラップが刻まれることになります。これが「淀みない時計」や「スタミナ勝負」と呼ばれる所以です。
同じマイルG1でも、求められる能力が全く違うんです。下の表で比較すると分かりやすいかもしれません。
| コース | 特徴 | 求められる能力 |
|---|---|---|
| 東京 芝1600m (安田記念) | 長い直線、緩い坂 | 瞬発力の絶対値 (トップスピードのキレ) |
| 京都 芝1600m(外) (マイルCS) | 3コーナーからの下り坂 | 持続的なスタミナ (速い脚を長く使う能力) |
つまり、京都1600m(外)は「マイル戦」という皮を被った「中距離戦に近いスタミナ比べ」の側面がある、と私は解釈しています。この「似て非なる舞台」という点を理解しておく必要がありますね。

コースが示す有利な脚質
では、その「タフな持続力勝負」というコース特性は、どのような脚質に有利に働くんでしょうか。
「京都=前有利」というイメージがあるかもしれませんが、ことG1の「マイルチャンピオンシップ」に関しては、その常識は通用しない、むしろ逆だと私は見ています。
近年の勝ち馬を振り返ると、その傾向は明らかです。
- 2024年 ソウルラッシュ: 直線で突き抜け(差し)
- 2023年 ナミュール: 末脚鋭く突き抜け(差し)
- 2022年 セリフォス: 大外から豪脚一閃(追込)
これらは全て、道中は中団や後方で脚を溜め、最後の直線で勝負を決める「差し・追い込み」タイプの馬たちです。
G1レベルでは先行馬が苦しくなる理由
なぜG1では差し・追込がハマるのか。それは前述のコース特性がG1レベル(=速いペース)になることで、より顕著になるからです。
G1レベルの「淀みないペース」では、前々で競馬を進めた逃げ・先行馬は、3コーナーからの下り坂で休む間もなく脚を使わされます。息を入れるタイミングが一切ないんですね。
その結果、最後の403.7mの直線でスタミナが切れてしまい(=バテて)、失速するケースが非常に多いんです。
下級条件の「前有利」というデータに惑わされず、G1では「強力な末脚(上がり3F)」を、厳しい流れの中でも繰り出せる馬を最優先で評価することが、攻略の鍵になると言えそうですね。

データで見る有利な枠順
コースレイアウトは、枠順の有利不利にも当然影響を与えます。データ上、注目すべきは「中枠」です。
特に5枠 [6-5-4-48] (勝率9.5%) や 6枠 [4-8-0-59] (勝率5.6%) といった中枠の成績が良好です。(※データは京都・芝1600m(外)の集計)
なぜ中枠が有利なのか。これはスタート地点(2コーナー奥のポケット)と道中の動き方を考えると分かりやすいかもしれません。
なぜ「中枠」がスイートスポットなのか?
内枠 (1, 2枠) のリスク: スタート直後に馬群に包まれやすく、勝負どころの3コーナー下り坂で加速したい時に進路を失う「ドン詰まり」のリスクがあります。加速したいのに前に壁がある、という最悪のパターンですね。
外枠 (7, 8枠) のリスク: 最初の3コーナーまでの距離はあるものの、コーナーで外々を回らされる距離ロスが蓄積します。下り坂でスピードが乗る分、外を回るロスは見た目以上にスタミナ消耗に繋がります。
中枠 (5, 6枠) の利点: その点、5枠や6枠といった中枠は、内の馬の出方を見ながら馬群に包まれない「外目」のポジションを確保しやすく、かつ距離ロスも最小限に抑えられます。3コーナーの下り坂から直線まで、最もスムーズに加速できる「スイートスポット」と言えるかもしれません。
もちろん、枠順は絶対ではありませんが、予想を組み立てる上で重要なファクターの一つとして覚えておくと良いと思います。

過去データとレース傾向
コースの次に、過去のレースデータから見える「勝利の法則」を探っていきましょう。セクション2のコース分析で導き出した仮説(=マイルCSは「持続的な末脚」と「スタミナ」が問われるレースである)が、実際のデータで検証できるか、補強できるかを見ていきます。
牝馬(ひんば)の台頭が顕著
かつては牡馬(ぼば)の牙城であったマイル戦ですが、近年はトップクラスの牝馬が(エリザベスなどではなく)本レースを選択し、牡馬を一蹴するケースが目立っています。
- 2023年 勝ち馬: ナミュール (牝馬)
- 2020年 勝ち馬: ラッキーライラック (牝馬)
この傾向は、単に「現代競馬は牝馬のレベルが上がった」というだけでなく、マイルチャンピオンシップというレースの「本質」と、牝馬の「能力」が噛み合ってきた結果だと私は分析しています。
なぜ牝馬が勝てるのか? 2kgの「斤量」がタフな流れで活きる
最大の要因は、56kgで出走できる「2kgの斤量(きんりょう)差」です。
平坦なコースでの「瞬発力」勝負(スローペースからのよーいドン)では、2kgの差はそれほど大きなアドバンテージになりません。しかし、セクション2で分析した通り、マイルCSは「スタミナが問われるタフな持続力勝負」です。
3コーナーの下り坂から全馬が速いラップを刻み続ける消耗戦になった時、ゴール前の最後のひと踏ん張りで、この「2kgの差」が牡馬(58kg)との間に決定的な差を生みます。スタミナが問われるレースであればあるほど、斤量の恩恵は大きくなるんですね。
近年は、牡馬顔負けのタフなレースをこなせる強い牝馬が増えました。その「タフな牝馬」が「2kgの恩恵」を得て、スタミナが削られた牡馬たちを最後に差し切る。これが近年のトレンドの正体かなと思います。
したがって、2025年に向けても、アスコリピチェーノやチェルヴィニアといったG1級牝馬は、性別を理由に一切割り引く必要はありません。むしろ、「タフな流れへの適性」さえ確認できれば、牡馬と同等以上の評価を与えるべきだと考えています。
前哨戦(ステップレース)の重要度
マイルCSは、異なる路線から実力馬が集う「異種格闘技戦」の側面がある、と述べました。主要な前哨戦(ステップレース)は主に以下の3つです。
- スワンステークス (GII): 京都 芝1400m
- 富士ステークス (GII): 東京 芝1600m
- 毎日王冠 (GII): 東京 芝1800m
「マイルCSを攻略する」ということは、この「異なるステップレースで示された能力を、いかに京都1600m(外)という物差しで正確に測り直すか」に他なりません。先ほどのコース分析(=持続的なスタミナ)という観点から、これらのローテーションを評価し直してみます。
各ローテーションの「信頼度」を徹底分析
スワンステークス (GII / 1400m) 組
- 課題:距離の壁 + レース質の壁
- 単純な「200mの距離延長」が問題なのではありません。スワンS(京都1400m)は、多くの場合「内回り」で行われ、求められるのは「スピード」と「器用さ」です。対してマイルCSは「外回り」の「スタミナ」勝負。求められるレースの質が、根本的に正反対なんです。
- スワンSをスピードで押し切った馬が、本番のタフな流れでスタミナ切れを起こすのは、ある意味当然の結果と言えます。このローテーションから本番で好走するには、1400mではスタミナが有り余るような、明らかな「距離不適」を示していた馬である必要がありますね。
富士ステークス (GII / 1600m) 組
- 課題:コース適性の壁 (瞬発力 vs 持続力)
- これが、私が思う「最も陥りやすい罠」です。同じ1600mなので信頼しがちですが、中身が全く違います。
- 富士S(東京1600m)は、スローペースからの「瞬発力(トップスピード)」勝負になりやすいレース。いわゆる「上がり3ハロン」のキレ味比べです。
- しかしマイルCS(京都1600m)は、3コーナーの下り坂でペースが緩まない「持続力(スタミナ)」勝負。東京で33秒台の末脚を使った馬が、京都のタフな流れで同じ脚を使えるとは限りません。むしろ、速い流れに戸惑って自慢の末脚が不発に終わるケースも多いです。
毎日王冠 (GII / 1800m) 組
- 評価:最適なローテーション
- 対照的に、最も信頼できるのがこのローテーションです。毎日王冠(1800m)を戦ってきた馬は、マイルCSが要求する「持続的なスタミナ」をすでに証明済みです。
- 彼らにとって、マイルCSの「淀みないペース」はむしろ大歓迎。生粋のマイラーたちがスタミナ切れを起こすタフな流れを、平然と追走できるだけのスタミナが彼らにはあります。
- 1600mへの距離短縮は、スタミナ面での不安が皆無であることを意味し、コース適性の観点からは最も信頼できる前哨戦と言えるでしょう。今年のジャンタルマンタルが、まさにこの「黄金ローテ」に該当しますね。

G1を制する騎手の傾向
最後に、騎手(ジョッキー)のデータです。これは私がG1予想で特に重視するポイントの一つです。
セクション2で分析した通り、マイルCSは「中団で脚を溜め、下り坂でスムーズに加速し、長い直線で末脚を爆発させる」という、非常に高度な騎乗技術が求められるレースです。
スタートでポジションを取りに行くだけでなく、道中は馬群の中で我慢させ、勝負どころ(3コーナーの下り)で的確に進路を選んで加速させる…。こうした複雑なタスクをG1のプレッシャーの中で実行できるのは、やはりコースとG1の特性を熟知したトップジョッキーたちです。
武豊騎手や西村淳也騎手、あるいは松山弘平騎手、川田将雅騎手といった、京都コースやG1での実績が豊富な騎手の騎乗は、それだけで評価を上げるに値すると私は考えています。馬の能力を最大限に引き出す「腕」が、はっきりと結果に表れやすいコースだと思いますね。
2025年マイルチャンピオンシップ攻略と予想
基礎データを押さえたところで、いよいよ2025年の具体的な出走予定馬たちを分析し、攻略の核心に迫っていきます。今年は「絶対王者」に大きな不安要素があり、どの馬にもチャンスがある、非常に面白いレースになりそうだと感じています。

2025年の出走予定馬リスト
まずは2025年11月10日時点での登録状況(22頭)と、出走ボーダーラインを確認しておきましょう。(フルゲート18頭)
| ステータス | 馬名 | 備考 |
|---|---|---|
| 優先出走馬 (3頭) | オフトレイル | スワンS 1着 |
| ガイアフォース | 富士S 1着 | |
| ドックランズ | 外国馬 | |
| 賞金上位馬 (出走当確圏) | ソウルラッシュ | |
| アスコリピチェーノ | ||
| ジャンタルマンタル | ||
| チェルヴィニア | ||
| トウシンマカオ | ||
| ウインマーベル | ||
| エルトンバローズ | ||
| レーベンスティール | ||
| ロングラン | ||
| カンチェンジュンガ | ||
| ウォーターリヒト | ||
| マジックサンズ | ||
| エコロヴァルツ | ||
| ラヴァンダ | ||
| ワイドラトゥール | (ここまでが出走可能) | |
| 除外対象馬 (4頭) | シャンパンカラー | (2023年 NHKマイルC(G1) 勝ち馬) |
| タイムトゥヘヴン | ||
| ランスオブカオス | ||
| ニホンピロキーフ |
2023年のG1馬が除外対象というハイレベル
注目すべきは、2023年のNHKマイルC(G1)の勝ち馬であるシャンパンカラーが除外対象となっている点です。これは衝撃的ですよね。
2025年のメンバーレベルが「G1馬」という実績だけでは出走すら叶わないほど、異常に高いことを示しています。まさにマイル王を決めるにふさわしい、精鋭が集まったと言えそうです。

2強の有力馬を徹底分析
今年のレースは、絶対王者ソウルラッシュへのコンディション不安(詳細は後述)があることで、様相が一変しています。まさに「玉座」が空いている状態。そうなれば当然、その座を狙う「新世代の最強馬」が中心になると私は見ています。
実績、コース適性、そしてローテーション。あらゆる角度から分析した結果、今年の主役はこの2頭を置いて他にいないかな、という結論に至りました。それぞれの「強み」と「不安材料」を深く掘り下げていきます。
ジャンタルマンタル (牡4) – 「中距離スタミナ」という最高の適性
実績: 2025年 毎日王冠 (G2) 1着
私個人、現時点での本命候補No.1はこの馬です。
その最大の理由は、セクション3-2で分析した通り、前走1800mの毎日王冠を勝っての参戦というローテーションにあります。これこそが、マイルCSが要求する「持続力(スタミナ)」に完璧にマッチするんです。
彼は生粋のマイラー(1600m専門)ではありません。皐月賞3着、ダービー4着というクラシックでの実績が示す通り、本質は「中距離馬」です。
ここで、「中距離馬がG1のマイルのスピードに対応できるのか?」という疑問が出るかもしれませんが、彼は2歳時に朝日杯FS(G1)を勝っており、マイルのスピード能力はすでに証明済み。クラシックを経験したことで、そこに「中距離のスタミナ」という最強の武器が上乗せされたと見るべきです。
なぜ「中距離スタミナ」が最強の武器になるのか?
セクション2で徹底分析した通り、京都1600m(外)は、3コーナーの下り坂からゴールまで持続的に速いラップが続く「スタミナ勝負」のコースです。
生粋のマイラーがスピードで押し切ろうとすると、最後の直線でスタミナが切れてバテてしまいます。しかし、ジャンタルマンタルのような中距離馬にとって、この「淀みないペース」はむしろ大歓迎。他がバテる流れを、彼は平然と追走できるスタミナを持っています。
スタミナの裏付けがある上で、G1レベルのスピードも兼ね備えている。タフな京都1600m(外)は、彼にとって最高の舞台と言えるのではないでしょうか。死角は非常に少ないと評価しています。
アスコリピチェーノ (牝4) – 「女王のスピード」が京都で試される
実績: 2025年 ヴィクトリアマイル (G1) 優勝
春には「現役最強牝馬マイラー」の称号を得た馬。ジャンタルマンタルが「スタミナ型」の代表なら、こちらは「スピード型」の代表格。セクション3-1で分析した「牝馬の活躍」トレンドを体現する存在でもあります。
ヴィクトリアマイルで見せた末脚のキレは本物で、G1馬のスピードは当然、最大の脅威です。ただし、攻略の観点からは、彼女には2つの大きな「不安材料」が付きまといます。
不安点①:海外遠征帰りのコンディション
彼女の前走は、フランスのG1「ジャックルマロワ賞」で6着。この「海外遠征帰り」というローテーションは、予想する上で最も慎重になるべきポイントです。
「見えない疲労」というリスク
ヨーロッパへの遠征は、馬にとって私たちが想像する以上の負担がかかります。長距離輸送、異なる環境での調整、検疫、そしてタフなレース…。これらをこなして帰国し、秋の大目標であるG1に向けてコンディションを「再ピーク」に持っていくのは、至難の業です。
調教の時計が良くても、「見えない疲労」が残っているケースは多々あります。春の最強牝馬が、万全の状態でここに出てこられるか。これは当日のパドックまで慎重に見極める必要があります。
不安点②:最大の論点「東京のキレ」 vs 「京都の坂」
こちらが、私にとってはより本質的な懸念です。それは、「彼女の最大の武器(瞬発力)が、京都1600m(外)のコース特性と合わないのではないか?」という点です。
【比較】東京マイルと京都マイル
- 東京コース (ヴィクトリアマイル) 長い直線で、ギリギリまで脚を溜めて「瞬発力(トップスピード)」を一気に爆発させる勝負。彼女が勝ったヴィクトリアマイルは、まさにこの展開でした。
- 京都コース (マイルCS) 3コーナーの「下り坂」で全馬のスピードが嫌でも上がります。ここで同じように脚を溜めていると、前との差が開きすぎて届きません。かといって、ここで一緒に加速すると、彼女の「瞬発力」を403.7mの直線で持続させなければなりません。
つまり、彼女の勝ちパターンである「直線一気」が、京都のコースレイアウトでは非常にやりにくいのです。彼女のキレる末脚が、京都の下り坂によって「持続力勝負」に持ち込まれた時に鈍る可能性は、十分に考慮すべきでしょう。
この2点の不安を乗り越えて勝つようなら、彼女は真の女王です。しかし、予想の組み立てとしては、この「2つの壁」を前提に評価を決める必要があると、私は考えています。

前年覇者ソウルラッシュの状態
そして、2025年のマイルチャンピオンシップ攻略における最大の不確定要素が、この馬、ソウルラッシュです。
2024年の覇者であり、2025年のドバイターフ(G1)も制したソウルラッシュは、実績・能力ともに紛れもなく最上位の存在。賞金も13億5750万円と断トツのトップです。万全なら、彼が勝つ可能性が一番高いでしょう。
しかし、彼には「攻略」上、最大の懸念材料があります。
懸念材料:6月の「左第4中手骨々折」からの復帰戦
2025年6月12日、ソウルラッシュの「左第4中手骨々折」が判明しました。JRAは「今後3ヵ月以上の休養を要する見込み」と発表しました。
タイムラインを整理すると、
- 6月12日: 骨折判明 (3ヶ月以上の休養)
- 9月12日: このあたりまで休養
- 11月23日: レース本番
レースまでの準備期間は、実質わずか2ヶ月強しかありません。骨折明けのG1馬が、世界レベルのコンディション(ドバイターフを勝てる状態)をこの短期間で取り戻すのは、極めて困難であると言わざるを得ません。
したがって、「攻略」の観点からは、ソウルラッシュは「万全であれば勝てるが、万全である可能性は極めて低い」と判断するのが妥当かなと思います。彼は「消し」か「抑え」の評価であり、軸(本命)として信頼するのは非常に危険な選択となるかもしれません。
2025年のマイルCSは、この絶対王者が万全ではないという前提で戦略を組み立てるべきだと、私は考えています。

最終予想の注目ポイント
2強(ジャンタルマンタル、アスコリピチェーノ)と、絶対王者ソウルラッシュの状態不安。ここまではっきりしていると、予想の軸は立てやすいかもしれません。ですが、「馬券」を攻略するとなると話は別です。
馬券を組み立てる上で、3着候補や、仮に2強が何らかの理由で崩れた場合に突っ込んでくる「第3の馬」の分析は欠かせませんよね。ソウルラッシュが万全でないなら、彼らが台頭するチャンスは十分にあるはずです。
ここでは、2強+1以外で、G1奪取の可能性を秘めた実力馬たちを、攻略の観点から深掘りしていきます。
【A-評価】チェルヴィニア (牝4) – オークス馬のスタミナは武器になるか
実績:オークス (G1) 1着 / マーカンド騎手と新コンビ
アスコリピチェーノと同じ「強い牝馬」枠ですが、こちらはタイプが全く異なります。彼女はオークス(2400m)馬。一見、マイルへの距離短縮は「?」と思うかもしれません。
しかし、思い出してほしいのは、セクション2で分析した「京都1600m(外)はスタミナと持続力が問われる中距離戦」というコースの本質です。
単なるスピードで押し切れるコースではなく、3コーナーの下り坂からゴールまで、速い脚を持続させるタフさが求められます。その点において、2400mのG1を勝った彼女のスタミナの裏付けは、スピード一辺倒のマイラーよりもむしろ信頼できる武器になる、と私は見ています。
課題は、マイルG1の速い「流れ」に戸惑わず、中団あたりでしっかり脚を溜められるか。そこは新コンビを組むマーカンド騎手の腕の見せ所ですね。軽視は非常に危険な1頭だと評価しています。
【B評価】前哨戦組(オフトレイル / ガイアフォース)の壁
優先出走権を獲得し、勢いを持って参戦する2頭です。ただ、この2頭には本番で越えなければならない「壁」が存在すると私は考えています。
オフトレイル (牡4) – スワンS(G2) 1着
彼に立ちはだかるのは、1400mからの「距離の壁」と、何より「コース適性の壁」です。
スワンS(京都1400m)は、マイルCSとは全く求められる適性が異なります。1400m戦特有の器用さやスピードが問われるレースで、本番の「外回り1600mの持続力勝負」とはリンクしにくいのが過去の傾向です。スワンSで好走した馬が、本番でスタミナ切れを起こすケースは本当によく見られます。
彼がその「壁」を越えられるか。1600m以上での実績が乏しいだけに、勢いだけで飛びつくのは少し危険かな、というのが私の見解です。
ガイアフォース (牡6) – 富士S(G2) 1着
こちらは富士S(東京1600m)の勝ち馬。一見、同距離なので問題なさそうですが、ここにも「コース適性の壁」があります。
富士Sが行われる東京1600mは、長い直線での「瞬発力(トップスピード)」勝負になりやすいコース。対してマイルCS(京都)は「持続力(スタミナ)」勝負(セクション2参照)。
さらに言えば、富士SはG1馬が万全の仕上げで出てくるレースではありません。彼がG1の「淀みないペース」を経験した時に、富士Sと同じようなパフォーマンスが出せるかは未知数です。これが「G1の壁(=ペースの壁)」ですね。
【B-評価】カンチェンジュンガ (牡5) – 京都コースの不気味な伏兵
「G1ではワンパンチ足りない」という印象が拭えない馬ですが、個人的には不気味な存在として注目しています。
G1でも大崩れはしていない安定感があり、何より「京都コース(特に外回り)」での好走歴が光ります。彼はキレる脚を使うタイプではなく、長く良い脚(持続力)を使うタイプ。これは、まさに京都1600m(外)が求める適性と合致しています。
京都コースを知り尽くした藤岡佑介騎手との新コンビも、この馬のしぶとい持続力を引き出してくれそうで、3着候補として穴をあけるなら…と密かに期待している1頭です。
エコロヴァルツ (牡4) の動向について
この馬については、「福島記念(G3, 2000m)が本線だが、ハンデが重ければマイルCSに出走する可能性もある」と報じられています。
G1というのは、全ての陣営が「ここ目標」に万全の仕上げ(メイチ)で臨んでくる舞台です。その中で、「他のレースが本線かも」という馬が好走するのは、極めて稀です。
仮に出走してきたとしても、仕上げに疑問符が残るため、評価は上げにくいですね。クラシックでも先行して粘り込むスタミナは見せていますが、G1を勝負するには「熱意」も必要かなと思います。

2025年マイルチャンピオンシップ攻略まとめ
最後に、2025年のマイルチャンピオンシップ攻略の鍵を、私なりに3点に集約します。今年の予想は、この3点の見極めにかかっていると思います。
攻略の鍵1:コースの本質を見抜く
マイルチャンピオンシップは「マイルG1」でありながら、その実態は「スタミナと持続力が問われる中距離戦」です。3コーナーの下り坂が生む「淀みないペース」に対応できる、タフな馬を狙うべきです。
攻略の鍵2:末脚(あがり)の絶対値を信じる
近年の勝ち馬(ソウルラッシュ、ナミュール、セリフォス)は、全てが「差し・追込」タイプ。先行馬がバテる展開を読み、中団から突き抜けられる「真の末脚」を持つ馬が勝者となります。
攻略の鍵3:2025年の「2強」と「1つの不安」
前年覇者ソウルラッシュのコンディション不安こそが、2025年の最大の変数です。彼が万全でないならば、レースは「新世代のマイル王」の誕生を意味します。
その筆頭は、「中距離ローテ」という最高のコース適性を持つジャンタルマンタルと、春の「マイル女王」であるアスコリピチェーノの2頭です。
2025年のマイルチャンピオンシップ攻略は、この「2強」の評価、そして「ソウルラッシュの取捨選択」に懸かっていると言えそうですね。
この記事が、あなたの予想の一助となれば幸いです。
本記事の内容は、公開時点のデータや情報に基づいた個人的な見解や分析です。特定の馬の勝利を保証するものではありません。
馬券の購入は、ご自身の判断と責任において、無理のない範囲でお楽しみください。最終的な出走馬や馬場状態、オッズなどは、必ずJRAの公式サイトなどで最新の情報をご確認ください。
