こんにちは。Asymmetric Edge、運営者の「K」です。
いよいよ冬の中山開催、その中でも特に難解とされるターコイズステークスの時期がやってきましたね。過去傾向を調べてみても、人気馬があっさり飛んだり、思わぬ伏兵が激走したりと、一筋縄ではいかないレースとして有名です。馬券を買う側としては「どう買えばいいのか分からない」と頭を抱えてしまうことも多いのではないでしょうか。私自身もかつてはこの「魔境」とも呼ばれるレースに何度も泣かされてきました。しかし、膨大なデータを紐解いていくと、そこには単なる運だけでは片付けられない明確なバイアスが存在することが見えてきます。この記事では、ターコイズステークスの過去傾向を中心に、枠順の有利不利や血統的な適性、ハンデの影響などを徹底的に分析し、2025年の攻略に向けたヒントをお届けします。
- 過去10年のデータから判明した「絶対に買ってはいけない枠」の正体
- 荒れるレースで高配当を演出する穴馬の共通点と血統傾向
- ハンデ戦における斤量の考え方と大型馬が有利な物理的理由
- 2025年の予想に役立つ具体的な攻略戦略と注目すべきポイント
ターコイズステークスの過去傾向と枠順・人気の死角
まず最初に、このレースがいかに「一筋縄ではいかないか」という全体像を掴んでおきましょう。中山芝1600mというトリッキーな舞台設定に加え、ハンデ戦という要素が絡み合うことで、ターコイズステークス独特の「荒れる構造」が出来上がっています。ここでは、配当の傾向や、多くのファンが頭を悩ませる「枠順の謎」について、過去のデータと物理的なコースレイアウトの両面から深掘りしていきます。

荒れるレースの配当傾向と波乱の歴史
ターコイズステークスが競馬ファンの間で「魔境」や「最難関」と呼ばれる最大の理由は、上位人気の信頼度が極端に低いことにあります。2015年に重賞(G3)へ昇格して以降のデータを振り返ってみても、1番人気の成績は【2・0・1・5】と勝率・連対率ともに低調で、馬券圏外に飛ぶことも珍しくありません。同様に2番人気も【1・1・0・6】と苦戦しており、上位人気が揃って共倒れするシーンもしばしば見受けられます。
なぜ、これほどまでに人気馬が信用できないのでしょうか。その背景には、いくつか複合的な要因が絡み合っています。まず一つ目は、開催時期の問題です。12月の中山開催は、一年酷使された芝コースが荒れ始め、さらに冬場の寒さで芝の生育も止まるため、時計のかかるタフな馬場状態になりがちです。これにより、秋の高速馬場で好成績を残してきたスピードタイプの人気馬が、足元の悪さに戸惑い能力を発揮できないケースが多発します。
二つ目は、ハンデ戦特有の「斤量差」と「格」のバランスの難しさです。実績のある馬には重いハンデが課され、実績の乏しい馬には軽いハンデが与えられますが、ターコイズステークスではこのバランスが絶妙に機能しており、能力比較を困難にしています。特に、人気になりやすい「重賞好走歴のある馬」が、初めて背負う重い斤量や中山の特殊なコース形態に適応できず、脆くも崩れ去るパターンが後を絶ちません。
一方で、4番人気以下の伏兵が優勝馬の半数近くを占めるなど、波乱の芽は常に潜んでいます。単勝オッズ数十倍の穴馬が突っ込んでくることも日常茶飯事で、3連単の配当が10万馬券、時には数百万馬券に跳ね上がることもあります。これは単に実力が拮抗しているからというだけでなく、展開のアヤや騎手の判断一つで着順が大きく入れ替わるコース特性が影響しています。
したがって、このレースを予想する際は「荒れることを前提としたアプローチ」が不可欠です。本命サイドで堅く収まることを期待して点数を絞るよりも、少し広めに網を張って高配当を狙いに行く方が、トータルでの回収率を高める近道かもしれません。「どうせ荒れるなら」と腹を括り、人気薄の馬にも積極的に印を打つ勇気が試されるレースだと言えるでしょう。

6枠が不利な理由と外枠の有利不利
中山マイルと言えば「外枠不利」が定説ですが、ターコイズステークスの過去傾向においては、単なる外枠不利という言葉では片付けられない、もっと深刻で衝撃的なデータが存在します。それが「6枠の絶望的な不振」です。競馬において「絶対」という言葉は禁物ですが、このデータに関しては、構造的な欠陥を示唆するレベルの数値が出ています。
【衝撃のデータ】死の枠「6枠」の真実
過去10年のターコイズステークスにおいて、6枠(概ね11番〜12番ゲート付近)に入った馬の成績は【0-0-0-18】。つまり、勝率、連対率、複勝率のすべてが0.0%となっています。これは統計的な誤差の範囲を逸脱しており、物理的に極めて不利な条件が揃っていることを示しています。
なぜここまで6枠が走らないのでしょうか? その理由を力学的・幾何学的に考察すると、スタート地点から最初のコーナーまでの短い距離と、ポジショニングの力学が見えてきます。中山芝1600mは、スタートしてから最初のコーナー(2コーナー)までの距離が約240メートルしかありません。
6枠の馬は、内枠の馬を見ながらスタートできる位置にありますが、これが逆に仇となります。外からは7枠・8枠の馬が、距離ロスを避けるために内側へ切れ込みながら被せてくるリスクに常に晒されています。スタート直後に内の馬が好スタートを切れば進路を塞がれ、外の馬が積極的に出していけば挟まれる形になりやすいのです。結果として、コーナーへの進入角度が鋭角になりすぎて遠心力で外に振られるか、あるいは馬群の中団外という「距離ロスがあり、かつ前に壁を作れない」最悪のポジションに収まりやすくなります。
一方で、意外なことに内枠の2枠も【1-0-1-16】と苦戦傾向にあります。1枠ではなく2枠が苦戦する理由は、「ポケット(袋小路)」に閉じ込められるリスクです。スタート後、1枠の馬はラチ沿いを確保しやすいですが、2枠の馬は1枠の馬と、外から切り込んでくる馬との間に挟まれ、動くに動けない「詰まり」が発生しやすくなります。特にフルゲートの多頭数となるターコイズSでは、道中の密集度が高く、一度ブレーキを踏むと致命的です。
こうした分析から導き出される理想的な枠順は、極端な内でも外でもない「真ん中からやや外(3枠〜5枠)」、あるいは「腹を括って乗れる大外(8枠)」に分があると言えるでしょう。特に8枠は、距離ロスは覚悟の上で、自分のリズムを守って走れるため、6枠のような中途半端な不利を受けにくいメリットがあります。枠順確定時には、6枠に入った人気馬の評価を下げ、好枠に入った伏兵をピックアップすることが、高配当への第一歩となります。

ハンデと斤量の関係性や軽ハンデの罠
ハンデ戦と聞くと、どうしても「軽ハンデの馬が有利」「斤量の重い馬は不利」という先入観を持ってしまいがちですよね。しかし、近年のターコイズステークスを含めた重賞戦線では、その「軽ハンデ神話」が崩れつつあります。
かつては50kg〜52kgといった軽量馬が、斤量差を活かして逃げ粘るシーンも多く見られました。しかし、近年はトレーニング技術の向上や馬のフィジカル強化、さらには馬場の高速化(ターコイズSの時期はタフな馬場になりがちですが、ベースとしてのスピード能力は必要)に伴い、重い斤量を背負った実力馬がその差を跳ね返すケースが圧倒的に増えているのです。
データを見ても、53kg〜54kgといった中間的なハンデ帯の馬や、実績のあるトップハンデの馬が中心勢力を形成しています。例えば、G1戦線で戦ってきた馬が55kgや56kgを背負って出走してくるケースがありますが、これはハンデキャッパーが「それだけの実力がある」と認めた証拠でもあります。
ハンデを読む際のポイント
ハンデの「軽さ」を見るのではなく、ハンデの「理由」を見ることが重要です。「実績がないから軽い」馬よりも、「実績があるから重い」馬の方が、地力で勝るケースが多いのが現代競馬の特徴です。
特に重要視したいのが、馬格(馬体重)との関係性です。冬の中山のタフな馬場で、急坂を駆け上がるためには、斤量の影響を相殺できるだけの「エンジンの大きさ」が必要です。470kg〜500kg程度のしっかりとした馬格がある馬に関しては、多少の斤量増を過度に割り引く必要はありません。逆に、馬格のない馬が重い斤量を背負わされた場合や、軽ハンデでもさらに馬格が小さい(420kg台など)場合は、物理的にパワー負けするリスクが高まります。
2024年に優勝したアルジーヌもトップハンデを背負っていましたが、彼女にはそれをこなせるだけの馬格とパワーがありました。「ハンデが重いから消し」という安易な判断は危険であり、むしろ「重いハンデは見込まれた能力の証明」と捉え、その馬が斤量を苦にしないパワータイプかどうかを見極める姿勢が重要です。

脚質データから見る差し馬と逃げ馬
「中山マイルは直線が短いから、前に行けば勝てる」。もしあなたがそう考えているなら、ターコイズステークスではそのセオリーを一度忘れる必要があります。一般的な条件戦では通用するこの常識も、この特殊な重賞においては「危険な罠」へと変貌するからです。
なぜ、有利なはずの先行勢が崩れ、差し馬が台頭するのか? ここでは、過去の脚質データと、騎手心理が生み出す「展開のアヤ」を紐解き、どの位置取りが最も勝利に近いのかを徹底検証します。
1. 「逃げ馬」受難の時代:標的にされる先頭集団
まず直視すべきは、逃げ馬(4コーナー先頭の馬)の成績が芳しくないという現実です。過去のデータを分析すると、逃げ切り勝ちは極めて稀で、多くの馬が直線の急坂で失速し、馬群に飲み込まれています。
その最大の要因は、「スタート直後のポジション争い」と「コースレイアウト」のミスマッチにあります。
- 魔の2コーナーまでの攻防:スタートから最初のコーナーまでの距離が短いため、外枠の馬や先行したい馬が殺到します。これにより、最初の3ハロン(600m)がハイペースになりやすく、逃げ・先行馬は息を入れる暇がありません。
- 坂の二重苦:中山コースは、スタート直後とゴール直前の「2回」急坂を登る必要があります。序盤で脚を使ってしまった先行馬にとって、最後の急坂はまさに「断崖絶壁」のように立ちはだかります。
2. データが示す「ゴールデンゾーン」はここだ!
では、どの位置取りがベストなのか? 膨大な全着順データを4コーナーの通過順位別に分解すると、驚くべき「勝ち馬の法則」が浮かび上がってきました。
| 4コーナー通過順位 | 勝率・好走期待度 | 解説 |
|---|---|---|
| 1番手(逃げ) | 【危険】低調 | 目標にされやすく、最後の坂で捕まるケースが多発。人気馬が逃げても信頼度は低い。 |
| 2番手〜5番手 (先行) | 【展開次第】平均 | スローペースなら残れるが、ハイペースに巻き込まれると共倒れのリスクがある。粘り強いパワータイプなら可。 |
| 6番手〜10番手 (中団・差し) | 【特注】絶好調 最も勝ち馬が出ているゾーン | 前の激流を見ながら脚を溜め、坂の手前から進出できる理想的なポジション。ここを確保できる馬が本命候補。 |
| 11番手以下 (追い込み) | 【苦戦】届かず | 直線が短いため、物理的に届かないケースが多い。大外一気は決まりにくく、馬群を捌く器用さが必要。 |
データが指し示す勝利のポジションは、「4コーナーで6番手から10番手」に付けられる中団待機策です。この位置であれば、先行争いの激流に巻き込まれず、かといって後ろすぎて届かないというリスクも回避できます。
3. 上がり3ハロンの嘘と真実
「上がり最速の馬が勝つ」というのは競馬の常識ですが、ターコイズSではその中身を吟味する必要があります。
ここで求められる「上がり」とは、東京競馬場のような32秒台〜33秒台の切れ味鋭い末脚ではありません。冬の中山のタフな馬場では、上がり最速といっても34秒台後半〜35秒台の決着になることがほとんどです。つまり、一瞬の切れ味(瞬発力)よりも、バテた先行馬を確実に交わす「持続的な末脚(パワー)」を持っている馬が、結果的に上位に来るのです。
4. 騎手心理が生む「展開のパラドックス」を読む
最後に、展開予想において最も重要な「騎手心理」について触れておきます。このレースは、出走メンバーの並びによってペースが劇的に変わる「二面性」を持っています。
展開を読むための2つのシナリオ
- シナリオA:何が何でも行きたい馬がいる場合(ハイペース)
外枠の馬や軽量の逃げ馬が主張し合うと、前半3ハロンが34秒台前半のハイペースになります。こうなると先行勢は壊滅し、C.ルメール騎手などが得意とする中団〜後方からの「漁夫の利」差しが決まります。 - シナリオB:確たる逃げ馬が不在の場合(スローペース)
「中山マイルはハイペースになりやすい」という意識が騎手全員に働き、逆に牽制し合ってペースが緩むことがあります。この場合、横山武史騎手のようなスタートセンスの良い騎手が、番手で折り合い、そのまま押し切る「行った行った」の決着になります。
予想を組み立てる際は、出走表を見て「誰が逃げるか」を特定し、そこから連鎖的に「ペースは速くなるか、遅くなるか」をシミュレーションしてください。それこそが、的中への最短ルートです。

前走ローテやステップレースの成績
ターコイズステークスの予想において、前走の成績表(馬柱)をただ漫然と眺めていては、的中にたどり着くことはできません。「前走1着だから調子が良い」「前走10着だから調子が悪い」といった単純な思考は、このレースでは命取りになります。
なぜなら、出走馬の経由するルートが多岐にわたり、それぞれが抱える「背景」や「ストレス度合い」が全く異なるからです。ここでは、主要なローテーションである「G1転戦組」と「条件戦上がり馬」、そして「距離変更組」について、データに基づいた具体的な取捨選択の基準を解説します。
1. G1組の「格」を見極める:秋華賞 vs エリザベス女王杯
重賞昇格後、最も信頼できるのがG1からの転戦組です。ただし、どのG1を経由してきたかによって、狙い目は大きく異なります。
| 前走レース | 傾向と狙い目 |
|---|---|
| 秋華賞 (京都芝2000m) | 【巻き返しの宝庫】 3歳牝馬限定の頂上決戦。ここで6着〜10着程度に敗れた馬が、斤量減や相手関係の弱化で激走するパターンが頻発しています。特に「先行してバテた馬」や「0.9秒差以内の負け」であれば、即巻き返しが期待できます。 |
| エリザベス女王杯 (京都芝2200m) | 【スタミナの証明】 古馬混合のタフなG1。ここを使ってきた馬は、結果が出ずとも基礎体力が段違いです。2200mからの大幅な距離短縮は、スピード不足を補い、中山の坂を登るスタミナとしてプラスに作用します。 |
| マイルCS (京都芝1600m) | 【格の違い】 牡馬混合の最高峰マイル戦。ここで揉まれた経験は大きく、着順が悪くても牝馬限定G3に入れば能力は一枚上手です。ハンデが重くなりがちですが、軽視は禁物です。 |
2. 条件戦組(3勝クラス)は「勝ち方」と「勢い」を買え
一方で、3勝クラス(旧1600万下)を勝ち上がってきた「上がり馬」も侮れません。特に勢いのある3歳馬や4歳馬は、格上の重賞メンバー相手でも通用するケースが多々あります。
ただし、条件戦組を狙うなら「勝ち方の質」にこだわってください。ギリギリの辛勝で勝ち上がってきた馬よりも、以下のようなパフォーマンスを見せた馬が狙い目です。
- 0.3秒以上の差をつけて完勝している:クラスの壁を余裕で超えられる能力の証明。
- 好位から押し切って勝っている:中山マイルで必要な機動力とポジショニング能力を持っている証拠。追い込み一辺倒での勝利は、展開に左右されやすいため信頼度が落ちます。
- ユートピアステークス(東京芝1800m)組:相性の良いステップレースの一つ。ここでの好走馬は、距離短縮でさらにパフォーマンスを上げる傾向があります。
3. 「距離短縮」こそが中山マイル攻略の黄金ローテ
私が最も重視しているバイアスの一つが、「今回、距離短縮か? 距離延長か?」という点です。タフな冬の中山マイルにおいては、スピードよりもスタミナの余裕がモノを言います。
【鉄則】距離短縮組を狙え!
1800mや2000m(秋華賞や府中牝馬Sなど)を使ってきた馬は、心肺機能がマイル戦のハイペースにも耐えうる仕様になっています。道中の追走が楽になり、最後の急坂でも脚が上がりにくいため、好走率がグンと跳ね上がります。
逆に、1400mや1200mからの「距離延長組」は非常に危険です。スプリント戦のスピードには対応できても、最後に待ち受ける中山の急坂でスタミナ切れを起こし、失速するパターンが典型的です。「スピードがありそうだから」という理由だけで、距離延長馬に飛びつくのはリスクが高すぎます。
4. 着順よりも「中身」を見る眼を持とう
前走の着順が良いに越したことはありませんが、ターコイズステークスにおいては「前走の着順」よりも「前走のレースレベル」や「負けた理由」を精査すべきです。
例えば、前走G1で13着に大敗していたとしても、それが「大外枠で終始外を回らされた」「直線で前が壁になって追えなかった」といった明確な敗因があるなら、それはむしろオッズが美味しくなる「買いのサイン」です。逆に、条件戦を勝って人気になっている馬でも、展開に恵まれただけの勝利であれば、重賞の壁に跳ね返される可能性が高いでしょう。
表面的な着順という数字に惑わされず、その裏にある「レースの中身」と「今回の条件への適性(距離短縮など)」を読み解くことが、高配当への近道となります。
2025年攻略へ!ターコイズステークスの過去傾向分析
ここからは、より具体的な2025年の攻略に向けた分析に入っていきます。これまでの傾向分析をベースに、血統、馬体重、騎手、そして最新の2024年の結果から見えてきたトレンドを統合し、今年の的中に繋がる核心に迫りましょう。これを知っているのと知らないのとでは、予想の精度に雲泥の差が出るはずです。

中山マイルに強い血統と種牡馬の特徴
冬の中山マイル攻略において、血統分析は避けて通れない最重要プロセスです。しかし、単に「中山が得意な種牡馬」をランキング形式で眺めているだけでは、この難解なターコイズステークスを的中させることはできません。
なぜなら、開催時期が「12月」であることが決定的な違いを生むからです。秋の開幕週のようなパンパンの良馬場とは異なり、使い込まれてボコボコになった馬場、そして冬の寒風によって乾燥し硬化した芝。ここで求められる能力は、東京競馬場で輝くような「直線の瞬発力(キレ)」ではなく、荒れた馬場を苦にせず踏み込む「パワー」と、最後の急坂を失速せずに駆け上がる「持続的な心肺機能」です。
この特殊な環境下では、一般的なリーディング順位とは異なる、独自の「血統バイアス」が発生します。ここでは、父系(サイアーライン)だけでなく、母系(ブルードメアサイアー)も含めた複合的な視点で、狙うべき血統を解剖していきます。
1. 現代中山マイルの覇者:キングカメハメハ系の「筋力」
近年のトレンドを支配しているのは、間違いなくキングカメハメハ系です。彼らの最大の特徴は、筋肉量の多さと、それを推進力に変えるトルクの強さにあります。
注目のキンカメ系種牡馬 ・ロードカナロア: 「短距離馬」というイメージは捨ててください。産駒はマイル〜2000mまでこなすスタミナと、急坂を苦にしない強靭なトモ(後肢)を持っています。特に母父にディープインパクトを持つ配合は、スピードの絶対値とパワーを兼ね備えた「現代の黄金配合」であり、2024年の覇者アルジーヌもこのパターンでした。 ・リオンディーズ: 兄のエピファネイア譲りの「前進気勢」と、父キンカメの「パワー」を受け継いでいます。気性が激しくコントロールが難しい面がありますが、ごちゃつくマイル戦ではその闘争心がプラスに働きます。中山マイルでの勝率は非常に高く、ベタ買いでもプラスになるほどの適性を誇ります。 ・ルーラーシップ: 「長く良い脚を使う」代名詞です。キレ負けしやすい東京コースよりも、全員がバテる消耗戦になりやすい冬の中山でこそ真価を発揮します。
2. ディープ系なら「パワー型サンデー」を選べ
長年、日本競馬を席巻してきたディープインパクト系ですが、ターコイズステークスにおいては「取捨選択」が非常にシビアです。典型的な「上がり32秒台」を使うような軽いタイプのディープ産駒は、冬の中山のタフな馬場に脚を取られ、不発に終わるケースが後を絶ちません。
狙うべきは、ディープインパクトの血を持ちながらも、パワーや持続力にシフトした「パワー型サンデーサイレンス系」です。
- キズナ産駒:父よりも骨太でパワーがあり、時計のかかる馬場を得意とします。牝馬であっても牡馬顔負けの馬格を持つ馬が多く、冬場でもパフォーマンスが落ちません。
- シルバーステート産駒:「未完の大器」と呼ばれた父同様、スピードの持続力に優れています。先行して粘り込む競馬が得意なため、前残りの展開になれば無類の強さを発揮します。
3. 母系に眠る「欧州の重厚な血」が爆発する
父系の分析以上に私が重視しているのが、母の父(ブルードメアサイアー)や母系に入っている血です。最後の急坂で他馬が苦しくなった時、背中を押してくれるのは、母系に眠る「スタミナの血」だからです。
特に注目してほしいのが、以下の3つの系統です。
| 血統系統 | 特徴と狙い方 |
|---|---|
| ロベルト系 (Roberto) | 【最強のパワー血統】 シンボリクリスエスやエピファネイアなどが該当。中山の急坂と言えばロベルトの独壇場です。人気薄でも母系にこの血が入っていれば、急坂での一発逆転が期待できます。 |
| サドラーズウェルズ系 (Sadler’s Wells) | 【欧州の底力】 日本の高速馬場ではスピード不足になりがちですが、冬の中山ではその重厚なスタミナが活きます。消耗戦になればなるほど浮上する、典型的な穴血統です。 |
| グレイソヴリン系 (Grey Sovereign) | 【持続力の名手】 トニービンなどが該当。一度スピードに乗るとバテない持続力が武器で、ロングスパート合戦になった際に強さを発揮します。 |
4. 危険な人気馬の血統パターン
最後に、人気でも疑ってかかるべき「危険な配合」について触れておきます。それは「父ディープインパクト系 × 母系米国スピード型(ストームキャットやヴァイスリージェントなど)」の組み合わせです。
この配合は、スピードと瞬発力に特化しているため、東京や京都の高速馬場ではG1級の強さを見せます。しかし、パワーとスタミナが要求されるターコイズステークスでは、その軽さが仇となり、ゴール前でパタリと止まってしまうことが多々あります。「良馬場の東京なら買いたいが、冬の中山では消し」というジャッジができるようになれば、あなたの予想精度は格段に向上するはずです。

馬体重と大型馬の好走条件に関する考察
私が予想をする上で、このレースで血統と同じくらい、あるいはそれ以上に重視している指標が「馬体重」です。先ほども触れましたが、冬の中山のタフなコンディションは、華奢な馬には物理的に過酷すぎます。
過去のデータ分析に基づき、馬体重別の傾向を整理しました。以下の表をご覧ください。
| 馬体重 | 傾向と対策 |
|---|---|
| 425kg未満 | 【危険】勝率はほぼ0%。物理的なパワー不足により、馬群での競り合いや急坂で劣勢となる可能性が高い。基本的に消し。 |
| 425kg-449kg | 【苦戦】依然として苦戦傾向。展開の助けや、よほどのコース適性がない限り厳しい。 |
| 450kg-474kg | 【平均】平均的な成績。枠順や展開次第で好走可能。 |
| 475kg-499kg | 【推奨】最大勢力かつ好走ゾーン。スピードとパワーのバランスが取れた馬が多く、最も信頼できるゾーン。 |
| 500kg以上 | 【有望】パワーで押し切る競馬が可能。多少の距離ロスも馬格でカバーできる。 |
データを見ても、425kg未満の軽量馬は極めて苦戦しており、物理的なパワー不足は否めません。最も好走率が高いのは、475kg〜499kgの「ゴールデンゾーン」にある馬たちです。このクラスの馬格があれば、スタート直後の激しいポジション争いで当たり負けせず、中山の急坂を力強く駆け上がることができます。
レース当日の馬体重発表は必ずチェックしましょう。前走から大きく馬体を減らしている馬や、元々420kg台しかない小柄な馬は、人気があっても評価を下げる勇気を持つことが大切です。逆に、休み明けで馬体が増えていても、それが成長分やパワーアップであれば、プラス材料と捉えて良いでしょう。

騎手のコース相性と展開の読み方
難解なコースだからこそ、騎手の手腕が問われます。中山マイルという舞台は、騎手の判断ミスが命取りになる一方で、好騎乗が劇的な勝利をもたらすこともあります。
このコースで特に信頼できるのは、やはり関東圏の重賞に強いC.ルメール騎手です。彼は無理に動かず好位で脚を溜める技術に長けており、このコース特有のバイアスを完全に理解しています。ドナアトラエンテなど、過去にも多くの有力馬を上位に導いていますが、彼の騎乗馬は過剰人気になりやすい点だけは注意が必要です。それでも、軸としての安定感は群を抜いています。
また、先行意識の高い横山武史騎手も、この舞台では要注意です。彼はスタートセンスが抜群で、積極的に良いポジションを取りに行きます。前残りの展開になりやすい馬場状態であれば、彼が乗る馬がそのまま粘り込む可能性は非常に高いです。さらに、一発のマクリがあるM.デムーロ騎手も、展開がハマれば怖い存在です。
予想を組み立てる際は、単に馬の能力を比較するだけでなく、ジョッキー主導の展開をイメージすることが大切です。「逃げ馬がペースを作る」と考えるだけでなく、「ルメール騎手が中団にいるなら、早めには動かないだろう」「横山武史騎手が先行するなら、ペースは淀みなく流れるだろう」といった具合に、騎手の性格や得意戦法を考慮して展開を予想すると、より精度の高い結論に近づけるはずです。(出典:JRA公式サイト『騎手名鑑・成績』)

3歳馬と古馬の実績や年齢別の成績
3歳馬の扱いは、ターコイズステークスの予想において非常に重要なファクターです。12月に行われるこのレースでは、3歳馬は古馬と対戦することになりますが、3歳牝馬は斤量面での恩恵を受けやすく、秋を超えて急成長しているケースが多々あります。
実績のある古馬(4歳、5歳)が重い斤量を背負う一方で、勢いのある3歳馬が軽めの斤量で挑める構図は、波乱を生む大きな要因の一つです。特に注目したいのは、「春のクラシックには出たけれど結果が出なかった」タイプや、「条件戦を勝ち上がってきたばかり」の馬です。春の時点では完成度が低くても、夏を越して馬体が成長し、才能が一気に開花することがあります。
2024年に15番人気で5着に入ったアドマイヤベルも3歳馬でした。このように、古馬との力関係が明確になっていない3歳馬は、オッズ的にも妙味があり、狙い目となります。古馬の実績馬を軸にする場合でも、相手(ヒモ)には成長著しい3歳馬を積極的に加えるのが面白い戦略です。逆に、6歳以上の高齢馬に関しては、よほどの実績やコース適性がない限り、スピード勝負で劣るケースが増えるため、慎重な評価が必要です。

2024年の結果から読み解く最新の傾向
2024年の第10回ターコイズステークスの結果は、これからの傾向を占う上で非常に示唆に富んだケーススタディとなりました。この年の結果を分析することで、2025年以降の攻略のヒントが見えてきます。
優勝したアルジーヌはトップハンデを背負いながらも、ロードカナロア×ディープインパクトというハイブリッドな血統背景と、自身のフィジカルの強さで勝利をもぎ取りました。これは、「トップハンデでも能力と適性があれば勝てる」ということを証明すると同時に、「パワー型血統の優位性」を改めて印象付ける結果となりました。アルジーヌのような、スピードとスタミナを兼ね備えたタイプは、今後もこのレースの中心になるでしょう。
また、2着には安定した取り口のビヨンドザヴァレーが入り、5着には15番人気のアドマイヤベルが激走しました。超人気薄のアドマイヤベルが掲示板に載った事実は、ターコイズステークスにおける「3歳馬の不気味さ」と「ヒモ荒れの可能性」を物語っています。人気が落ちきった実績馬や、これからの成長が見込める若駒が、展開一つで上位に食い込める余地が十分にあるのです。
2025年の予想においても、「トップハンデの実力馬」を軸にしつつ、「人気の盲点となっている若駒」や「コース適性の高い伏兵」を相手に拾うというスタイルが、高配当への近道になるでしょう。2024年の結果は、決して偶然ではなく、近年の傾向を凝縮した必然の結果だったと言えます。

ターコイズステークスの過去傾向と攻略まとめ
最後に、これまでの分析を総括し、2025年のターコイズステークスを攻略するための具体的なアクションプランをまとめます。
- 魔の6枠は徹底的に疑う:人気馬が6枠に入っても、評価を割り引く勇気を持つ。狙いはスムーズに運べる3〜5枠、あるいは自分の競馬ができる8枠。
- パワー型血統を重視:リオンディーズ、キズナ、シルバーステート、そしてロードカナロア系など、中山マイルで実績のあるパワー血統をピックアップする。
- 馬格は正義:当日の馬体重を確認し、475kg以上の馬体を評価する。425kg未満の軽量馬は、ハンデが軽くても軽視する。
- 穴馬は3歳馬とリピーター:人気の落ちた実績馬や、成長途上の3歳馬を積極的にヒモに加える。「荒れる」ことを前提に、手広く構える姿勢が大切。
ターコイズステークスは、一見するとカオスで難解なレースに見えますが、データとロジックを組み合わせることで、その実態は「コース形態の物理的制約」「血統による適性の選別」「ハンデと馬格の相関」という法則に支配されていることが分かります。大衆心理に流されず、冷徹に「走れる条件」を満たしている馬を選び抜くことこそが、この難解な「魔境」を攻略する唯一の鍵です。
12月20日の発走に向け、枠順発表と当日の馬体重には細心の注意を払い、万全の態勢で挑んでください。あなたの予想が的中し、素晴らしい年末の競馬ライフとなることを心から願っています。
※本記事の分析は過去のデータおよび傾向に基づくものであり、将来の結果を保証するものではありません。馬券の購入は自己責任において行ってください。
